ロキソマリンの副作用添付文書における注意点

ロキソマリンの副作用について添付文書から詳しく解説します。重大な副作用から軽微な症状まで、医療従事者が知っておくべき情報を網羅的に説明します。患者への説明や適切な投与判断のために、どのような症状に注意すべきでしょうか?

ロキソマリンの副作用添付文書

ロキソマリンの副作用概要
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重大な副作用

ショック、アナフィラキシー様症状、消化管出血など生命に関わる重篤な副作用

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頻度不明の各種副作用

消化器系、循環器系、血液系等の様々な臓器に関する副作用

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患者指導のポイント

副作用の早期発見と適切な対応のための患者教育項目

ロキソマリン添付文書における重大な副作用の詳細分析

ロキソマリン錠60mgの添付文書には、使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していないため、いずれも頻度は不明とされていますが、重大な副作用として以下のような症状があらわれることが明記されています。

 

最も注意すべき重大な副作用

  • ショック・アナフィラキシー様症状:血圧低下、麻疹、喉頭浮腫、呼吸困難等が起こる可能性があり、これらの症状が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行う必要があります
  • 血液系の重篤な副作用無顆粒球症溶血性貧血、白血球減少、血小板減少といった血液異常が発現することがあります
  • 皮膚系の重篤な副作用中毒性表皮壊死融解症(TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)など、生命に関わる皮膚症状が報告されています
  • 腎機能障害:急性腎不全ネフローゼ症候群、間質性腎炎などの腎機能に関する重篤な副作用があらわれる可能性があります

ロキソマリン副作用における消化器系への影響と添付文書での記載

ロキソマリンの副作用として、消化器系への影響は特に重要な位置を占めています。添付文書では消化管に関する重大な副作用として、消化管出血、消化管穿孔、小腸・大腸の狭窄・閉塞が明記されています。

 

消化器系の重大な副作用

  • 消化管出血・穿孔:胃や十二指腸の潰瘍から出血や穿孔を起こす可能性があり、これらの症状が認められた場合には直ちに投与を中止する必要があります
  • 小腸・大腸の狭窄・閉塞:2016年に追加された副作用で、過去3年間で6例が報告され、ロキソマリンとの因果関係が否定できないため添付文書に追記されました

その他の消化器症状
添付文書では、頻度0.1~2%未満の副作用として腹痛、胃部不快感、食欲不振、悪心、下痢、便秘、胸やけ、口内炎、腹部膨満、口渇が記載されており、頻度0.1%未満として嘔吐、頻度不明として消化性潰瘍、小腸・大腸の潰瘍、消化不良が挙げられています。

 

これらの症状は、ロキソマリンがプロスタグランジン(PG)の生合成を阻害することで、胃粘膜の保護作用が低下することが原因とされています。

 

ロキソマリン添付文書に記載された心血管系・呼吸器系副作用

ロキソマリンの副作用として、心血管系および呼吸器系への影響も重要な注意点として添付文書に記載されています。

 

心血管系の重大な副作用

  • うっ血性心不全:腎のプロスタグランジン生合成抑制により浮腫、循環体液量の増加が起こり、心臓の仕事量が増加するため症状を悪化させる可能性があります
  • その他の循環器症状:頻度不明の副作用として動悸、血圧上昇が報告されています

呼吸器系の重大な副作用

  • 間質性肺炎:観察を十分に行い、発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常等が認められた場合には、本剤の投与を直ちに中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行う必要があります
  • 喘息発作アスピリン喘息またはその既往歴のある患者では、アスピリン喘息発作を誘発することがあるため禁忌とされています

これらの副作用は、ロキソマリンがシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することで、気道症状(鼻汁、鼻閉、喘息発作)をきたすアスピリン喘息の発症機序と関連しています。

 

ロキソマリン添付文書における肝機能・神経系副作用の詳細

ロキソマリンの添付文書では、肝機能障害および神経系への副作用についても詳細な記載があります。

 

肝機能に関する副作用

  • 重篤な肝機能障害:肝機能障害、黄疸があらわれることがあり、観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤の投与を直ちに中止し、適切な処置を行うことが求められています
  • 肝機能検査値の異常:頻度0.1~2%未満でAST上昇、ALT上昇、頻度0.1%未満でALP上昇が報告されています

神経系の重大な副作用

  • 無菌性髄膜炎:発熱、頭痛、悪心・嘔吐、項部硬直、意識混濁等の症状があらわれることがあり、特にSLE(全身性エリテマトーデス)又はMCTD(混合性結合組織病)の患者に発現しやすいとされています
  • 横紋筋融解症筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う必要があります。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症にも注意が必要です

その他の神経系症状
頻度0.1%未満として頭痛、めまい、しびれ、頻度0.1~2%未満として眠気が報告されています。

 

ロキソマリンの副作用における医療従事者への特別な注意点と添付文書活用法

医療従事者にとって、ロキソマリンの副作用管理は患者の安全性確保において極めて重要です。添付文書を効果的に活用するための特別な注意点について解説します。

 

患者背景に応じた副作用リスク評価

  • 腎機能障害患者:浮腫、蛋白尿、血清クレアチニン上昇、高カリウム血症等の副作用が起こることがあるため、定期的な腎機能検査が必要です
  • 高齢者での注意点:一般に高齢者では生理機能が低下しているため、副作用があらわれやすいとされており、経過観察を十分に行う必要があります
  • 妊娠・授乳期の配慮:妊娠末期の婦人は禁忌とされており、妊娠中の投与に関する安全性は確立していません

薬物相互作用による副作用リスクの増大
添付文書には重要な薬物相互作用が記載されており、クマリン系抗凝血剤(ワルファリン)では抗凝血作用を増強するおそれがあり、必要があれば減量することが求められています。また、メトトレキサートでは血中濃度を上昇させ作用を増強することがあるため、必要があれば減量することが重要です。

 

副作用の早期発見と対応指針
類薬での報告として、他の非ステロイド性消炎鎮痛剤で再生不良性貧血があらわれるとの報告があることが添付文書に明記されており、血液検査による定期的なモニタリングの重要性が示されています。

 

医療従事者は、これらの情報を踏まえて適切な投与判断と患者指導を行い、副作用の早期発見・対応に努めることが求められています。

 

MEDLEY(メドレー) - ロキソマリン錠60mgの詳細な添付文書情報
ロキソマリン錠60mgの公式添付文書PDF