感染性口内炎にこの軟膏を塗ると、症状が3倍以上悪化するケースがあります。
トリアムシノロンアセトニドは、合成副腎皮質ステロイドの一種で、強力な抗炎症・抗アレルギー作用を持ちます。口腔用軟膏として用いた場合、基剤が口腔粘膜に付着・滞留することで、主薬が患部に集中して局所的に作用します。 全身への吸収量は微量であり、1g中1.0mgという低濃度設計のため、誤って飲み込んでも全身性副作用は基本的に問題ないとされています。
関連)https://www.bms.com/jp/patient-and-caregivers/our-medicines/kenalog-a.html
市販品・処方品ともにトリアムシノロンアセトニドの濃度は0.1%で統一されています。 つまり、ケナログAも大正クイックケアもアフタガードも、有効成分の種類と濃度は同一です。違いは基剤(付着性・使用感)と添加物のみです。これは重要なポイントです。
関連)https://keiyouwhite.com/aphthae
アフタ性口内炎に対する有効率(有効以上)は成人・小児ともに高く、小児アフタ性口内炎20例の臨床試験では有効率75.0%(15/20例)が報告されています。 炎症・疼痛・腫脹を局所で抑えるため、疼痛緩和の観点でも患者のQOL改善に貢献します。
関連)https://pins.japic.or.jp/pdf/medical_interview/IF00004857.pdf
| 製品名 | メーカー | 有効成分濃度 | 基剤タイプ |
|---|---|---|---|
| ケナログA口腔用軟膏 | BMS(現在販売終了) | 0.1% | ゼラチン・カルメロース系 |
| トラフル軟膏PROクイック | 第一三共ヘルスケア | 0.1% | ゲル化炭化水素系 |
| 口内炎軟膏大正クイックケア | 大正製薬 | 0.1% | カルボキシビニルポリマー系 |
| アフタガード | 佐藤製薬 | 0.1% | 軟膏タイプ |
基剤の違いが付着力・使用感に差をもたらします。
関連)https://www.catalog-taisho.com/category/11/002/01948/
この軟膏を使ってはいけない最重要ケースは「感染性口内炎」です。見逃すと症状が急速に悪化します。
感染性口内炎を示唆する所見として、以下を覚えておいてください。
関連)https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/products/package_insert/pdf/traful_oint_pro_3.pdf
ステロイドは免疫を抑制するため、カンジダ・細菌・ウイルスが原因の口内炎に塗布すると、病原体の増殖を助長し症状を増悪させます。 歯槽膿漏・歯肉炎などの感染が存在する部位への使用も同様に避けなければなりません。 感染性か非感染性かの鑑別が原則です。
関連)https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001le8l-att/2r9852000001leh6.pdf
また、処方薬のトリアムシノロンアセトニド軟膏(ケナログ口腔用軟膏0.1等)においては、「口腔に感染を伴う症例には原則使用しない」とされています。 やむを得ず使用する場合は、事前に適切な抗菌薬または抗真菌薬で感染をコントロールした上での適用が条件です。
関連)https://di.m3.com/medicines/cat/26/4755
使用前の口腔内清潔化が効果を大きく左右します。 まず歯磨きとうがいで口腔内を清潔にしてから塗布することで、軟膏の粘着力が高まり薬効が持続しやすくなります。
関連)https://www.jcvn.jp/column/konaien/konaien-drug/
正しい塗布の手順は以下のとおりです。
使用期間は通常5日間以内が目安です。 5日間使用しても症状が改善しない場合、感染性口内炎・ベーチェット病・天疱瘡・口腔がんなどの他疾患による口内炎が疑われます。使用継続ではなく、専門医への紹介を検討するタイミングです。
関連)https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/products/package_insert/pdf/traful_oint_pro_3.pdf
長期連用は禁物です。口腔内での長期・高頻度使用は、ステロイドによる局所免疫低下から口腔内真菌(カンジダ)感染症を引き起こすリスクが上がります。 長期使用による下垂体・副腎皮質系機能抑制も重大な副作用として添付文書に記載されています。
関連)https://medical.itp.ne.jp/kusuri/shohou-20120000004918/
口腔用製剤は全身吸収量が少ないため、全身性副作用のリスクは低いと考えられがちです。ただし、これは「ない」ではなく「少ない」という表現が正確です。
主な局所副作用は次のとおりです。
関連)https://www.shirasagi-hp.or.jp/goda/fmly/pdf/files/192.pdf
感染症由来の副作用は、使用中に症状が改善せず悪化傾向を示す場合に疑います。口腔内の白斑拡大、膿の増加、発熱の出現など異常を認めたら即座に使用を中止することが原則です。
関連)https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001le8l-att/2r9852000001leh6.pdf
また、処方品である皮膚用トリアムシノロンアセトニド軟膏(外用)は、口腔用軟膏とは別製剤です。 皮膚用を誤って口腔内に使用するとリスクがあるため、患者への説明・調剤確認の場面でも注意が必要です。これは見落としやすい点です。
関連)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00065452.pdf
副作用が疑われる時点での対応手順として、使用中止→原因の鑑別(感染性か否か)→必要に応じて抗真菌薬(フルコナゾール等)や抗菌薬の追加、という流れを頭に入れておきましょう。
参考:ケナログA口腔用軟膏の用法・禁忌・副作用について(BMS公式)
https://www.bms.com/jp/patient-and-caregivers/our-medicines/kenalog-a.html
繰り返す口内炎への対応は、単純な外用ステロイドの塗布だけでは限界があります。難治性・再発性口内炎の背景には複数の全身疾患が潜んでいます。
見逃してはならない基礎疾患の例を以下に示します。
処方医向けの情報として、ベーチェット病・天疱瘡・難治性口内炎にはトリアムシノロンアセトニド軟膏(口腔用)の適応が認められています。 ただし、単剤での効果が不十分な場合は、コルヒチン・サリドマイド・生物学的製剤(アダリムマブ等)との組み合わせも治療選択肢に入ります。
関連)https://medical.itp.ne.jp/kusuri/shohou-20120000004918/
再発性アフタの場合、栄養状態の評価(血清鉄・フェリチン・ビタミンB12・葉酸)を同時に確認し、欠乏があれば補充療法を加えると再発頻度の低下につながります。これは見落とされがちなアプローチです。
参考:ケナログ口腔用軟膏0.1 処方・薬効情報(m3.com DI Station)
https://di.m3.com/medicines/cat/26/4755
参考:トリアムシノロンアセトニド 医薬品インタビューフォーム(JAPIC)
https://pins.japic.or.jp/pdf/medical_interview/IF00004857.pdf
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