セフテムとは効果や特徴について医療従事者向け解説

セフテムは第三世代セフェム系抗生物質として、細菌感染症治療において重要な役割を担う薬剤です。その作用機序や臨床応用について詳しく知りたくありませんか?

セフテムとは

セフテムの基本情報
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一般名・分類

セフチブテン水和物・第三世代経口セフェム系抗生物質

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作用機序

細菌細胞壁合成阻害による殺菌的作用

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抗菌スペクトラム

グラム陰性菌に強力、グラム陽性菌にもある程度有効

セフテムの基本的な特徴と分類

セフテム(一般名:セフチブテン)は、塩野義製薬研究所で創製された経口用第三世代セフェム系抗生物質です。化学構造は非エステル型で、セフェム核3位にH、さらに7位側鎖を化学修飾した結果、経口吸収が良好で優れた抗菌力を有する薬剤として開発されました。
参考)http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se61/se6129001.html

 

βラクタム系薬に属するセフェム系抗菌薬の中でも、セフテムは第三世代に分類されます。第三世代セフェム系抗菌薬の特徴として、グラム陽性菌に対してはやや弱いものの、グラム陰性菌に対して強力な抗菌活性を示します。
参考)https://pharmacista.jp/contents/skillup/academic_info/antibiotics/2578/

 

セフテムは1984年に基礎試験を開始し、1985年から臨床試験を実施、1992年10月2日に承認を得て発売に至りました。その後、10,888例を対象とした使用成績調査を実施し、2000年3月8日に再審査結果において薬事法第14条第2項各号(承認拒否事由)のいずれにも該当しないとの評価を得ています。
参考)https://image.packageinsert.jp/pdf.php?mode=1amp;yjcode=6129001M1020

 

セフテムの作用機序と抗菌メカニズム

セフテムは細菌の細胞壁合成を阻害することで殺菌的に作用する薬剤です。具体的には、細菌細胞壁の主要構成成分であるペプチドグリカン合成を阻害し、細菌の細胞壁構造を破綻させることで殺菌効果を発揮します。
セフェム系抗菌薬は時間依存性の殺菌効果を示すという特徴があります。これは、血中濃度が最小発育阻止濃度(MIC)を上回っている時間の長さが治療効果に重要であることを意味しており、1日の投与回数や投与間隔の設定において重要な考慮点となります。
また、セフテムをはじめとする第三世代セフェム系抗菌薬は、第一・二世代と異なり髄液移行性を有しています。この特性により、中枢神経系感染症への適応も期待できる薬剤として位置づけられています。

セフテムの臨床応用と適応症

セフテムは以下の感染症に対して適応を有しています:
参考)https://clinicalsup.jp/jpoc/DrugInfoPdf/00001589.pdf

 

通常、成人にはセフチブテン水和物として1回200mg(力価)を1日2回経口投与します。セフテムカプセルは100mg及び200mgの規格が用意されており、患者の症状や重症度に応じて用量調整が可能です。
セフテムの抗菌スペクトラムは第三世代セフェム系の特徴を反映し、グラム陰性菌に対して優れた活性を示します。特に腸内細菌科細菌(大腸菌、クレブシエラ属など)に対して強力な抗菌作用を発揮するため、尿路感染症治療において有用性が高い薬剤です。

 

セフテムの副作用と注意点

セフテムの重大な副作用として以下が報告されています:
ショック・アナフィラキシー(0.1%未満)
呼吸困難、全身潮紅、浮腫等の症状が現れることがあるため、観察を十分に行い、症状が現れた場合には投与を中止し適切な処置を行う必要があります。

 

急性腎障害(0.1%未満)
重篤な腎障害が現れることがあるため、定期的な検査による観察が重要です。異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行います。

 

偽膜性大腸炎(0.1%未満)
血便を伴う重篤な大腸炎が現れることがあります。腹痛、頻回の下痢が現れた場合には、直ちに投与を中止するなど適切な処置が必要です。

 

セフテムは非エステル型のセフェム系抗菌薬であるため、ピボキシル基を有する他の経口セフェム系抗菌薬(メイアクトMS、トミロン、フロモックスなど)で問題となる低カルニチン血症のリスクは低いとされています。

セフテムの薬物動態特性と投与時の配慮

セフテムは経口吸収が良好に設計された薬剤で、食事の影響を比較的受けにくい特性があります。バイオアベイラビリティは約90%と高く、血中濃度の個体差も小さいため、安定した治療効果が期待できます。

 

腎機能障害患者においては、セフテムの主要な排泄経路が腎排泄であることから、腎機能に応じた用量調整が必要となります。クレアチニンクリアランスが50mL/min未満の患者では、投与間隔の延長または用量の減量を検討する必要があります。

 

高齢者への投与においては、生理機能の低下により薬物の排泄が遅延する可能性があるため、患者の状態を観察しながら慎重に投与することが推奨されます。また、他のセフェム系抗菌薬と同様に、セフテムもビタミンK産生菌叢に影響を与える可能性があるため、ワルファリン等の抗凝固薬との併用時には凝固能のモニタリングが重要です。

 

妊婦・授乳婦への投与については、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与することとされており、十分な検討が必要です。