ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩先発品の効能と副作用

ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩の先発品について、薬理作用、効能効果、副作用などを詳しく解説します。片頭痛治療における位置づけをご存じですか。

ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩先発品の基礎知識

ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩の概要
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薬理作用

静脈系に選択的な血管収縮作用を示し、片頭痛や起立性低血圧の治療に使用される薬剤

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承認年月日

1977年2月に起立性低血圧症及び血管性頭痛用剤として承認取得

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主要効果

血管緊張の維持と頭痛発作の予防に優れた効果を発揮

ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩先発品の歴史的経緯

ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩は、麦角アルカロイドの還元誘導体として開発された薬剤で、エルゴタミンに比べてα遮断作用が強く、血管収縮作用は弱いという特徴を持ちます。この薬剤は、アドレナリンα受容体の部分作動薬としての性質を有し、静脈及び抵抗血管の緊張を高める作用を示します。特に注目すべき点は、この作用が血管緊張が低下している時に顕著に現れるという点です。
日本における開発の歴史を見ると、1977年2月に起立性低血圧症及び血管性頭痛用剤として承認を取得しており、その後40年以上にわたって医療現場で使用され続けています。先発品の代表的な製品として、ジヒデルゴット錠、ヒポラール錠、パンエルゴット錠などがあり、これらは各製薬会社が独自の製剤技術により開発したものです。
参考)https://med.daiichisankyo-ep.co.jp/products/files/1233/%E3%82%A8%E3%83%AC%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%97%E3%82%BF%E3%83%B3%E9%8C%A0%E3%80%8CDSEP%E3%80%8DIF%E7%AC%AC6%E7%89%88.pdf

 

ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩先発品の薬理作用機序

ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩の作用機序は複雑で多面的です。主要な作用機序として、α受容体以外にセロトニン受容体やドパミン受容体にも作用し、それらの総合的な作用として緩和な血圧上昇と血管性頭痛の緩解をもたらします。
特に血管に対する選択性について詳しく見ると、容量血管(静脈系)に対して選択的に収縮作用を示すという特徴があります。実験データによると、イヌ摘出血管での静脈/動脈比は伏在血管で25、大腿血管で6という数値が報告されており、静脈系への選択性が明確に示されています。
さらに、セロトニンの動脈収縮に対する非競合的拮抗作用も重要な薬理作用の一つです。成熟イヌの大腿及び外頸動脈におけるセロトニンによる収縮を抑制し、特に外頸動脈に強い作用を示すことが確認されています。この抗セロトニン作用は、片頭痛の発症機序と密接に関連しており、治療効果の根幹を成しています。

ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩先発品の効能・効果と用法用量

ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩の適応症は、片頭痛(血管性頭痛)と起立性低血圧の2つに大別されます。ただし、すべての片頭痛に適応があるわけではなく、家族性片麻痺性片頭痛、脳底型片頭痛、眼筋麻痺性片頭痛、網膜片頭痛の患者には投与禁忌とされています。
標準的な用法・用量は、通常成人にはジヒドロエルゴタミンメシル酸塩として1回1mgを1日3回経口投与するとされており、年齢や症状により適宜増減可能です。この投与方法により、片頭痛に対しては発作間歇期に服用することで頭痛発作を予防し、起立性低血圧に対してはめまい、立ちくらみ、頭痛・頭重感、全身倦怠、動悸等の自覚症状を改善します。
参考)http://qws-data.qlife.jp/meds/interview/2160350F1315/

 

臨床効果について具体的なデータを見ると、片頭痛患者32例を対象とした臨床試験では、著効が12.5%、有効が53.1%、やや有効が25%という結果が報告されています。また、起立性低血圧患者46例における自覚症状の改善も確認されており、特に起立時の血圧低下による諸症状に対して優れた効果を示しています。

ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩先発品の副作用プロファイル

ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩の副作用として最も重要なのは、長期連用により生じる可能性のある線維症です。胸膜、後腹膜、心臓弁の線維症が報告されており、これは頻度不明ながら重大な副作用として位置づけられています。この副作用は長期使用における最も重要な監視項目であり、定期的な検査による早期発見が求められます。
その他の副作用については、総症例1,912例中89例(4.7%)で何らかの副作用が報告されています。主要な副作用として、消化器症状が44件(2.3%)で最も多く、悪心・嘔吐、胸やけ、食欲不振、腹痛、上腹部不快感、下痢などが含まれます。
精神神経系の副作用では、めまい、しびれ、眠気、口渇などが24件(1.3%)報告されており、循環器系では血圧上昇、血管収縮、末梢性虚血が発現することがあります。過敏症としては蕁麻疹、呼吸困難、発疹、瘙痒、顔面浮腫が16件(0.8%)報告されており、このような症状が現れた場合は直ちに投与を中止する必要があります。

ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩先発品の臨床的位置づけ

現代の片頭痛治療において、ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩は予防的治療薬として重要な位置を占めています。特に、血管性頭痛の発作間歇期に使用することで、頭痛発作の頻度や強度を軽減する効果が期待されています。しかし、近年開発されたトリプタン系薬剤やCGRP関連薬剤との使い分けが重要となっています。
起立性低血圧の治療においては、特に高齢者や自律神経障害を有する患者において、立位時の血圧維持に重要な役割を果たしています。静脈系への選択的作用により、下肢静脈での血液プーリングを軽減し、脳血流量の維持に寄与します。ただし、使用にあたっては心疾患や血管疾患の有無について十分な評価が必要です。
長期使用における安全性管理については、定期的な心エコー検査や胸部画像検査による線維症の早期発見が推奨されています。また、患者教育として、副作用の初期症状について十分な説明を行い、異常を感じた際の早期受診の重要性を伝えることが必要です。

 

さらに、他剤との相互作用についても注意が必要で、特に血管収縮作用を有する薬剤との併用時は、過度の血管収縮による虚血性合併症のリスクを考慮する必要があります。医療従事者は、これらのリスクベネフィットを十分に評価した上で、適切な症例選択と継続的な経過観察を行うことが求められています。
参考)https://www.info.pmda.go.jp/fsearchnew/fukusayouMainServlet?scrid=SCR_LISTamp;evt=SHOREIamp;type=1amp;pID=2160350amp;name=%EF%BF%BD%EF%BF%BD%EF%BF%BD%EB%A5%B4%EF%BF%BD%EF%BF%BD%EF%BF%BD%DF%A5%EF%BF%BDamp;fuku=amp;root=1amp;srtnendo=2amp;rdoMatch=falseamp;page_max=100amp;page_no=0