フルナリジンは日本では処方薬として承認されておらず、個人輸入に頼ると薬事法違反のリスクがあります。
フルナリジン(Flunarizine)は、カルシウム拮抗薬(カルシウムチャネルブロッカー)の一種で、主に片頭痛の予防治療やめまい(眩暈)の症状緩和に用いられる薬です。ベルギーのヤンセン・ファーマシューティカ社によって開発され、1970年代から欧州・アジアを中心に広く使用されてきた歴史があります。
フルナリジンが注目される理由のひとつは、その作用機序にあります。カルシウムイオンが血管平滑筋細胞に流入するのを阻害することで、脳血管の過収縮を防ぎます。片頭痛の発作は脳内血管の異常な拡張・収縮が関わっていると考えられており、フルナリジンはその予防的なコントロールに効果的とされています。
薬の名称としては「シベリウム(Sibelium)」という商品名で知られることが多いです。これが海外での一般的な呼称であり、日本語で検索する際に「シベリウム」「フルナリジン」の両方で情報が出てくる場合があります。つまり、同じ薬を指しています。
フルナリジンの適応症をまとめると以下のとおりです。
欧州では多くの国で医師の処方のもと使用が認められており、特にオランダ・ベルギー・フランスなどでは片頭痛予防薬として第一選択肢のひとつとして位置づけられています。アジアではインド・韓国・台湾・フィリピンなどでも正式に承認されています。
日本でフルナリジンが話題になる背景には、既存の片頭痛予防薬に十分な効果を感じられない患者層が、海外の治療情報を調べる中でこの薬の名前に出会うというケースが多いと考えられます。意外ですね。しかし、日本における承認状況は大きく異なります。
参考情報として、片頭痛治療の国際的なガイドラインを公開している団体のサイトも確認しておくと理解が深まります。
日本頭痛学会 公式サイト(日本における頭痛診療ガイドラインや推奨薬の情報が掲載されています)
結論から言えば、フルナリジンは現在(2025年8月時点)、日本では医薬品として承認されていません。これは非常に重要な点です。
日本の医薬品は、厚生労働省が定める薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)に基づき、承認を受けたものでなければ製造・販売・使用が原則として制限されています。承認を受けていない医薬品を無許可で販売した場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性があります。
「個人輸入なら問題ないのでは?」と思う方もいるかもしれません。個人が自分で使用する目的で海外から医薬品を輸入することは、一定の条件下では認められています。しかし、その条件は明確に定められており、次の点に注意が必要です。
つまり、個人輸入には「法律的グレーゾーンと健康リスクの両方」が存在するということです。フルナリジンは処方薬であり、専門家の判断なしに服用すると副作用リスクが高まります。
さらに注意すべき点として、インターネット上でフルナリジンを販売しているサイトの中には、医師の処方箋なしに入手できるように見せかけているものも存在しますが、そのような経路での入手は法的リスクに加え、偽造品・粗悪品の可能性もあり、非常に危険です。
フルナリジンが日本で承認されなかった主な理由のひとつとして、後述するパーキンソン症状などの副作用懸念が挙げられます。欧米でも1980〜90年代にかけてこれらの副作用が問題視され、適応範囲の見直しや使用制限が行われた経緯があります。
日本の薬機法の詳細や個人輸入に関するルールについては、以下の公式サイトで確認できます。
厚生労働省「個人輸入について」(医薬品の個人輸入に関する公式ガイドライン)
フルナリジンの有効性は、複数の臨床試験や国際的なメタアナリシスによって一定程度証明されています。特に片頭痛予防薬としての効果は、プロプラノロール(β遮断薬)と同等以上とする研究もあり、海外のガイドラインでは「推奨グレードA」に位置づける機関もあります。
片頭痛への効果について具体的に見ていきます。ある大規模な比較試験(欧州・アジアを対象)では、フルナリジン10mgを12週間服用したグループで、月あたりの片頭痛発作回数が平均約40〜50%減少したという報告があります。発作頻度が月に4回以上あった患者群での改善が特に顕著だったとされています。これは使えそうです。
めまい(眩暈)に対する効果については、前庭系(平衡感覚を司る内耳〜脳幹の神経系)への影響が主なメカニズムと考えられています。末梢性めまい(メニエール病に伴うものなど)および中枢性めまいの両方に対して有効性が示されている研究があります。ただし、日本国内では同用途にベタヒスチンメシル酸塩(メリスロン)やジフェンヒドラミンなどが使用されており、フルナリジンがなくても選択肢は存在します。
フルナリジンの作用の特徴をまとめると以下のとおりです。
特に「半減期が約18〜20日」という点は重要です。これは、服薬を中止しても2〜3週間は体内に薬が残り続けることを意味します。服用期間が長くなるほど体内に蓄積され、副作用が出やすくなるとも言われています。
なお、日本国内で片頭痛予防に使用される薬としては、バルプロ酸ナトリウム(デパケン)、プロプラノロール(インデラル)、アミトリプチリン(トリプタノール)などがあります。2021年以降は、CGRP関連の新しい片頭痛予防薬(アジョビ、エムガルティなど)も承認されており、治療の選択肢は以前より広がっています。
臨床神経学(J-STAGE):神経科領域の最新研究論文データベース。片頭痛・めまい治療に関する国内研究が多数収録されています。
フルナリジンには無視できない副作用が複数存在します。これが日本での承認が見送られてきた背景のひとつです。副作用のリスクは原則として承知しておく必要があります。
最も深刻とされる副作用は、遅発性ジスキネジアおよびパーキンソン症状です。フルナリジンはドーパミン受容体を遮断する作用を持つため、長期間・高用量で使用した場合に手足の震え、歩行困難、筋肉のこわばりといったパーキンソン病に似た症状が現れることがあります。欧州で行われた調査では、フルナリジン長期服用者の数%〜10%程度にこうした症状が見られたとする報告もあります。
次に多い副作用として、眠気・鎮静が挙げられます。フルナリジンは抗ヒスタミン作用を持つため、服用後に強い眠気が生じることがあります。特に服用開始初期に出やすく、車の運転などには注意が必要です。厳しいところですね。
その他の主な副作用は以下のとおりです。
特に注意が必要なのは、高齢者での使用です。高齢者はもともとドーパミン神経系が加齢によって低下しているため、フルナリジンによるドーパミン遮断作用の影響を受けやすいとされています。欧州では高齢者への使用を慎重に判断するよう求めるガイドラインも存在しています。
また、妊婦・授乳中の女性への使用は基本的に禁忌とされています。動物実験では催奇形性のデータもあり、安全性が確認されていない段階での使用は避けるべきです。
フルナリジンの副作用を回避するための基本方針は「必要最低限の用量を、必要な期間だけ使用すること」です。海外では一般的に5mg〜10mg/日を、3〜6ヶ月を目安に使用し、症状が改善した時点で漸減・中止するプロトコルが採用されています。
これらの副作用は、医師の管理なしに個人輸入で使用した場合に特に問題となります。副作用が出たとしても、日本の医師がフルナリジンに詳しくなければ適切な対処が遅れる可能性があります。
フルナリジンが日本で使えないとしても、片頭痛やめまいで困っている人に対する有効な治療選択肢は、日本でも着実に増えています。これは知っておいて損のない情報です。
まず、片頭痛予防薬として日本で保険適用されている主な選択肢を整理します。
| 薬剤名(一般名) | 商品名 | 作用機序 | 特記事項 |
|---|---|---|---|
| バルプロ酸ナトリウム | デパケンなど | 神経安定作用 | てんかん薬としても使用 |
| プロプラノロール | インデラルなど | β遮断薬 | 高血圧にも使用 |
| アミトリプチリン | トリプタノール | 三環系抗うつ薬 | 慢性片頭痛に有効 |
| エレヌマブ | アジョビ | CGRP受容体拮抗 | 月1回皮下注射・2021年承認 |
| ガルカネズマブ | エムガルティ | CGRP拮抗 | 月1回皮下注射・2021年承認 |
特に注目すべきは、2021年以降に日本でも承認されたCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)関連薬です。CGRPは片頭痛発作時に大量に放出される神経ペプチドで、これをターゲットにした薬は従来の治療薬と全く異なる機序で作用します。副作用が比較的少なく、既存薬で効果がなかった患者でも改善が見られるケースが報告されており、片頭痛治療の大きな転換点となっています。
めまい治療については、日本では以下の薬剤が一般的に使用されています。
一方、片頭痛やめまいの根本的な治療においては、薬だけに頼らないアプローチも有効です。特に慢性片頭痛においては、トリガー管理(誘発因子の特定と回避)が非常に重要です。睡眠不足・過度のストレス・特定の食品(チーズ・赤ワイン・チョコレートなど)がトリガーになるケースが多く、生活習慣の見直しが症状軽減に大きく貢献します。
フルナリジンが日本で入手できないからといって、治療の手段がないわけではありません。まずは頭痛専門医や神経内科医に相談し、自分の症状に最も適した治療法を選ぶことが最善のアプローチです。
日本頭痛学会が認定する「頭痛専門医」のいる医療機関を探すには、以下のサイトが役立ちます。
日本頭痛学会「頭痛専門医名簿」:専門医による適切な片頭痛予防治療を受けるための医療機関検索に活用できます。
フルナリジンが欧州・アジアの多くの国で承認されているにもかかわらず、日本でいまだに未承認のまま留まっている背景には、単純な「副作用懸念」だけでは説明しきれない複合的な事情があります。
まず、製薬企業側の申請動向という問題があります。日本での医薬品承認を得るためには、日本人を対象とした臨床試験データが必要です。これには数年単位の時間と数十億円規模のコストがかかることが多く、特許期間が切れた古い薬(フルナリジンは1970年代開発)は後発品(ジェネリック)市場では投資回収が難しく、製薬企業が積極的に申請しない状況が生まれます。結論は市場経済の問題でもあるということです。
次に、規制当局のリスク評価スタンスも影響しています。日本の厚生労働省は、欧米の規制当局と比較して保守的なリスク評価を行う傾向があると指摘する専門家もいます。特にパーキンソン症状のような中枢神経系副作用については、高齢化社会の日本では特に慎重に評価される傾向があると考えられます。
また、日本特有の病態認識という視点も見逃せません。片頭痛の診断や治療に対する認識は、国によって大きく異なります。日本では、慢性頭痛を「頭痛もち」として受け入れ、専門医を受診しないケースがいまだに多いという調査データがあります。日本頭痛学会の調査では、片頭痛患者のうち医師の治療を受けているのは約3割以下であるという推計もあります。意外ですね。
このような状況が、フルナリジンのような海外薬への需要を生む一方で、国内での承認申請プロセスが進まないという悪循環の構図を生み出している可能性があります。
さらに独自の視点として、情報の非対称性という問題があります。インターネットで「フルナリジン 効果」と検索すると、海外の情報を元にした肯定的なレビューが多数ヒットします。しかし、副作用のリスクや個人輸入の法的問題については十分に情報が届いていないケースが多い。この情報の偏りが、リスクを理解せずに個人輸入に踏み切る患者を増やしている側面があります。
今後の展望として、CGRP拮抗薬など新世代の片頭痛予防薬の登場により、フルナリジンの医療ニーズ上のポジションは相対的に低下しているとも言えます。一方、コスト面(CGRP拮抗薬は月数万円程度と高額)では依然としてフルナリジンへの需要がゼロになるわけでもなく、特に医療経済的な観点からの議論は今後も続くと予想されます。
日本の医薬品承認制度の仕組みについて詳しく知りたい方は、以下のサイトが参考になります。
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA):日本での医薬品承認審査の仕組みや承認状況を確認できる公式機関のサイトです。

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