ヒドロコルチゾンは副腎皮質ホルモンの一種で、強力な抗炎症作用と抗アレルギー作用を有している 。痔疾患において、患部の炎症、毛細血管の拡張、浮腫、そう痒等の症状を消失または軽減させる効果を発揮する 。この成分は体内のグルココルチコイド受容体に結合し、遺伝子転写を調節することで抗炎症効果を示す 。
参考)プロクトセディル軟膏の効能・副作用
ヒドロコルチゾンの作用機序は、サイトカインなどの炎症性物質の産生を抑制することにある 。また、ストレス下では血糖値や血圧の維持に関与し、免疫反応の調整機能も持つ 。痔疾治療薬として使用される場合、通常1日1~3回適量を患部に塗布または注入することで効果を発揮する 。
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00010996.pdf
フラジオマイシン硫酸塩は、アミノグリコシド系抗生物質に分類される抗菌成分である 。グラム陽性菌、グラム陰性菌、抗酸菌、放射菌、レプトスピラに対してタンパク合成阻害により殺菌的な抗菌作用を示す 。
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/medical_interview/IF00005225.pdf
この成分の作用機序は、細菌のリボソームに結合してタンパク質合成を阻害することである 。フラジオマイシンは炎症や浮腫を起こした患部の二次感染を治療および予防する重要な役割を担っている 。精度管理用菌株7株および臨床材料由来70株の計77株に対するMIC測定では、S. faecalisと一部の耐性菌を除いてMIC値が低く、優れた抗菌作用が認められている 。
参考)ヘモレックス軟膏の効能・副作用
ヒドロコルチゾンとフラジオマイシンの配合により、単独使用では得られない相乗的な治療効果が期待できる 。二次的な細菌感染を起こした病巣において、細菌集落数の減少または消失が認められており 、抗炎症作用と抗菌作用の相互補完的な効果が確認されている。
参考)https://medical.kowa.co.jp/asset/item/53/1-pi_130.pdf
臨床試験では、有効率が90.3%という高い治療成績が報告されている 。配合剤として製剤化されることで、痔疾患の複雑な病態(疼痛、炎症、そう痒、出血、腫脹、細菌感染等)に対して総合的なアプローチが可能となる 。また、他成分配合により妨害的な影響を受けることなく、各成分の効果が維持されることも確認されている 。
ヒドロコルチゾンは、外用ステロイドの中でも比較的安全性が高い成分として知られている 。特に顔面や首などのデリケートな部位での使用も可能で、皮膚萎縮の発現率が低いことが特徴である 。ミディアムクラス(IV群)に分類されるステロイド外用薬として、軽度から中等度の皮膚炎に対して適切な効果を発揮する 。
参考)ロコイド(ヒドロコルチゾン)
長期使用時の安全性についても、最長6か月までの使用で皮膚萎縮の兆候はみられなかったという報告がある 。ただし、大量または長期にわたる使用により下垂体・副腎皮質系機能の抑制をきたす可能性があるため 、医師の指導のもと適切な用法・用量を守ることが重要である。感作されるおそれがあるため、使用中は観察を十分に行い、感作の兆候が現れた場合は使用を中止する必要がある 。
参考)プロクトセディル坐薬の基本情報(副作用・効果効能・電子添文な…
フラジオマイシンを含むアミノグリコシド系抗生物質は、独特の耐性機序を持つことで知られている 。主な耐性機序は修飾酵素の産生による薬剤の不活性化であり、アセチル化(AAC)、リン酸化(APH)、アデニリル化(AAD)の3つの作用がある 。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi/131/11/131_11_1653/_pdf
耐性菌の出現を防ぐため、フラジオマイシン耐性菌または非感性菌による皮膚感染がある場合は使用を避ける必要がある 。また、鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎では難聴があらわれることがあるため禁忌とされている 。長期連用により腎障害や難聴等があらわれる可能性があることから、長期連用は避けることが推奨されている 。
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00000382.pdf