フィジオ140の副作用と添付文書情報を詳しく解説

フィジオ140輸液の副作用について添付文書に記載された詳細情報から、心電図異常や浮腫リスク、重篤な副作用の早期発見まで医療従事者が知るべき知識を網羅的に解説します。あなたは適切な観察ポイントを理解していますか?

フィジオ140副作用と添付文書の詳細情報

フィジオ140の副作用と添付文書のポイント
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主要な副作用(0.1~5%未満)

ST低下、不整脈などの心電図異常が報告されている循環器系の副作用

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大量・急速投与時の注意

脳浮腫、肺水腫、末梢浮腫などの重篤な副作用リスク

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添付文書の重要情報

禁忌、用法用量、特定背景患者への注意事項の詳細

フィジオ140の主要副作用と発現頻度

フィジオ140輸液の副作用は、承認時の臨床試験において**副作用発現頻度1.4%(2/142例)**という比較的低い発現率が確認されています。

 

主要な副作用として報告されているのは。

  • ST低下:0.7%(1/142例)
  • 不整脈:0.7%(1/142例)
  • 一過性血圧低下、心電図R波電位減高、呼吸数増加(頻度不明)

これらの副作用は主に循環器系に関連する異常であり、特に心電図モニタリングが重要となります。ST低下や不整脈は、電解質バランスの変化や急速な血液量の変化に起因する可能性があります。

 

医療従事者としては、投与中の継続的な心電図監視と、患者の循環動態の観察が不可欠です。特に高齢者や心疾患の既往がある患者では、より注意深い監視が求められます。

 

フィジオ140の重篤副作用と大量投与リスク

添付文書では、大量・急速投与時の重篤な副作用として以下が明記されています。

  • 浮腫(頻度不明)
  • 肺水腫(頻度不明)
  • 末梢浮腫(頻度不明)

これらの副作用は、**維持液でみられる副作用として第一次再評価結果その14(1978年)**でも報告されており、輸液療法における重要な注意点として長年認識されています。

 

脳浮腫の早期症状には、頭痛、悪心、嘔吐、意識レベルの低下があります。肺水腫では呼吸困難、咳嗽、泡沫状痰が特徴的です。末梢浮腫は四肢の腫脹として視覚的に確認できます。
投与速度の管理が重要で、通常成人1時間当たり15mL/kg体重以下とすることが推奨されています。患者の年齢、症状、体重により適宜調整し、特に腎機能障害患者では水分・電解質の過剰投与に陥りやすいため注意が必要です。

 

フィジオ140添付文書の禁忌と注意事項

添付文書に記載された禁忌事項は以下の通りです。

  • 高マグネシウム血症:フィジオ140輸液にはマグネシウム2mEq/Lが配合されており、高マグネシウム血症が悪化または誘発される可能性があります
  • 甲状腺機能低下症:同様に高マグネシウム血症のリスクが高まります

慎重投与が必要な患者には。

  • 糖尿病患者:血糖値上昇により症状悪化のリスク
  • 心不全患者:循環血液量増加による症状悪化
  • 高張性脱水症患者:電解質含有製剤により症状悪化の可能性
  • 閉塞性尿路疾患患者:水分・電解質排泄障害による症状悪化
  • 腎機能障害患者:水分・電解質過剰投与のリスク

特に高齢者では生理機能低下により、投与速度を緩徐にし、減量するなどの注意が必要です。

 

妊婦・授乳婦への投与では、治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ投与を検討し、授乳の継続または中止を慎重に判断することが求められます。

フィジオ140の独自の安全性プロファイル

フィジオ140輸液は、従来のハルトマン液と比較してより細胞外液組成に近似した電解質組成を有している点が特徴的です。この組成上の特徴により、従来の輸液では見られない独特な副作用パターンが存在します。

 

マグネシウム配合による特異的リスク
フィジオ140輸液には細胞外液補充液として新規にマグネシウム2mEq/Lが配合されています。これにより、従来の輸液では考慮する必要のなかったマグネシウム関連の副作用に注意が必要です。

 

高マグネシウム血症の症状には以下があります。

  • 神経筋症状:筋力低下、深部腱反射減弱・消失
  • 循環器症状:徐脈、房室ブロック、血圧低下
  • 消化器症状:悪心、嘔吐、便秘
  • 中枢神経症状:傾眠、錯乱、昏睡

ブドウ糖1%配合による血糖管理
フィジオ140輸液は過度の高血糖及び尿中グルコース排泄を回避しつつ、肝臓グリコーゲン含量の低下を抑制する目的でブドウ糖を1%配合しています。

 

この濃度設定により。

  • 5%糖質含有製剤で問題となる血糖異常上昇のリスクを軽減
  • 生体内脂肪の異化亢進を抑制
  • 血糖の異常上昇を惹起しにくい安全な濃度設定

ただし、糖尿病患者では1%という低濃度であっても血糖値の上昇による症状悪化の可能性があるため、定期的な血糖モニタリングが推奨されます。

 

フィジオ140副作用の早期発見と対処法

副作用の早期発見には、系統的な観察プロトコルの実施が重要です。以下の観察ポイントを時系列で整理します。
投与開始直後(0-30分)

  • 心電図モニター:ST変化、不整脈の出現
  • バイタルサイン:血圧変動、呼吸数変化、心拍数異常
  • 自覚症状:動悸、胸部不快感、呼吸困難

投与中期(30分-2時間)

  • 循環動態:末梢冷感、皮膚色調変化
  • 浮腫の確認:四肢、顔面、肺野の聴診
  • 尿量:時間尿量の測定、尿性状の観察

投与後期・継続投与時

  • 神経学的所見:意識レベル、筋力、反射
  • 血液検査:電解質(特にMg)、腎機能、血糖値
  • 体重変化:日々の体重測定による体液バランス評価

緊急時対処法
副作用が疑われる場合は直ちに投与を中止し、以下の対応を実施します。

  1. 循環器症状:心電図継続監視、必要に応じて抗不整脈薬投与
  2. 浮腫症状利尿薬投与検討、厳密な水分バランス管理
  3. 高Mg血症:カルシウム製剤による拮抗、透析療法の検討
  4. 血糖異常:インスリン投与、血糖値の頻回測定

医療事故防止の観点から、2009年に販売名が「フィジオ140輸液」に変更された経緯もあり、薬剤名の確認と適切な投与管理が重要な安全対策となっています。

 

参考リンク(大塚製薬工場の公式添付文書情報)
フィジオ140輸液の最新添付文書とインタビューフォーム
参考リンク(PMDA医薬品情報)
PMDA公式のフィジオ140輸液安全性情報