エナラプリル副作用と発現頻度・重大な副作用

ACE阻害薬であるエナラプリルの副作用には、乾性咳嗽から血管浮腫まで多様なものがあります。重大な副作用の早期発見と対処法、頻度の高い副作用の機序と管理方法について、医療従事者はどのような知識を持つべきでしょうか?

エナラプリルの副作用

📋 エナラプリル副作用の概要
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重大な副作用

血管浮腫、ショック、急性腎障害、肝機能障害、高カリウム血症などの生命に関わる副作用が報告されています

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頻度の高い副作用

乾性咳嗽(2.13%)、めまい(0.30%)、腎機能マーカー上昇(0.21-0.24%)など、比較的高頻度で認められる副作用

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特徴的な副作用機序

ACE阻害によるブラジキニン蓄積が咳嗽や血管浮腫の主要な発現機序となっています

エナラプリルマレイン酸塩は高血圧症および軽症から中等症の慢性心不全に使用されるACE阻害薬ですが、その作用機序に関連した特徴的な副作用プロファイルを有しています。本剤の活性代謝物であるエナラプリラトがアンジオテンシン変換酵素を阻害することで降圧効果を発揮する一方、同酵素はブラジキニンやサブスタンスPを分解するキニナーゼⅡと同一であるため、これらの物質が体内に蓄積することで多様な副作用が発現します。医療従事者は副作用の早期発見と適切な対処により、患者の安全性を確保する必要があります。
参考)くすりのしおり : 患者向け情報

エナラプリルの重大な副作用と発現頻度

 

重大な副作用として、血管浮腫(頻度不明)が最も注意すべき有害事象です。呼吸困難を伴う顔面腫脹、舌腫脹、声門腫脹、喉頭腫脹を症状とする血管性浮腫が発現した場合には、直ちに投与を中止し、アドレナリン注射、気道確保等の適切な処置が必要です。また腹痛、嘔気、嘔吐、下痢等を伴う腸管血管浮腫も報告されており、消化器症状にも注意が必要です。
参考)エナラプリルマレイン酸塩錠2.5mg「ケミファ」の効能・副作…

ショック(頻度不明)、心筋梗塞・狭心症(いずれも頻度不明)などの循環器系の重篤な副作用も発現する可能性があります。急性腎障害(頻度不明)は特に腎機能低下患者や利尿薬併用患者で注意が必要で、定期的な腎機能モニタリングが推奨されます。
参考)https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/bookSearch/01/14987901038307

血液系の副作用として、汎血球減少症、無顆粒球症、血小板減少(いずれも頻度不明)が報告されています。肝機能障害、肝不全(いずれも頻度不明)も重大な副作用であり、投与開始後1ヶ月を目処に肝機能検査値を観察し、その後も定期的な観察が必要です。
参考)https://med.sawai.co.jp/file/pr1_281.pdf

高カリウム血症(0.8%)は比較的発現頻度が明確に示されている重大な副作用です。特に腎機能障害患者、カリウム保持性利尿薬併用患者、カリウム補給患者では発現リスクが高まるため、定期的な血清カリウム値の測定が必須です。
参考)https://www.nc-medical.com/product/doc/enalapril_t2_5_ad.pdf

抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明)は低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う副作用であり、発現時には投与を中止し水分摂取の制限等の適切な処置が必要です。
参考)https://clinicalsup.jp/jpoc/drugdetails.aspx?code=61435

皮膚系の重大な副作用として、剥脱性皮膚炎中毒性表皮壊死融解症(TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、天疱瘡(いずれも頻度不明)があります。これらは観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに適切な処置を行う必要があります。
参考)https://npi-inc.co.jp/medical/info/file/837

エナラプリルによる乾性咳嗽のメカニズムと対処

ACE阻害薬の特徴的な副作用である乾性咳嗽は、エナラプリル投与患者の2.13%に発現します。咳嗽の発現機序は、ACE阻害によりブラジキニンやサブスタンスPの分解が阻害され、これらの物質が気管支の求心性無髄C線維を刺激することによります。
参考)エナラプリル(レニベース)の作用機序・特徴・服薬指導の要点【…

ブラジキニンはブラジキニンB2受容体を介してTRPV1(transient receptor potential vanilloid 1)チャネルの感受性を亢進させることが研究で示されています。動物実験では、ブラジキニンを吸入させることで濃度依存的に咳嗽数が増加し、TRPV1拮抗薬のcapsazepineを投与するとブラジキニン誘発咳嗽数がほぼ完全に消失することが確認されました。このことから、ブラジキニンはB2受容体を介してTRPV1の感受性を亢進させるとともに、直接的にもTRPV1を刺激して咳嗽を誘発していると考えられます。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi/141/12/141_21-00155/_pdf

さらにブラジキニンはシクロオキシゲナーゼや12-リポキシゲナーゼの代謝産物を介してTRPV1とTRPA1チャネルを活性化し、咳反射を中枢性に感作することも報告されています。プロスタグランジンE2(PGE2)もTRPチャネルを介して咳嗽応答を媒介するため、ブラジキニンによって刺激されたプロスタグランジンE2も咳嗽発現に関与していると推測されます。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6551914/

臨床的には、咳嗽は痰を伴わない乾性の咳として出現し、患者にとって煩わしい症状となります。空咳が続く場合は、ブラジキニンの蓄積を引き起こさないARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)への変更を検討する必要があります。ARBはアンジオテンシンII受容体を直接遮断するため、ブラジキニンの分解を阻止せず、血管拡張作用や乾性咳嗽の副作用は少ないとされています。
参考)高血圧症治療薬「レニベース(エナラプリル)」持続性ACE阻害…

海外の大規模な市販後調査では、エナラプリル投与患者13,713人中360人(2.9%)に持続的な乾性咳嗽が認められ、めまい(3.9%)に次いで頻度の高い有害事象でした。咳嗽は投与開始後数週間から数ヶ月で出現することが多く、投与中止後は通常1〜2週間で改善します。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC1834580/

エナラプリルの血管浮腫リスクと早期発見

血管浮腫はACE阻害薬の中でも最も重篤な副作用の一つであり、発現頻度は不明ですが、迅速な対応が求められる緊急事態です。エナラプリルを含むACE阻害薬による血管浮腫は、ブラジキニンの蓄積が血管透過性を亢進させることで発生します。
参考)https://med.daiichisankyo-ep.co.jp/products/files/1152/%E3%82%A8%E3%83%8A%E3%83%A9%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%AB%E3%83%9E%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%B3%E9%85%B8%E5%A1%A9%E9%8C%A0%E3%80%8C%E6%97%A5%E6%96%B0%E3%80%8D%E6%82%A3%E8%80%85%E5%90%91%E5%8C%BB%E8%96%AC%E5%93%81%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89.pdf

血管浮腫の臨床的特徴として、唇・まぶた・舌・口の中・顔・首が急に腫れる、喉がつまる感じ、息苦しい、声が出にくいといった症状が挙げられます。これらの症状は自然に軽快する真皮および皮下脂質組織の浮腫として特徴づけられ、顔面皮膚、口腔粘膜、舌に局在します。
参考)https://med.daiichisankyo-ep.co.jp/products/files/1152/530113_2144002F1342_2_02G.pdf

特に声門や喉頭の腫脹を伴う場合は気道閉塞のリスクがあり、呼吸困難を伴う場合には直ちに投与を中止し、アドレナリン注射、気道確保等の適切な処置を行う必要があります。腹痛、嘔気、嘔吐、下痢等を伴う腸管血管性浮腫も報告されており、消化器症状が出現した場合も血管浮腫の可能性を考慮する必要があります。​
エナラプリルを含む5員環窒素複素環構造を持つACE阻害薬(リシノプリル、エナラプリル、ラミプリル)は、世界中で臨床使用されている最も一般的なACE阻害薬の3つです。これらのACE阻害薬は窒素ベースの複素環構造を共有しており、FDA承認薬の880以上の医薬品に見られる窒素スキャフォールドの重要性を強調しています。
参考)https://www.mdpi.com/1424-8247/17/3/360/pdf?version=1710131296

血管浮腫の発現リスクは投与開始後早期に高く、特に初回投与後から数日以内に発現することが多いため、投与開始時には患者への十分な説明と観察が重要です。また、ビルダグリプチンなどDPP-4阻害薬との併用により血管性浮腫のリスクが増加する可能性があるため、併用注意として添付文書に記載されています。
参考)https://med.daiichisankyo-ep.co.jp/information/files/1390/EPENA1N00301-1.pdf

エナラプリルの腎機能への影響とモニタリング

エナラプリルは腎機能に多様な影響を及ぼすため、投与前および投与中の定期的な腎機能モニタリングが必須です。その他の副作用として、クレアチニン上昇(0.1〜5%未満)、BUN上昇(0.1%未満)が報告されています。
参考)医療用医薬品 : エナラプリルマレイン酸塩 (エナラプリルマ…

ACE阻害薬は輸出細動脈を拡張させることで糸球体内圧を低下させるため、特に腎機能低下患者や両側性腎動脈狭窄患者、利尿薬併用患者では急性腎障害のリスクが高まります。レニン・アンジオテンシン系が亢進している患者では、初回投与後に一過性の急激な血圧低下を起こすおそれがあり、これが腎血流量の低下を招き腎機能悪化の原因となります。
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00061254.pdf

慢性腎不全患者では、エナラプリル投与後の活性代謝物の血漿中濃度が腎機能正常患者に比べて半減期の延長、最高血中濃度と血中濃度曲線下面積の増大が認められるため、投与量調節が必要です。腎障害のある患者では本剤の投与を低用量から開始し、増量する場合は患者の状態を十分に観察しながら徐々に行う必要があります。
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00062817.pdf

血液透析中の患者では、本剤の投与を低用量から開始するなど慎重な投与が求められます。また、NSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛剤)との併用では、プロスタグランジンの合成阻害作用により腎血流量が低下するため、腎機能が悪化している患者ではさらに腎機能が悪化するおそれがあります。
参考)医療用医薬品 : エナラプリルマレイン酸塩 (エナラプリルマ…

腎機能モニタリングの具体的な方法として、投与開始前、投与開始後の定期的な血清クレアチニン値、BUN値、推算糸球体濾過量(eGFR)の測定が推奨されます。特に高齢者、糖尿病患者、既存の腎機能障害を有する患者では、より頻回なモニタリングが必要です。​

エナラプリルの高カリウム血症と管理戦略

高カリウム血症(0.8%)はエナラプリルの重大な副作用の一つであり、発現頻度が比較的明確に示されている副作用です。ACE阻害によりアンジオテンシンIIの生成が抑制されると、アルドステロン分泌が低下し、腎臓でのカリウム排泄が減少するため高カリウム血症が発現します。
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00003979.pdf

高カリウム血症のリスク因子として、腎機能障害、糖尿病、カリウム保持性利尿薬(スピロノラクトンなど)の併用、カリウム補給剤の併用、高カリウム血症を引き起こす可能性のある他の薬剤との併用が挙げられます。特に高カリウム血症の患者では、治療上やむを得ないと判断される場合を除き使用は避けることとされています。​
血清カリウム値のモニタリングは、投与開始前、投与開始後(または用量調節後)の1週間以内及び1ヶ月後に実施し、その後も定期的に観察する必要があります。血清カリウム値が5.0mEq/L以上5.5mEq/L未満の場合は用量調節を検討し、5.5mEq/L以上となった場合は投与を中断する必要があります。
参考)https://www.viatris-e-channel.com/pr_info/assets/SEL51B017P_%E3%82%BB%E3%83%A9%E3%83%A9%E3%82%92%E9%81%A9%E6%AD%A3%E3%81%AB%E3%81%94%E4%BD%BF%E7%94%A8%E3%81%84%E3%81%9F%E3%81%A0%E3%81%8F%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AB.pdf

患者指導として、カリウムを含む食品(バナナ、オレンジジュース、トマト、ほうれん草など)の過剰摂取を避けること、水分を適切に摂取して便秘にならないように注意することが重要です。また、市販のカリウム含有塩代替品や特定保健用食品にも注意が必要です。​
高カリウム血症が発現した場合の対処として、軽度の場合は食事指導やカリウム吸着薬の投与、中等度から重度の場合はエナラプリルの減量または中止、必要に応じてカリウム排泄を促進する治療(利尿薬、カルシウム製剤、グルコース・インスリン療法など)を行います。血液透析が必要となる重症例もあるため、定期的なモニタリングによる早期発見が重要です。​

エナラプリル投与時の特殊な患者群への配慮

妊婦または妊娠している可能性のある婦人に対しては、エナラプリルの投与は禁忌です。投与中に妊娠が判明した場合は直ちに投与を中止する必要があります。ACE阻害薬は妊娠中期から末期に投与された場合、胎児・新生児死亡、羊水過少症、胎児・新生児の低血圧、腎不全、高カリウム血症、頭蓋の形成不全、羊水過少症によると推測される四肢の拘縮、脳・頭蓋顔面の奇形、肺の発育形成不全等のリスクがあります。
参考)https://med.daiichisankyo-ep.co.jp/information/files/0/20170613141140_2335_file_txt.pdf

さらに海外で実施されたレトロスペクティブな疫学調査では、妊娠初期にACE阻害薬を投与された場合にも催奇形性のリスクがあることが示されており、2014年の添付文書改訂でこの情報が追記されました。妊娠する可能性のある婦人に投与する場合には、胎児に与える影響を十分に説明し、妊娠が判明した場合は速やかに医師に相談するよう繰り返し患者へ説明することが重要です。
参考)https://www.takanohara-ch.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2015/01/di201410.pdf

小児への投与に関しては、生後2ヶ月から15歳の小児高血圧症患者を対象とした臨床試験が実施されており、年齢や体重に応じた用量調節が推奨されています。活性体ジアシド体のAUCおよびCmaxは年齢によって変動するため、小児では慎重な投与と観察が必要です。​
高齢者では腎機能が低下していることが多く、また生理機能が全般的に低下しているため、低用量から投与を開始し、患者の状態を観察しながら慎重に投与する必要があります。高齢者では高カリウム血症、急性腎障害、過度の血圧低下のリスクが高まるため、より頻回なモニタリングが推奨されます。​
心不全患者では、初回投与時の過度の血圧低下に特に注意が必要です。投与開始は低用量から行い、血圧、腎機能、電解質を慎重にモニタリングしながら徐々に増量する必要があります。心不全手帳などを活用した自己管理指導も重要な役割を果たします。
参考)https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/1999/000128/199900756A/199900756A0011.pdf

腎動脈狭窄患者では、ACE阻害薬により糸球体濾過圧が低下し急性腎障害を引き起こすリスクが高いため、特に両側性腎動脈狭窄または片腎で腎動脈狭窄のある患者では慎重な投与が必要です。​

 

 


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