テルビナフィンの最も重要な副作用として、重篤な肝障害が挙げられます。肝不全、肝炎、胆汁うっ滞、黄疸等が報告されており、死亡に至った例も複数報告されています。これらの副作用は使用開始後数週間から数ヶ月で発現することが多く、医療従事者は定期的な肝機能検査の実施が不可欠です。
参考)https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00051717
血液系の副作用も同様に重篤で、汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少が報告されています。これらの副作用により感染症のリスクが高まり、出血傾向や貧血症状が出現する可能性があります。
参考)https://www.maruho.co.jp/medical/articles/terbinafine/charactaristic/index.html
テルビナフィンによる皮膚副作用は多様で、軽微なものから重篤なものまで幅広く報告されています。特に注意すべきは、中毒性表皮壊死融解症(TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、急性全身性発疹性膿疱症などの重篤な皮膚反応です。
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/medical_interview/IF00000221.pdf
亜急性皮膚エリテマトーデスという珍しい副作用も報告されており、これは自己免疫疾患様の皮膚症状を呈します。この副作用は特に女性患者で発現しやすく、紫外線暴露が誘因となることがあります。
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/medical_interview/IF00000220.pdf
テルビナフィンの一般的な副作用として胃腸症状が高頻度で報告されています。国内第Ⅱ相試験では、胃部不快感が3.4-3.6%、腹痛が1.2-3.4%、下痢が2.3%の頻度で認められました。これらの症状は比較的軽微ですが、患者のQOLに影響を与える可能性があります。
参考)https://www.nichiiko.co.jp/medicine/file/78490/interview/78490_interview.pdf
味覚異常や味覚消失も特徴的な副作用として知られており、約15%の患者で報告されています。この副作用は薬剤の亜鉛キレート作用による亜鉛欠乏が原因とされ、治療終了後数ヶ月で回復することが多いです。
参考)https://med.sawai.co.jp/file/pr22_1106.pdf
あまり知られていない副作用として、横紋筋融解症とそれに伴う急性腎不全が報告されています。この副作用は他の薬剤との相互作用により増強される可能性があり、特にスタチン系薬剤との併用時には注意が必要です。
参考)https://www.qlife.jp/meds/rx37844.html
CK(クレアチンキナーゼ)値の上昇、筋肉痛、脱力感、赤褐色尿が主な症状です。また、BUN(血中尿素窒素)上昇も報告されており、腎機能への影響も考慮する必要があります。
テルビナフィンによるアレルギー反応は多様で、軽微な発疹から重篤なアナフィラキシーまで幅広く報告されています。薬剤性過敏症症候群(DIHS/DRESS)は特に注意が必要で、発疹、発熱、肝機能障害、好酸球増加、リンパ節腫脹を特徴とする重篤な副作用です。
光線過敏性反応も報告されており、紫外線暴露により皮膚炎が誘発される場合があります。患者には適切な日光対策の指導が重要です。
血清病様反応として、蕁麻疹、発熱、関節痛の三徴候を呈する症例も報告されており、免疫複合体の関与が示唆されています。
日本皮膚科学会による爪白癬治療ガイドラインでは、テルビナフィン使用時の副作用モニタリングについて詳細な推奨事項が示されています。
日本皮膚科学会爪白癬診療ガイドライン2019
厚生労働省の重篤副作用疾患別対応マニュアルには、テルビナフィンによる重篤肝障害の詳細な対応方法が記載されています。