ゲンタマイシンが効いていると思って使い続けると、耐性菌に気づかず治療が10日以上長引くことがあります。

ネチルマイシンの主要な海外商品名はNetromycin(ネトロマイシン)です。 一般名はNetilmicin(ネチルマイシン)、日本薬局方名では「ネチルマイシン硫酸塩」と表記されます。
製剤形態は注射剤・点滴静注液が中心です。腸管からはほぼ吸収されないため、経口投与は不可能であり、筋肉注射または静脈内点滴でのみ投与されます。 つまり経口薬はない、という点が重要です。
国際的にはWHO必須医薬品モデル・リストにも記載されており、その臨床的重要性は世界的に認められています。 1973年に特許取得、1981年に医療用承認という歴史を持ちます。日本市場では独自の販売名・剤形で流通している場合がありますので、医療機関ごとに採用状況を確認することが基本です。
参考:KEGGデータベース ネチルマイシン硫酸塩の医薬品情報(作用機序・適応症詳細を確認できます)
KEGG DRUG: ネチルマイシン硫酸塩
ネチルマイシンは1-N-エチルシソマイシンとも呼ばれる半合成アミノグリコシド系抗生物質で、*Micromonospora inyoensis*が産生するシソマイシンを化学修飾して得られます。 アミノグリコシド系共通の作用として、細菌の30Sリボソームサブユニットに結合し、タンパク質合成を阻害することで殺菌作用を発揮します。
アミノグリコシド系は濃度依存性の殺菌作用を持ちます。これが基本です。1日1回大量投与(one-daily dosing)で有効性が高まり、かつ毒性が軽減されるとされており、臨床での投与スケジュール設計に重要な要素です。
他のアミノグリコシド系(ゲンタマイシン・トブラマイシン・アミカシン)と比較した場合、ネチルマイシンはゲンタマイシンと同等の抗菌スペクトルを持ちながらも、ゲンタマイシン耐性菌の一部に対しても活性を示します。 意外ですね。
| 薬剤名 | 緑膿菌への活性 | ゲンタマイシン耐性菌 | 耳毒性(長期) |
|---|---|---|---|
| ゲンタマイシン | 高 | −(無効) | やや高い |
| トブラマイシン | 高 | 一部耐性あり | 中程度 |
| ネチルマイシン | ゲンタマイシンより低い | 〇(有効なケース多い) | 比較的低い |
| アミカシン | 中程度 | 〇(広域) | 中程度 |
参考:ネチルマイシンのWikipedia(英国国民医薬品集BNFに基づく比較データを含む)
ネチルマイシン - Wikipedia
ネチルマイシンの主な使用対象は、グラム陰性菌による重篤な感染症です。 特にゲンタマイシン耐性感染症の治療においてのみ使用が推奨されるとWHO基準にも記載されており、無分別な使用は耐性菌をさらに増やすリスクがあります。
具体的な適応として以下が挙げられます。これだけ覚えておけばOKです。
2019年12月に英国でネチルマイシンが眼の外部感染症治療薬として承認されたことは見落とされがちです。 日本ではまだこの適応の認可状況が異なる場合があるため、現行の添付文書を必ず確認してください。抗菌薬選択の際、ゲンタマイシンが無効なケースでは積極的に感受性検査結果を参照し、ネチルマイシンを検討する判断基準を持つことが重要です。
アミノグリコシド系抗生物質全般に共通する主要な副作用が腎毒性(腎障害)と耳毒性(聴力障害・前庭機能障害)です。 ネチルマイシンはこの点で他のアミノグリコシド系と比較して、10日間を超える長期治療が必要な場合に中毒性難聴の発生が少ないという特徴があります。
厳しいところですね。しかし「少ない」は「ない」ではありません。
モニタリングとして必須とされる項目は以下のとおりです。
腎機能低下患者では通常量の投与でも毒性リスクが大幅に上昇するため、投与量の個別設定(dosage adjustment)が条件です。 また、急速静注では心停止の危険があるという事実は、特に緊急時に忘れやすいポイントとして臨床での周知が重要です。クレアチニンクリアランスを把握した上での投与設計を行うことで、副作用リスクを最小化できます。TDMを実施している施設では、薬剤師との連携によるモニタリング体制が整備されていると、より安全な使用が可能です。
参考:日本化学療法学会誌 アミノグリコシド系抗菌薬の臨床評価(腎障害・耳毒性の発現頻度を実臨床データで確認できます)
http://fa.chemotherapy.or.jp/journal/jjc/32/1/32_21.pdf
ネチルマイシンの投与において、多くの医療従事者が「他のアミノグリコシド系と同じ感覚で使える」と思いがちです。これは注意が必要です。ネチルマイシンには、緑膿菌(*Pseudomonas aeruginosa*)に対してゲンタマイシンやトブラマイシンより活性が低いという固有の特性があります。 つまり、院内肺炎などで緑膿菌を想定するケースでネチルマイシンを第一選択とすることは不適切な場面が多くあります。
投与量の目安(成人、腎機能正常の場合)は以下が一般的とされています。
医療現場での重要なポイントとして、ネチルマイシンは「重篤な感染症、特にゲンタマイシン耐性感染症の治療にのみ使用される」 という原則を忘れないことが大切です。感受性試験の結果なしに漫然と使用を続けることは、次の耐性菌を生み出すリスクを高めます。これが原則です。
また、小児(特に6歳未満)への使用は骨・歯への沈着リスクが指摘されているアミノグリコシド系の特性上、慎重な適応判断が求められます。 投与前に必ず小児科専門家との相談を経ることが、安全なチーム医療の基本です。自施設の抗菌薬適正使用支援チーム(ASTチーム)への相談窓口を事前に把握しておくと、緊急時の判断精度が上がります。
参考:熊本市民病院 院内抗菌薬使用の手引き(アミノグリコシド系の注意点・相互作用を詳しく解説)
http://pharm2.kumamoto-gh.jp/wp/wp-content/uploads/2014/12/院内抗菌薬使用の手引き
あなたの通常量が腎障害を長引かせます。
東京医大病院のTDM資料でも、アミノグリコシドは初回投与量は十分量、維持量は腎機能で調節という考え方が整理されています。重症感染症で最初の一手を弱めすぎると、菌量を落とすタイミングを逃し、結果として治療期間が延びる可能性があります。時間の損失ですね。
参考)https://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/shinryo/kansen/data/06_tdm.pdf
院内TDM資料でも、アミノグリコシドはTDMが推奨され、腎機能に変動があれば濃度チェック、採血は投与開始3~4日後、投与直前採血が望ましいとされています。腎機能が動く敗血症や脱水補正中の患者では、昨日の設計が今日も正しいとは限りません。そこが難所です。
参考)https://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/shinryo/kansen/data/06_tdm.pdf
一方で、イセパマイシンは1991年に400mg1日1回投与が承認され、2分割投与と同等の有用性が認められています。検索上位ではこの「1日1回で使える」に注目した説明が多いのですが、実務で本当に重要なのは「1日1回でも腎機能監視は軽くならない」という点です。意外ですね。
この場面の対策は、腎障害と聴器障害の回避を狙って、処方時に「Scr、Ccr推定、併用腎毒性薬、採血予定日」を1行メモにすることです。候補は電子カルテの定型文や感染症テンプレートです。確認1回で漏れを減らせます。
この情報を知っていると、医師・薬剤師のどちらでも提案の質が上がります。透析日、利尿薬、VCM、白金製剤が重なる場面では、腎毒性回避を狙って併用歴を薬剤部テンプレートや抗菌薬アプリで1回確認するだけでも実務上の事故を減らしやすいです。短時間で効く工夫です。
参考になるのは、旭化成ファーマのインタビューフォームです。
https://pins.japic.or.jp/pdf/medical_interview/IF00003734.pdf
透析患者での薬物動態を確認したい場合は、この報告が役立ちます。
院内でのTDM運用の考え方を整理するなら、この資料が実務向きです。
https://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/shinryo/kansen/data/06_tdm.pdf
ブラックキャップ [12個入] ゴキブリ駆除剤 固形物 食いつき2.5倍! 置いたその日から効く 防除用医薬部外品 【Amazon.co.jp限定】