サワシリンカプセル250の添付文書には、重大な副作用として以下の項目が詳細に記載されています。
ショック・アナフィラキシー(各0.1%未満)
呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫、蕁麻疹等の症状が現れることがあります。不快感、口内異常感、喘鳴、眩暈、便意、耳鳴、発汗等の前駆症状を認めた場合は、直ちに投与を中止し適切な処置を行う必要があります。
皮膚粘膜眼症候群関連
これらの皮膚症状は各0.1%未満または頻度不明とされていますが、発熱、頭痛、関節痛、皮膚や粘膜の紅斑・水疱、膿疱、皮膚の緊張感・灼熱感・疼痛等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うことが求められます。
その他の重大な副作用
添付文書では、副作用を発生頻度別に詳細に分類して記載されています。
高頻度副作用(0.1~5%未満)
総症例29,373例中1,888例(6.4%)に副作用が認められ、主なものは下痢・軟便595例(2.0%)、食欲不振513例(1.7%)、発疹472例(1.6%)、悪心・嘔吐367例(1.2%)でした。
低頻度副作用(0.1%未満)
頻度不明の副作用
添付文書には、他剤との併用により副作用リスクが変化する可能性について記載されています。
ワルファリンカリウムとの相互作用
サワシリンカプセル250は腸内細菌によるビタミンKの産生を抑制することがあるため、ワルファリンカリウムの作用が増強される可能性があります。出血リスクの増大に注意が必要です。
経口避妊薬との相互作用
腸内細菌叢を変化させ、経口避妊薬の腸肝循環による再吸収を抑制することで、避妊効果が減弱する可能性があります。患者への適切な説明が重要です。
プロベネシドとの相互作用
尿細管分泌を阻害し、尿中排泄を低下させることで、サワシリンの血中濃度が増加し、副作用のリスクが高まる可能性があります。
添付文書には、副作用発現時の具体的な対応方法が詳細に記載されています。
アレルギー反応への対応
発疹等のアレルギー症状が現れた場合は、投与を中止し適切な処置を行うことが明記されています。特に、本人又は両親・兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者では慎重な投与が必要です。
消化器症状への対応
下痢や腹痛が現れた場合、特に偽膜性大腸炎の可能性を考慮し、頻回の下痢がある場合は直ちに投与を中止することが求められています。血便を伴う場合は緊急性が高く、迅速な対応が必要です。
肝機能障害への対応
定期的な肝機能検査の実施が推奨されており、AST、ALTの上昇が認められた場合は投与中止を検討します。黄疸が現れた場合は直ちに投与を中止し、適切な治療を開始します。
特殊な患者群での注意事項
添付文書の記載内容に加えて、臨床現場では以下の観察ポイントが重要です。
菌交代症の早期発見
サワシリンは広域ペニシリン系抗生物質として、正常細菌叢に影響を与えやすい特徴があります。口腔内カンジダ症や腸管カンジダ症の早期発見のため、口腔内の白苔や味覚異常、肛門周囲のかゆみ等に注意深く観察することが重要です。
消化器症状の詳細な評価
下痢の性状、回数、随伴症状を詳細に評価することで、単純な薬剤性下痢と偽膜性大腸炎を鑑別する必要があります。特に、血便、発熱、腹部圧痛の有無は重要な鑑別ポイントです。
皮膚症状の段階的評価
発疹の出現部位、性状、範囲を経時的に観察し、単純な薬疹から重篤な皮膚粘膜眼症候群への進展の可能性を早期に判断することが求められます。特に、粘膜病変の有無は重要な判断基準となります。
血液検査による副作用モニタリング
定期的な血液検査により、好酸球増多、肝機能異常、腎機能異常の早期発見が可能です。特に長期投与例では、週1回程度の検査が推奨されます。
薬剤師による服薬指導においては、これらの副作用症状について患者・家族への説明を行い、症状出現時の連絡方法を明確にしておくことが重要です。また、他剤との相互作用についても十分な説明を行い、安全な薬物療法の実施に貢献することが求められています。