自己免疫性肝炎の症状と診断・治療

自己免疫性肝炎は初期症状がほとんどなく、気づかないうちに進行する肝疾患です。倦怠感や黄疸など特徴的な症状、診断に必要な血液検査・肝生検、ステロイド治療の実際について、医療従事者向けに詳しく解説します。適切な治療で予後は良好ですが、早期発見が鍵となります。あなたの患者さんは大丈夫ですか?

自己免疫性肝炎の症状

自己免疫性肝炎の主要症状
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初期は無症状

軽症から中等症では自覚症状がなく、健康診断で肝機能異常を指摘されて発見されることが多い

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全身倦怠感

初発症状として最も多く、約60%の患者に認められる非特異的症状

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急性発症時の症状

黄疸、食欲不振、関節痛、発熱など急性肝炎様の症状を呈することもある

自己免疫性肝炎の初期症状と無症状期

 

自己免疫性肝炎の特徴として、初期段階では自覚症状がほとんど現れないことが挙げられます。軽症から中等症の患者では、肝臓の炎症が進行していても症状を自覚せず、健康診断や人間ドックでの血液検査により肝機能異常を指摘されて初めて発見されるケースが大多数を占めます。これは肝臓が「沈黙の臓器」と呼ばれる所以であり、臨床医にとって早期発見の難しさを示しています。
参考)自己免疫性肝炎(指定難病95) href="https://www.nanbyou.or.jp/entry/113" target="_blank">https://www.nanbyou.or.jp/entry/113amp;#8211; 難病情報セン…

発症が非常に緩徐であるため、患者自身が異常に気づくことは稀です。しかし、無症状であっても病理学的には肝細胞の破壊と炎症が進行しており、適切な治療を行わなければ進行は早く、肝硬変から肝不全に至る可能性があります。そのため、定期的な健康診断での肝機能検査が極めて重要となります。
参考)自己免疫性肝炎とは(症状・原因・改善策)|亀戸駅前・胃と大腸…

無症状期における血液検査では、AST(GOT)やALT(GPT)の上昇が認められることが多く、これらの数値が正常上限の数倍から数十倍に上昇することもあります。免疫グロブリンG(IgG)の上昇も特徴的で、この所見が自己免疫性肝炎を疑う重要な手がかりとなります。
参考)自己免疫性肝炎

自己免疫性肝炎の特徴的な初発症状

日本における調査では、初発症状として最も頻度が高いのは倦怠感で、約60%の患者に認められます。この全身倦怠感や易疲労感は非特異的な症状ではありますが、持続する場合には精査が必要です。次いで黄疸が約35%、食欲不振(食思不振)が約27%の患者に認められます。
参考)自己免疫性肝炎(指定難病95) href="https://www.nanbyou.or.jp/entry/268" target="_blank">https://www.nanbyou.or.jp/entry/268amp;#8211; 難病情報セン…

ウイルス性慢性肝炎と異なる特徴的な所見として、関節痛や発熱を初発症状とする症例がそれぞれ約15%に認められることが報告されています。これらの症状は自己免疫機序による全身性の炎症反応を反映していると考えられ、鑑別診断において重要な情報となります。​
その他の症状としては、腹部不快感、かゆみ、肝臓腫大、吐き気、皮膚のクモの巣状血管腫などがあります。進行例では、暗色尿、淡色便、無月経といった症状も出現することがあります。これらの症状の組み合わせにより、臨床医は自己免疫性肝炎を鑑別診断の候補に挙げることができます。
参考)自己免疫性肝炎:症状と治療

自己免疫性肝炎の急性発症と劇症化

自己免疫性肝炎の10〜20%の症例では、急性肝炎様の劇症型として発症することがあります。急性発症の場合、倦怠感、黄疸、食欲不振などの症状が急激に出現し、初期には軽度のインフルエンザ様症状として感じられることもあります。​
劇症型自己免疫性肝炎では、腹水(腹部への体液貯留)、精神錯乱、黄疸の増悪、消化管出血といった重篤な肝不全症状が突然発症します。これらの症例の一部は、以前は無症状であった慢性自己免疫性肝炎に起因する肝硬変が潜在している場合もありますが、多くは急性自己免疫性肝炎が原因です。​
劇症肝炎に進展した場合、発症から8日以内に肝性脳症(意識障害)や凝固異常をきたし、生命を脅かす状況に陥ります。肝性脳症の初期症状としては、「急に話がかみ合わなくなる」「意味のない行動をする」などの精神神経症状が現れ、早急な対応が求められます。急性型劇症肝炎の内科的救命率は50%、亜急性型では20%と報告されており、早期発見・早期治療の重要性が強調されます。​

自己免疫性肝炎の進行期症状と合併症

慢性自己免疫性肝炎を放置すると、肝臓の線維化が進行し、最終的には肝硬変や肝不全といった生命を脅かす状態に至る可能性があります。肝硬変に進行した場合、下肢のむくみ、黄疸の増悪、腹水、肝性脳症(意識障害)などの症状が出現します。
参考)高松市で自己免疫性肝炎(AIH)の相談・治療なら|屋島おおは…

肝硬変になると肝臓は再生能力を失い、正常な機能を果たせなくなります。また、肝硬変を背景に肝細胞がんが発生するリスクもあり、定期的な検査とフォローアップが重要です。肝不全では、肝臓の機能が著しく低下し、生命を維持するために必要な代謝活動が行えなくなります。
参考)自己免疫性肝炎|横浜市南区阪東橋駅の内科・消化器内科・美容皮…

自己免疫性肝炎患者の約3分の1に他の自己免疫疾患の合併が認められます。合併頻度の高いものとして、慢性甲状腺炎(橋本病)が約9%、シェーグレン症候群が約7%、関節リウマチが約3%報告されています。これらの合併する自己免疫疾患による症状が初発症状となる場合もあり、全身的な評価が必要です。
参考)3つの自己免疫性肝疾患に共通する合併症と、患者さんへのメッセ…

自己免疫性肝炎における臨床検査値と症状の関連性

自己免疫性肝炎の病勢は、AST(GOT)、ALT(GPT)やIgG、γグロブリンを含めた血液検査、画像検査、肝組織所見などを総合的に判断する必要があります。肝臓の炎症の程度を反映するAST(GOT)やALT(GPT)は、肝内の炎症の程度と並行しますが、自己抗体の数値の高さと病気の進行性は必ずしも相関しません。
参考)https://www.nanbyou.or.jp/wp-content/uploads/upload_files/AIH-Guidebook.pdf

診断時から自己抗体が陰性の患者も存在し、自己抗体が陰性になったからといって病気の状態が改善したとは限りません。IgG値は病気の活動性や治療効果の判定に使用されますが、症状の有無だけでは病勢を正確に評価できないため、定期的な血液検査による客観的評価が不可欠です。
参考)笹塚で自己免疫性肝炎なら

腹部エコー検査では、肝表面や辺縁の性状、肝内エコー輝度を確認することで、血液検査に現れない慢性肝障害の進行度、線維化の程度や脾臓の腫れなどが確認できます。加えて、腹部エコー検査は慢性肝障害の際に併発する肝細胞がんの早期発見にも有用です。肝の硬さを測定すれば肝病変の進行度がさらに詳しく評価できますが、肝生検ほど詳細な情報は得られません。​
参考リンク:難病情報センターによる自己免疫性肝炎の詳細な症状解説
自己免疫性肝炎(指定難病95) - 難病情報センター
参考リンク:自己免疫性肝炎患者・家族向けガイドブック(診断と経過について)
自己免疫性肝炎(AIH)ガイドブック - 難病情報センター
参考リンク:自己免疫性肝炎の診断基準と臨床像に関する医療従事者向けガイドライン
自己免疫性肝炎(AIH)診療ガイドライン(2021年)
参考リンク:劇症肝炎の病態と自己免疫性肝炎の急性発症について
劇症肝炎、急性肝不全 - 奈良県立医科大学

 

 


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