バイタルサインと報告の仕方の基本

看護師や看護学生が知っておくべきバイタルサインの正確な報告方法について、SBARを活用した効果的な情報伝達のコツから異常値の判断基準まで詳しく解説します。適切な報告で患者安全を守るために重要なポイントとは?

バイタルサインと報告の仕方

バイタルサイン報告の基本構成
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正確な測定値の報告

時間、測定値、観察内容を明確に記録し共有する

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基準値との比較評価

正常値と比較して異常の有無を判断し伝達する

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SBAR形式での体系的報告

状況・背景・評価・提案の順で効果的に情報を整理する

バイタルサインの基本的な報告手順

バイタルサインの報告は患者の生命徴候を正確に伝達する重要な看護技術です。報告時には必ず患者の部屋番号と氏名を最初に述べ、測定時刻と共に各数値を体温、血圧、脈拍、呼吸数の順で伝達します。測定した数値だけでなく、基準値と比較した評価結果も必ず含めることで、受け手が状況を的確に理解できるようになります。
参考)バイタルサインの報告の仕方

 

報告の際は「○時に測定したバイタルサインの報告をしたいのですが、今よろしいでしょうか」という前置きから始め、相手の都合を確認してから開始します。単純に「血圧は120/80でした」という数値のみの報告は避け、「基準値と比較して正常範囲内です」というアセスメントを付け加えることが重要です。患者の普段の数値と比較した変化の有無についても言及し、今後の観察ポイントについても伝達します。
参考)【すぐに使える例文】看護実習で看護師への報告の仕方とコツ

 

SBAR形式を活用したバイタルサイン報告方法

SBAR(Situation-Background-Assessment-Recommendation)は医療現場で広く活用される体系的な報告手法です。バイタルサイン報告においても、この4つの構成要素を順序立てて使用することで、必要な情報を漏れなく効果的に伝達できます。状況(S)では現在のバイタルサインの数値と観察所見を述べ、背景(B)では患者の既往歴や治療経過を説明します。
参考)SBAR(エスバー)

 

アセスメント(A)の部分では、測定したバイタルサインを基準値や患者の普段の数値と比較評価し、異常の有無や重要度を判断して伝えます。推奨事項(R)では、継続観察の必要性や医師への連絡の要否、追加で必要な検査や処置について提案します。この構成により、報告を受ける側が状況を迅速に理解し、適切な判断を下すことが可能になります。
参考)https://kango-oshigoto.jp/hatenurse/article/9004/

 

バイタルサイン異常値の判断基準とアセスメント

バイタルサインの基準値として、体温は36〜37℃、脈拍は60〜100回/分、呼吸数は16〜20回/分、血圧は120/80mmHg以下が目安とされています。しかし、これらの数値は一般的な指標であり、患者個々の普段の数値との比較がより重要です。例えば、普段血圧が100/60mmHgの患者が130/85mmHgを示した場合、基準値内であっても患者にとっては異常値として評価する必要があります。
参考)バイタルサインとは

 

異常値を認めた場合のアセスメントでは、単独の数値だけでなく、他のバイタルサインとの関連性や患者の全身状態との整合性を総合的に判断します。体温上昇に伴う脈拍増加や、血圧低下時の尿量減少など、生理学的な関連性を理解した上で報告することが重要です。意識レベルや尿量などの追加情報も含めた包括的な評価により、患者の病態をより正確に把握し伝達できます。
参考)https://kango-oshigoto.jp/media/article/52128/

 

バイタルサイン記録と報告の重要性

バイタルサインの記録と報告は患者の状態変化を早期発見し、医療チーム全体で情報を共有するための重要な手段です。測定時間、測定値、観察内容を正確に記録することで、治療方針の決定や看護計画の立案に活用されます。前回測定値との比較により、改善や悪化の傾向を把握し、適切なタイミングでの医療介入が可能になります。
参考)バイタルの測定時間、測定値、観察内容を記録、報告するのはなぜ…

 

記録の際は、測定時の体位や条件、随伴症状なども併せて記載することが推奨されます。例えば、「安静臥床時」「歩行後」などの測定条件や、「顔面紅潮あり」「呼吸困難感の訴えあり」などの観察所見も重要な情報となります。これらの詳細な記録により、医療従事者間での正確な情報伝達が実現し、患者の安全性向上に寄与します。

バイタルサイン報告時のコミュニケーション技術

効果的なバイタルサイン報告には、明確で簡潔なコミュニケーション技術が必要です。報告開始時には相手の注意を引き、緊急性がある場合はそれを最初に伝えることが重要です。「緊急で報告があります」「○○さんのバイタルサインに変化がありました」など、状況の重要度を適切に表現します。
報告中は専門用語を適切に使用し、数値や観察内容を正確に伝達することが求められます。また、報告を受ける側が理解しやすいよう、論理的な順序で情報を整理し、必要に応じて復唱や確認を求めます。報告後は指示や追加の質問に対して適切に応答し、必要な場合は記録の確認や追加情報の提供も行います。これらのコミュニケーション技術により、医療チーム内での効果的な情報共有が実現されます。
参考)2025年最新【効率的な報告と記録作成】看護実習の報告の仕方