健康な人でも約10〜20%に生理的瞳孔不同が存在するため、アニソコリアを見つけても必ずしも異常とは限りません。
参考)【脳出血と瞳孔不同について】 - 脳梗塞リハビリ リバイブあ…

アニソコリア(anisocoria)とは、左右の瞳孔径に差がある状態を指す医学用語です。 臨床現場では「アニソコ」と略して呼ばれることが多く、看護師や医師の間で日常的に使われる略語のひとつです。 一般的には左右差が1mmを超えるものを異常として扱いますが、0.5mm以上の左右差を指すこともあります。
参考)瞳孔不同(アニソコリア)
成人の標準的な瞳孔径は2.5〜4mmとされています。 測定には自然光(部屋の明かりや消灯台の明かり)の下で行うのが基本です。 正確な径の計測にはペンライトやカード型の瞳孔スケールを使用します。
参考)瞳孔不同(アニソコリア)とは?原因や疑うべき疾患を解説…
アニソコリアの原因は、大きく「生理的瞳孔不同」と「病的瞳孔不同」の2つに分類されます。 この分類を最初に意識することが、臨床判断の出発点になります。
参考)https://iryou.click/others/anisocoria%E2%86%92-everything-you-need-to-know/
生理的瞳孔不同は、神経異常や眼疾患のない健康な状態でも約10〜20%の人に見られます。 左右差は通常1mm以内で、明所でも暗所でも差が変わらないのが特徴です。 昔の写真を確認して幼少期から同様の左右差がある場合は、生理的と判断できます。
病的瞳孔不同の主な原因は以下のとおりです。
つまり「散瞳側=動眼神経障害」「縮瞳側=交感神経障害(ホルネル)」という対応が基本です。 これが混乱しやすいポイントなので、最初に整理しておきましょう。
参考)https://blog.goo.ne.jp/medical-dictionary/e/66fc1d3d48e14552b1a94be8502c5e35
アニソコリアの診断で最も重要なのが、「暗所と明所で左右差がどう変化するか」を確認する検査です。 この2条件を比べるだけで、障害が交感神経側か副交感神経(動眼神経)側かを絞り込めます。
参考)瞳孔不同(アニソコリア)
| 検査条件 | 左右差が拡大する場合 | 疑う病態 |
|---|---|---|
| 🌑 暗所 | 縮瞳側の瞳孔が散大しにくい | ホルネル症候群(交感神経障害) |
| ☀️ 明所 | 散瞳側の瞳孔が縮小しにくい | 動眼神経麻痺(副交感神経障害) |
対光反射の正常所見は「迅速な1mm以上の縮瞳」です。 これが遅延する、または消失する場合は神経障害を強く疑います。
参考)対光反射と瞳孔の見方~脳の状態をアセスメントする瞳孔の観察~…
ホルネル症候群が疑われる場合には、点眼試験が有用です。 1%フェニレフリン点眼で散瞳が弱い場合はホルネル陽性を示し、さらに局在(中枢・節前・節後ニューロン)の鑑別には、コカイン点眼やチラミン点眼が使われることがあります。 ただし実際の臨床で実施される頻度は高くないことも知っておきましょう。
参考)Horner症候群について|眼科医ぐちょぽいのオンライン勉強…
生理的瞳孔不同との鑑別には、過去の写真(パスポートや免許証など)を確認するのが最も確実で手軽な方法です。 昔から同じ左右差がある=生理的と判断できる、これは実践でも使えます。
アニソコリアで最も見逃してはならないのは、意識障害を伴うケースです。 この状態は脳浮腫が進行して動眼神経を圧迫しており、脳ヘルニアの切迫サインとして非常に危険です。
参考)対光反射と瞳孔の見方~脳の状態をアセスメントする瞳孔の観察~…
緊急度評価のフローは以下の順に進めます。
参考)瞳孔と対光反射の観察
参考)なぜアニソコなるの?(頭蓋内圧亢進と脳ヘルニア)【看護師国家…
nanosweb(https://www.nanosweb.org/files/Anisocoria(1).pdf)
意識障害を伴わない場合でも注意が必要です。 動眼神経麻痺(眼瞼下垂・眼球運動障害の合併)があれば、脳動脈瘤の可能性があり、クモ膜下出血発症前の状態を示すことがあります。 このケースは医学的緊急性を要し、CT・MRI・脳血管造影が推奨されます。
参考)https://blog.goo.ne.jp/medical-dictionary/e/66fc1d3d48e14552b1a94be8502c5e35
散瞳+眼瞼下垂+眼球運動障害の3つが揃ったら、動脈瘤の存在を示すサインとして最大限の注意が必要です。 「意識があるから大丈夫」という判断は危険です。 nanosweb(https://www.nanosweb.org/files/Anisocoria(1).pdf)
臨床でしばしば問題になるのが、薬物や点眼薬が原因のアニソコリアです。 抗コリン薬(アトロピン、スコポラミンなど)が皮膚や眼に接触しただけで一側性の散瞳が生じることがあり、神経障害と誤診されるリスクがあります。
参考)https://iryou.click/others/anisocoria%E2%86%92-everything-you-need-to-know/
認知度は高くないものの、「アディー瞳孔(強直性瞳孔)」も重要な鑑別疾患です。 これは毛様体神経節の障害で生じる瞳孔異常で、若い女性に多く見られます。特徴は以下のとおりです。
参考)https://iryou.click/others/anisocoria%E2%86%92-everything-you-need-to-know/
アディー瞳孔は緊急性は低いですが、腱反射消失(アディー症候群)を伴う場合は自律神経障害の一部として全身評価が必要になります。意外ですね。
医療従事者として特に意識したい独自視点として、「経過を無視した単回測定への依存」があります。アニソコリアは一時点の大きさだけでなく、「以前と比べて変化したかどうか」が診断の核心です。 特に集中治療室・救急外来では、経時的な瞳孔記録が見逃しの防止につながります。電子カルテへの瞳孔径の定量記録(例:R:3mm/L:4mm, 対光反射+/−)を習慣化することが、チーム全体のアセスメント精度を高めます。これは使えそうです。
参考:瞳孔観察・対光反射のアセスメント方法について詳しく解説されています。
参考:ホルネル症候群の局在診断と点眼試験の詳細について。
Horner症候群について|眼科医ぐちょぽいのオンライン勉強会
参考:瞳孔不同(アニソコリア)の原因・診断・治療の英文ベース解説の日本語版。
瞳孔不同(アニソコリア)について - iryou.click
参考:脳ヘルニア・頭蓋内圧亢進と瞳孔不同の関係について、看護師国家試験レベルから詳解。
瞳孔不同(North American Neuro-Ophthalmology Society)
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