オンコビンの効果と副作用
オンコビンの効果と副作用を中心に適応疾患や注意点まとめ
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オンコビンの効果と適応疾患
オンコビン(一般名:ビンクリスチン硫酸塩)は抗悪性腫瘍剤で、主に白血病(急性・慢性の急性転化時)、悪性リンパ腫(細網肉腫、リンパ肉腫、ホジキン病)、小児腫瘍(神経芽腫、ウィルムス腫瘍、横紋筋肉腫、睾丸胎児性癌、血管肉腫等)に適応されます。また、多発性骨髄腫や悪性星細胞腫、乏突起膠腫成分を有する神経膠腫、褐色細胞腫にも他の抗悪性腫瘍剤との併用で使われます[1][2][3][4]。
- がん細胞の分裂を中止させ、増殖を抑制する作用
- 植物アルカロイド系に分類される注射薬
- R-CHOP療法など標準治療の一部としても使用
寛解率(例)。
- 小児急性白血病:61.9%
- 成人急性白血病:36.2%
- ホジキン病:84.2%
- 神経芽腫:66.7%
適応疾患や寛解率の詳細(KEGG医薬品情報)
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オンコビンの主な副作用と特徴
オンコビンの副作用は多岐にわたり、特に神経毒性が特徴的です。
重大な副作用。
- 末梢神経障害(神経麻痺、筋麻痺、痙攣等)
- 骨髄抑制(顆粒球減少、出血傾向)
- 錯乱、昏睡
- イレウス、消化管出血・穿孔
- 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)
- アナフィラキシー
- 心筋虚血、脳梗塞、難聴
- 呼吸困難、気管支痙攣、間質性肺炎
- 肝機能障害、黄疸
その他の副作用(頻度高いもの)。
- 消化器:悪心・嘔吐、腹痛、便秘、下痢、食欲不振、口内炎
- 皮膚:脱毛、皮膚落屑、発汗亢進
- 発熱、体重減少、低血圧・高血圧
副作用の詳細・セルフケア方法(がん療養.jp)
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オンコビン投与時の注意点と併用薬
オンコビンは静脈内注射専用であり、髄腔内投与は厳禁です。誤って髄腔内に投与した場合、致死的な麻痺が進行するため、直ちに救命措置が必要です[5]。
- 点滴容器内で他薬剤と混合しない
- 1分程度かけて緩徐に投与
併用注意薬。
- アゾール系抗真菌剤:神経毒性増強、代謝抑制
- フェニトイン:血中濃度低下、痙攣増悪
- 白金含有抗腫瘍剤:神経系副作用・難聴増強
- L-アスパラギナーゼ:神経・造血障害増強(投与順序に注意)
- 他の抗悪性腫瘍剤・放射線:骨髄抑制や肝毒性増強
併用薬・投与経路の詳細(KEGG医薬品情報)
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オンコビンと高齢者・小児の副作用リスク
高齢者では生理機能の低下により副作用が出やすく、用量や投与間隔に特に注意が必要です[6]。小児では寛解率が比較的高い一方、神経障害や消化器症状が出やすい傾向があります。
高齢者の注意点。
- 副作用発現率が高い
- 腎・肝機能低下時は減量や投与間隔調整が必要
小児の注意点。
- 寛解率が高いが、神経障害・消化器症状に注意
- 体重や年齢に応じた投与量調整が必須
高齢者・小児の副作用リスク(JAPIC)
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オンコビンの神経毒性とそのメカニズム
オンコビンの副作用で最も特徴的なのが神経毒性です。これは微小管阻害作用により、神経細胞の軸索輸送が障害されるためと考えられています。
臨床症状。
- 運動性ニューロパチー(筋麻痺、歩行困難)
- 感覚性ニューロパチー(しびれ、知覚異常、神経痛)
- 自律神経性ニューロパチー(起立性低血圧、尿閉)
- 脳神経障害(視神経萎縮、味覚障害、眼振)
神経毒性の発現頻度や重症度は用量依存性であり、累積投与量が多いほどリスクが上昇します。症状が出現した場合は速やかに減量や休薬、中止などの対応が必要です[5][6]。
神経毒性の詳細(PMDA添付文書)
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オンコビンの副作用と遺伝的感受性・個別化医療(独自視点)
オンコビンの副作用発現には、遺伝的感受性が関与する可能性が指摘されています。特にCYP3A5遺伝子多型やABCトランスポーターの機能変異が、薬物動態や神経毒性リスクに影響することが近年の研究で示唆されています。
- 遺伝子検査によるリスク層別化や投与量調整の研究が進行中
- 今後は個別化医療の観点から副作用予防や治療最適化が期待される
ビンクリスチンの薬物動態と遺伝子多型(英文・NCBI)