治験データではアカシジアの発現率が25.6%でしたが、市販後調査では2.5%まで低下します。
関連)https://cocoromi-mental.jp/perospirone/about-perospirone/

ペロスピロン(商品名:ルーラン)の副作用データには、注目すべき「2つの顔」があります。承認時の治験では十分量を投与するため、副作用発現率が高めに記録されています。
関連)https://cocoromi-mental.jp/perospirone/about-perospirone/
治験時のデータを見ると、プロラクチン増加が27.5%、アカシジアが25.6%、不眠が22.8%、振戦が15.2%、眠気が14.5%という数値が並んでいます。 一方、市販後調査ではアカシジア2.5%、眠気2.2%、不眠1.8%と、約10分の1まで下がります。
関連)https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00059822
つまり、治験データだけを見て「副作用が多い薬」と判断するのは早計です。
この差が生まれる理由は、市販後では「副作用が出たら減量・中止」という現実的な調整が行われるためです。医療現場では添付文書の数値を参照しつつ、個別患者の反応に合わせた投与量の調整が重要になります。処方初期はとくに週単位での状態確認を意識すると、副作用の見落としを防げます。
錐体外路症状(EPS)はペロスピロンで最も発現頻度が高い副作用群です。具体的にはパーキンソン症候群(振戦・筋強剛・流涎・仮面様顔貌・歩行障害)が25.6%、アカシジア(静坐不能)が25.4%、ジスキネジアが13.1%と報告されています。
関連)https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00059822
EPSは種類によって患者の訴え方が大きく異なります。
関連)https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00059822
アカシジアは「不安感」「焦燥感」として精神症状と混同されやすい点が特に注意が必要です。患者が「薬が効いていない」「調子が悪くなった」と訴える場合、EPSの可能性を疑うことが原則です。症状が疑われる際は、ビペリデン(アキネトン)などの抗パーキンソン薬の使用や減量を検討します。
悪性症候群は頻度1%未満と記載されていますが、見逃すと生命に関わります。
関連)https://www.japic.or.jp/mail_s/pdf/24-10-1-46.pdf
発症のサインは特徴的な4徴候を押さえておくと早期発見につながります。
関連)https://www.japic.or.jp/mail_s/pdf/24-10-1-46.pdf
| 症状 | 具体的な所見 | 注意点 |
|---|---|---|
| 高熱 | 38℃以上の発熱 | 感染症と混同しやすい |
| 筋強剛 | 全身の筋肉の著しい硬直 | EPSと区別が必要 |
| 意識障害 | 無動緘黙、錯乱 | 精神症状と混同しやすい |
| 自律神経症状 | 頻脈・血圧変動・発汗 | 複数同時に出現する |
悪性症候群が疑われた場合は、ただちにペロスピロンを中止し、体冷却・補液などの全身管理を開始します。 同時に、CK(クレアチンキナーゼ)の急上昇と尿中ミオグロビン上昇が確認された場合は横紋筋融解症の合併を疑い、急性腎障害への進展に注意が必要です。
関連)https://www.japic.or.jp/mail_s/pdf/24-10-1-46.pdf
薬の増減時に起こりやすい点も見落とせません。増量・減量・他薬への切り替えのタイミングは、悪性症候群が生じやすいため、変薬後72時間は特に注意して観察することが推奨されます。
プロラクチン増加は治験で27.5%という高頻度で報告されており、見かけ上の「副作用の少ない薬」というイメージとのギャップが大きい副作用のひとつです。
関連)https://cocoromi-mental.jp/perospirone/about-perospirone/
プロラクチン上昇が続くと、女性では月経異常・無月経・乳汁分泌が生じ、男性では性機能障害(射精障害など)が現れることがあります。 長期投与中の患者では、骨密度低下のリスクも報告されています。これは見逃されやすいです。
関連)https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00059822
また、ペロスピロンでは高血糖や糖尿病の悪化が起こる可能性があり、糖尿病性ケトアシドーシスや糖尿病性昏睡に至るケースも報告されています。 糖尿病の既往がある患者、肥満傾向のある患者への投与時は、定期的な血糖モニタリングが条件です。
関連)https://www.japic.or.jp/mail_s/pdf/24-10-1-46.pdf
なお、添付文書改訂情報によりトリグリセライド上昇・総コレステロール上昇も頻度不明ながら報告されており、脂質代謝への影響にも注意が必要です。
関連)https://med.nipro.co.jp/servlet/servlet.FileDownload?file=01510000000HsYzAAK
参考:ペロスピロン塩酸塩水和物の添付文書・使用上の注意改訂情報(日本医薬情報センター)
https://www.japic.or.jp/mail_s/pdf/24-10-1-46.pdf
ペロスピロンは1日3回の服用が原則です。 これは他の非定型抗精神病薬(1日1~2回のものが多い)と比べて、患者の服薬負担が大きい設計になっています。
関連)https://www.youtube.com/watch?v=0dvlzusdot4
服薬忘れが多い患者では、血中濃度が不安定になりやすく、症状の波が大きくなります。そして現場でよく見られるのが、「副作用が自然に消えた」と思ったら実は服用が不規則になっていた、というパターンです。これが管理の落とし穴です。
アドヒアランス低下のサインを早めにキャッチするために、以下の確認が有効です。
飲み忘れが多い場合、薬の効果が出にくいだけでなく、突然の服用再開で副作用が急に現れるリスクもあります。安定した効果を引き出すためには、1日3回というスケジュールを患者の生活リズムに合わせて設計することが、処方設計の基本です。
また、副作用のモニタリングには添付文書だけでなく、KEGG MEDICUSやHOKUTOなどの医師向け薬剤情報データベースの定期確認も実用的な方法です。
参考:ペロスピロン塩酸塩の副作用一覧(KEGG MEDICUS)
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00059822
参考:精神科薬剤の副作用について(こころ笑顔クリニック)
https://kokoro-egao.net/blog/?p=428
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