フィジオ140輸液の副作用は、承認時の臨床試験において**副作用発現頻度1.4%(2/142例)**という比較的低い発現率が確認されています。
主要な副作用として報告されているのは。
これらの副作用は主に循環器系に関連する異常であり、特に心電図モニタリングが重要となります。ST低下や不整脈は、電解質バランスの変化や急速な血液量の変化に起因する可能性があります。
医療従事者としては、投与中の継続的な心電図監視と、患者の循環動態の観察が不可欠です。特に高齢者や心疾患の既往がある患者では、より注意深い監視が求められます。
添付文書では、大量・急速投与時の重篤な副作用として以下が明記されています。
これらの副作用は、**維持液でみられる副作用として第一次再評価結果その14(1978年)**でも報告されており、輸液療法における重要な注意点として長年認識されています。
脳浮腫の早期症状には、頭痛、悪心、嘔吐、意識レベルの低下があります。肺水腫では呼吸困難、咳嗽、泡沫状痰が特徴的です。末梢浮腫は四肢の腫脹として視覚的に確認できます。
投与速度の管理が重要で、通常成人1時間当たり15mL/kg体重以下とすることが推奨されています。患者の年齢、症状、体重により適宜調整し、特に腎機能障害患者では水分・電解質の過剰投与に陥りやすいため注意が必要です。
添付文書に記載された禁忌事項は以下の通りです。
慎重投与が必要な患者には。
特に高齢者では生理機能低下により、投与速度を緩徐にし、減量するなどの注意が必要です。
妊婦・授乳婦への投与では、治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ投与を検討し、授乳の継続または中止を慎重に判断することが求められます。
フィジオ140輸液は、従来のハルトマン液と比較してより細胞外液組成に近似した電解質組成を有している点が特徴的です。この組成上の特徴により、従来の輸液では見られない独特な副作用パターンが存在します。
マグネシウム配合による特異的リスク。
フィジオ140輸液には細胞外液補充液として新規にマグネシウム2mEq/Lが配合されています。これにより、従来の輸液では考慮する必要のなかったマグネシウム関連の副作用に注意が必要です。
高マグネシウム血症の症状には以下があります。
ブドウ糖1%配合による血糖管理。
フィジオ140輸液は過度の高血糖及び尿中グルコース排泄を回避しつつ、肝臓グリコーゲン含量の低下を抑制する目的でブドウ糖を1%配合しています。
この濃度設定により。
ただし、糖尿病患者では1%という低濃度であっても血糖値の上昇による症状悪化の可能性があるため、定期的な血糖モニタリングが推奨されます。
副作用の早期発見には、系統的な観察プロトコルの実施が重要です。以下の観察ポイントを時系列で整理します。
投与開始直後(0-30分)。
投与中期(30分-2時間)。
投与後期・継続投与時。
緊急時対処法。
副作用が疑われる場合は直ちに投与を中止し、以下の対応を実施します。
医療事故防止の観点から、2009年に販売名が「フィジオ140輸液」に変更された経緯もあり、薬剤名の確認と適切な投与管理が重要な安全対策となっています。
参考リンク(大塚製薬工場の公式添付文書情報)。
フィジオ140輸液の最新添付文書とインタビューフォーム
参考リンク(PMDA医薬品情報)。
PMDA公式のフィジオ140輸液安全性情報