爪白癬がうつるリスクと家族感染防止対策

爪白癬は家族や同居者にうつる感染症で、特に高齢者や糖尿病患者で感染リスクが高まります。バスマットやスリッパの共用が主な感染経路となりますが、適切な予防対策で感染を防ぐことは可能です。爪白癬の感染メカニズムを理解し、どのような予防策が有効なのでしょうか?

爪白癬がうつる原因と感染経路

爪白癬感染の基本情報
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感染原因菌

白癬菌(皮膚糸状菌)というカビが爪に侵入し繁殖

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家庭内感染経路

バスマット、スリッパ、床などを通じた間接感染

感染成立時間

皮膚に付着後24時間で感染が成立する可能性

爪白癬の感染メカニズムと感染確率

爪白癬は白癬菌というカビの一種が原因で発症し、感染者から他の人にうつる感染症です 。爪白癬や足白癬の患者の皮膚や爪がはがれ落ちることで、白癬菌が床やバスマットなどの環境に散布されます 。
参考)爪水虫は人にうつるの?

 

研究データによると、感染者がいる世帯の44~47%で家族間感染が発生しており、同居する足・爪白癬患者から菌が散布されている環境では、感染リスクが約20%高くなることが報告されています 。白癬菌は皮膚に付着してから約24時間で皮膚内部に侵入し感染が成立するため、1日1回の入浴で足を丁寧に洗うことで感染予防が可能です 。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8779452/

 

爪白癬の主要感染経路と感染リスクが高い場所

最も頻度が高い感染経路は家庭内感染で、感染者が素足で歩くことで白癬菌が床に散布され、それを他の人が踏むことで感染します 。特に感染リスクが高い場所として、バスマット、足ふきマット、スリッパ、絨毯、畳や布団などが挙げられます 。
参考)白癬(水虫・たむしなど) Q8 - 皮膚科Q&A(公益社団法…

 

公衆浴場やスポーツジム、プールの脱衣所なども高リスク環境で、不特定多数の人が裸足で使用するマットやスリッパを共有することで感染機会が増加します 。家庭内では、タオルやバスマットの共有、爪切りの貸し借りも感染経路となるため注意が必要です 。
参考)水虫・爪白癬を「うつさない」「うつされない」ためには

 

爪白癬感染のリスク要因と感受性の高い人

爪白癬の感染リスクを高める主要な要因として、加齢、男性、糖尿病免疫力の低下、血行不良、多汗症、閉鎖的な環境での長時間の靴着用などが挙げられます 。特に糖尿病患者では爪白癬の有病率が29.18%と高く、糖尿病性神経障害やHbA1c値の上昇と有意な関連があることが報告されています 。
参考)水虫、爪水虫

 

高齢者においても感染率が顕著に高く、男性では70代で16.9%、80代で23.4%、90代で33.8%、女性でも70代で10.3%、80代で14.2%、90代で23.0%が感染しています 。免疫抑制剤を服用中の患者やリウマチなどで免疫力が低下している場合も感染しやすいため、特に注意が必要です 。
参考)ニノ切やまもとクリニック

 

爪白癬の高齢者施設における集団感染リスク

高齢者施設では60歳以上の4人に1人が水虫に感染しているという統計があり、集団生活環境において感染拡大のリスクが高まっています 。入浴サービスでは足ふきマットや共有スペースを通じた感染が懸念され、自覚症状がほとんどないまま感染を広げてしまうケースも多く見られます 。
参考)高齢者によくみられる感染症のひとつ「白癬」を防ぐためのケア

 

施設内では入浴後の爪のケア時に爪切りを共用することで感染が拡大する可能性があり、白癬菌が増殖している状態での爪ケアは特に危険です 。高齢者は免疫力の低下により一度感染すると治療が長期化しやすく、適切な治療を行わないと完治が困難になるため、早期発見と治療が重要です 。
参考)老人ホームでの水虫の対応について

 

爪白癬感染を防ぐ具体的な予防策

感染予防の基本は足の清潔管理で、帰宅後は速やかに靴下を脱ぎ、石鹸を使って足の指の間や爪の周りまで丁寧に洗浄することが重要です 。洗浄後は清潔なタオルで水分を完全に除去し、乾燥させることで白癬菌の繁殖を抑制できます 。
参考)気づきにくい爪白癬に注意を 放置すると転倒の原因にも

 

家庭内感染を防ぐためには、感染者とバスマットやタオル、スリッパの共有を避け、これらの用品を定期的に洗濯・天日干しすることが効果的です 。また、通気性の良い靴下や靴を選択し、同じ靴を連日着用しないことで足の蒸れを防ぎ、白癬菌の繁殖環境を作らないことが重要です 。
参考)白癬(水虫)・爪白癬の治療法や予防法