ボルタレンSRカプセル37.5mgの添付文書によると、最も多く報告される副作用は消化器系症状である。
よく見られる副作用:
消化器系の副作用発現率は約15-20%とされており、特に空腹時の服用で胃腸障害のリスクが高まる。この理由から、添付文書では食後服用が推奨されている。
神経系・感覚器副作用:
眠気やめまいは約5-10%の患者で認められ、自動車運転等危険を伴う作業は避けるよう注意喚起されている。
皮膚・過敏症:
皮膚症状は比較的軽微なものから重篤な薬疹まで幅広く、早期の対応が必要である。
添付文書に記載されている重大な副作用は、早期発見・早期対応が患者の予後を大きく左右する。
ショック・アナフィラキシー:
発現頻度は0.1%未満だが、致命的になりうるため即座の対応が求められる。特にアスピリン喘息の既往がある患者では禁忌である。
消化管出血・穿孔:
NSAIDs関連消化管合併症の発現率は1-4%とされ、高齢者、胃潰瘍既往者、抗凝固薬併用者でリスクが高い。
急性腎障害・ネフローゼ症候群:
腎機能低下者では特に注意が必要で、定期的な血清クレアチニン・BUN測定が推奨される。
重症薬疹:
これらの重症薬疹は0.01%未満の頻度だが、死亡率が高いため、発疹出現時の迅速な評価が重要である。
関節リウマチや変形性関節症での長期投与では、定期的な検査による副作用監視が不可欠である。
肝機能障害のモニタリング:
肝機能障害の発現頻度は約1-3%で、重篤な肝壊死に進展する可能性がある。特に投与開始後3ヶ月以内の監視が重要である。
血液系副作用:
血液障害は稀(0.1%未満)だが、感染症リスクや出血傾向を引き起こすため、定期的な血算検査が必要である。
心血管系リスク:
COX-2選択性の低いNSAIDsでは心血管イベントのリスクが指摘されており、心疾患既往者では慎重投与が必要である。
高齢者、妊婦・授乳婦、小児では特別な配慮が必要である。
高齢者での注意点:
高齢者では薬物代謝能力の低下により、通常量でも副作用が出現しやすい。特に75歳以上では慎重投与が推奨される。
妊娠・授乳期:
妊娠20週以降のNSAIDs使用は胎児腎機能に影響し、羊水過少を引き起こす可能性がある。授乳中も乳汁移行するため注意が必要である。
併用薬との相互作用:
特にワルファリンとの併用では出血リスクが5-10倍増加するため、PT-INRの厳密な管理が必要である。
副作用発現時の適切な対応は、患者の予後改善に直結する重要な要素である。
消化器症状への対応:
胃潰瘍リスクの高い患者では、プロトンポンプ阻害薬(PPI)の予防投与が推奨される。H2ブロッカーは効果が限定的である。
腎機能障害への対応:
脱水状態や他の腎毒性薬剤併用時は特に注意が必要で、適切な水分管理と電解質バランスの維持が重要である。
皮膚症状への対応:
Stevens-Johnson症候群やTENが疑われる場合は、即座の投与中止と専門医への紹介が必要である。
患者・家族への説明事項:
患者教育により副作用の早期発見が可能となり、重篤化を防ぐことができる。特に消化器症状や皮膚症状は患者自身が気づきやすいため、適切な教育が重要である。
くすりのしおり - ボルタレンSRカプセル37.5mgの詳細な副作用情報
KEGG医療用医薬品データベース - ボルタレンSR添付文書情報