エタネルセプトとセルトリズマブペゴルなら、あなたの妊娠中も継続できます。

日本で使用可能なTNF阻害薬は、バイオシミラーを除くと6種類です。これらは構造によって大きく2つに分類されます。
関連)https://note.com/dr_kogen/n/n3344de99574d
抗TNF抗体製剤には、インフリキシマブ(レミケード)、アダリムマブ(ヒュミラ)、ゴリムマブ(シンポニー)、セルトリズマブペゴル(シムジア)があります。これらはTNF-αに直接結合して中和する抗体です。一方、可溶性TNF受容体製剤であるエタネルセプト(エンブレル)は、TNF-αの受容体部分を利用した構造となっています。
関連)https://forestclinic.jp/tnf/
半減期の違いを理解すると、休薬時の対応が明確になりますね。
インフリキシマブとアダリムマブではMTX併用が必須です。これは中和抗体の産生を抑制し、TNF阻害薬の効果を維持するためです。
関連)https://redcross.repo.nii.ac.jp/record/9526/files/p014.pdf
エタネルセプトやその他のTNF阻害薬は単独使用も可能ですが、MTX併用により効果が高まることが臨床試験で確認されています。TEMPO試験では、エンブレル+MTX併用療法で3年後に-0.14ポイントと関節の修復の可能性が示されました。
関連)https://yukawa-clinic.jp/knowledge/biologicalpreparation/tnf-inhibitorxmtx.html
MTXが使用できない患者背景(肝機能障害、腎機能障害、高齢など)では、TNF阻害薬以外の生物学的製剤やJAK阻害薬も検討する必要があります。
関連)https://forestclinic.jp/tnf/
MTX併用でTNF阻害薬の真価が発揮されるということですね。
エタネルセプトとセルトリズマブペゴルは、妊娠中でも使用が比較的安全とされています。これらの薬剤は抗体のFc領域がなく、胎盤移行性が低いことが確認されているためです。
関連)https://forestclinic.jp/tnf/
抗TNFα抗体製剤は妊娠中の全期間において使用可能ですが、妊娠末期まで使用した場合は胎盤移行による児への影響が考えられます。具体的には、出生後6ヶ月に達する前のBCGやロタウイルスワクチンなどの生ワクチン接種を控える必要があります。
関連)https://ra-ibd-sle-pregnancy.org/doctor_toward/d-010.html
妊娠16-30週以降の抗TNFα製剤投与を制限すべきとの意見もありますが、実際には投与の継続が必要となることも多く、関節リウマチの活動性が非常に高い場合には妊娠20〜30週までは使用可能と考えられています。
関連)https://www.nishioka-clinic-ra.com/column/ninshin.html
妊娠希望の患者には、薬剤選択の段階で胎盤移行性を考慮することが重要です。
妊娠と生物学的製剤に関する詳細な推奨文(日本リウマチ学会・日本産科婦人科学会による見解)
投与方法は点滴と皮下注射に分かれます。インフリキシマブは唯一の静脈投与製剤で、効果の発現が早く、数日以内に効果を実感できる患者もいます。
関連)https://www.azuma-rheumatology-clinic.jp/features/biological-products/
皮下注射製剤の投与頻度は薬剤により異なります。エタネルセプトは週1回、アダリムマブは2週に1回、ゴリムマブは4週に1回です。インフリキシマブは初回・2週間後・6週間後に投与し、その後は2ヶ月に1回の点滴となります。
関連)https://ike-seikei.jp/tnfinhibitor-blog/
インフリキシマブは効果不十分なときに投与量を増量(3〜10mg/kg)もしくは投与間隔を短縮(6〜8週間毎)することで効果が得られることがあり、個々に合わせた調整が可能です。
関連)https://yukawa-clinic.jp/knowledge/biologicalpreparation/feature.html
通院の負担を考えると、投与頻度は患者のライフスタイルに大きく影響します。
初回のTNF阻害薬で効果不十分または効果減弱した場合、他のTNF阻害薬への切り替えより、アクテムラ(トシリズマブ)やオレンシア(アバタセプト)などのNon-TNF製剤への切り替えの方が有効性が高いことが報告されています。
関連)https://yukawa-clinic.jp/blog/treatment-strategy/post-616.html
これは、TNF阻害薬で効果が得られない場合、TNF経路以外の炎症メカニズムが優位になっている可能性を示唆します。Non-TNF製剤は生物学的製剤の第一選択で使用しても有効性が高く、TNF阻害薬効果不十分な場合にもその有効性が期待できる薬剤です。
関連)https://yukawa-clinic.jp/blog/treatment-strategy/post-616.html
初回TNF阻害薬から2番目のTNF阻害薬への切り替えは、初回投与時よりも効果が劣る傾向があります。
関連)http://www.hakatara.net/images/no10/10-11.pdf
同じ作用機序への固執が、治療機会の損失につながる可能性があるということです。
バイオシミラーの薬価は、原則として先行バイオ医薬品の約70%に設定されています。2025年時点で、アダリムマブのバイオシミラーは18,636円であるのに対し、先行品のヒュミラは46,864円と、約2.5倍の価格差があります。
関連)https://www.hosaka-clinic.com/price202204/
エタネルセプトのバイオシミラーも先行品エンブレルの約65%の価格で提供されており、1ヶ月の薬価は22,640円(エタネルセプト25mg)vs 34,460円(エンブレル25mg)となっています。
関連)https://www.hosaka-clinic.com/price202204/
先行アダリムマブからバイオシミラーへの切り替え率10%でも、100万ドル以上のコスト削減が見られたという報告があります。TNF阻害薬は販売経過期間が長いこともあり、価格低下が目立ちますが、効果が悪くなったわけではありません。
関連)https://www.pcubed.jp/medicine/20240731-1110/
医療費負担を減らすポイントは、バイオシミラーの選択です。
TNF阻害薬投与前には潜在性結核感染症(LTBI)のスクリーニングが必須です。具体的には、結核の病歴と家族歴聴取、抗原特異的インターフェロンγ遊離試験(IGRA)and/orツベルクリン反応、胸部X線検査を行います。
関連)http://journal.chemotherapy.or.jp/detail.php?-DB=jsc&-recid=5059&-action=browse
LTBI治療はTNF阻害薬投与に先行して開始し、通常はイソニアジド(INH)300mg/日が使用されます。しかし、LTBI治療を行ってもTNF阻害薬投与中に活動性結核を発症した症例が報告されています。
関連)https://www.chemotherapy.or.jp/journal/jjc/06206/062060681.pdf
活動性結核を含む重篤な感染症を有している患者では、感染症の治療を優先し、感染症の治癒を確認後にTNF阻害薬の投与を行います。高齢者、肺疾患を有する患者、ステロイドを服用している患者など、重篤な感染症を発症するリスク因子を有する患者には、ST合剤などの積極的な予防投与を考慮します。
関連)http://www.spondyloarthritis.jp/guideline/guideline_2.html
スクリーニングを徹底しても、投与中の結核発症リスクはゼロではありません。
TNF阻害薬は関節リウマチ以外にも、乾癬性関節炎(PsA)、強直性脊椎炎(AS)、ベーチェット病、サルコイドーシス、非感染性ぶどう膜炎などへの適応が広がっています。
関連)https://chigasaki-localtkt.com/TNFsogaikusurinchichiryoudenotekiou/
PsAについてはインフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴルの3剤が使用可能で、ASについてはインフリキシマブとアダリムマブの2剤が使用可能となっています。これらの疾患においても、TNF-αが炎症反応の中心的役割を果たしているためです。
関連)https://chigasaki-localtkt.com/TNFsogaikusurinchichiryoudenotekiou/
関節リウマチで確立された使用経験が、他の炎症性疾患への応用を可能にしました。
TNF-αをターゲットとする戦略は、複数の自己免疫疾患に有効ということです。
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