グルカゴンgノボ添付文書で知る禁忌と用法の全知識

グルカゴンGノボ注射用1mgの添付文書を徹底解説。禁忌・用法用量・相互作用・副作用まで医療従事者が現場で即使える情報を網羅。あなたが見落としがちな注意点とは?

グルカゴンgノボ添付文書で押さえる禁忌・用量・副作用の要点

アルコールで低血糖になった患者にグルカゴンを打っても、血糖は上がりません。


📋 この記事の3つのポイント
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禁忌は2項目のみ・でも慎重投与は幅広い

褐色細胞腫・パラガングリオーマ疑いと過敏症の既往が禁忌。インスリノーマ・糖尿病・肝疾患など慎重投与の範囲が広く、見落としが重大インシデントにつながります。

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効能ごとに投与経路・溶解液が異なる

低血糖救急処置・消化管検査前処置は筋注または静注。成長ホルモン分泌機能検査のみ皮下注。肝型糖原病検査(成人)は生理食塩液20mLで溶解し静注。効能を確認してから溶解してください。

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2025年7月から添付溶解液の同梱が終了

製造販売承認事項一部変更により、溶解液の同梱が廃止されました。日局注射用水を別途準備する運用への切り替えを、院内で周知しておく必要があります。


グルカゴンgノボ添付文書が示す製品概要と2025年の重要変更点



グルカゴンGノボ注射用1mgは、ノボ ノルディスク ファーマ株式会社が製造販売する遺伝子組換えグルカゴン製剤です。有効成分はグルカゴン(遺伝子組換え)1mg(1国際単位)で、酵母を宿主とした組換えDNA技術で製造されています。動物膵由来グルカゴンと同一の化学構造を持ちながら、動物の膵臓を材料とせずに製造できる点が特徴です。


劇薬・処方箋医薬品に指定されており、薬価は1瓶2,371円です。


2025年の変更は見逃せません。これまで製品に同梱されていた添付溶解液が、2025年7月の製造販売承認事項一部変更承認により廃止されました。それ以降の製品には溶解液が付属しておらず、日局注射用水を別途準備する必要があります。院内で旧ロットと新ロットが混在する期間には、スタッフ全員への周知が必須です。


製品名の「G」は、遺伝子組換えを意味する "Genetical Recombination" の頭文字です。1996年の発売当初は「注射用グルカゴンG・ノボ」という名称でしたが、医療事故防止対策の観点から2009年6月に現在の「グルカゴンGノボ注射用1mg」に変更されています。


貯法は「凍結を避け、冷所(15℃以下)に保存」です。冷蔵庫管理が基本ですが、凍結させると品質が変わる点に注意してください。


参考:PMDA公式の添付文書・インタビューフォームはこちらで確認できます(2026年1月23日最新版)。


グルカゴンGノボ注射用1mg|PMDA医療用医薬品情報(医療関係者向け)


グルカゴンgノボ添付文書の禁忌と慎重投与の見落とせない違い

禁忌は2項目です。まずは禁忌から整理しましょう。
















禁忌項目 理由
褐色細胞腫またはパラガングリオーマの患者・疑いのある患者 急激な昇圧発作を起こすことがある
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者 アナフィラキシーのリスク


禁忌は2項目のみですが、慎重投与の対象は幅広いです。


慎重投与の代表的なものを挙げると、インスリノーマのある患者(インスリン分泌促進により低血糖のリスク)、糖尿病患者および糖代謝異常が認められる患者(血糖コントロールに影響)、糖原病Ⅰ型の患者(乳酸アシドーシスの発現リスク)、肝硬変など肝の糖放出能が低下している肝疾患のある患者(インスリン分泌促進による低血糖リスク)、心疾患のある高齢者(心筋酸素消費量増加により虚血症状が悪化するおそれ)が挙げられます。


見落としが多いのが糖原病Ⅰ型です。これが原則です。グルコース-6-リン酸からグルコースへの変換が障害されているため、グルカゴンを投与すると血液中の乳酸が増加し、乳酸アシドーシスを引き起こします。肝型糖原病検査に際しては特に注意が必要で、緊急処置を要した例が報告されています。


妊婦への扱いも重要です。添付文書上は「投与しないことが望ましい」という表現ですが、これは「禁忌」ではありません。動物(マウス・ラット)を用いた生殖・発生毒性試験で胎児の眼球異常が報告されているため、治療上の有益性と照らし合わせた判断が求められます。厳しいところですね。


グルカゴンgノボ添付文書の効能別・用法用量の正しい読み方

グルカゴンGノボには5つの効能があり、それぞれで用法・用量・投与経路が異なります。効能を間違えると投与経路の誤りにつながるため、正確な理解が求められます。








































効能・効果 用量 投与経路 溶解液
消化管のX線・内視鏡検査の前処置 0.5〜1mg 筋注または静注 注射用水 1mL
低血糖時の救急処置 1mg 筋注または静注 注射用水 1mL
成長ホルモン分泌機能検査 0.03mg/kg(最大1mg) ⚡ 皮下注のみ 注射用水 1mL
肝型糖原病検査(成人) 1mg 静注(3分かけて) ⚡ 生理食塩液 20mL
胃の内視鏡的治療の前処置 1mg(追加1mg可) 筋注または静注 注射用水 1mL


特に注意が必要なのは2点です。


成長ホルモン分泌機能検査では皮下注射が指定されており、筋注や静注は適応外となります。空腹時に実施する必要があり、体重1kgあたり0.03mg(最大1mg)という体重換算の投与量を用います。検査後は血糖値の変動に注意し、60分以降30分ごとに180分まで測定することが望ましいとされています。


肝型糖原病検査(成人)では溶解液が異なります。日局注射用水 1mLではなく、生理食塩液20mLに溶かして3分かけて静脈内注射するという点は見落とすと重大です。また、小児の場合は注射用水1mLに溶解して体重あたり0.03mg(最大1mg)を筋肉内注射する方法に切り替わります。つまり、成人と小児で溶解液も投与経路も変わるということです。


作用時間も確認しておきましょう。消化管運動抑制作用は、静脈内注射で1分以内に発現し15〜20分持続、筋肉内注射では約5分で発現し約25分間持続します。血糖上昇作用は静注で1分以内、筋注では通常10分以内に発現します。内視鏡検査中に消化管運動が再開した場合、1mgを追加投与できます。


グルカゴンgノボ添付文書が警告する副作用と相互作用の実務ポイント

重大な副作用は3項目です。


ショック・アナフィラキシーショック(頻度不明)は、初期症状として不快感・顔面蒼白・血圧低下などが挙げられます。投与後は十分な観察が必須です。


低血糖症状(0.1%未満)は二次的に発現します。低血糖を起こした患者にグルカゴンを投与すると、通常10分以内に症状が改善します。ただし10分以内に改善しない場合は、直ちにブドウ糖等の静脈内投与など適切な処置に切り替えることが重要です。「まだ様子を見よう」は危険ですね。


また、検査目的で投与した場合も含め、投与後に二次的な低血糖が起こることがあります。検査終了後には糖分の経口摂取を促すことが望ましいとされています。検査が終わっても安心しないことが基本です。


その他の副作用として頻度の高いもの(0.1〜5%未満)には、嘔気・嘔吐、白血球数増加・白血球分画の変動、血糖値上昇・尿糖、頭痛・倦怠感などがあります。


相互作用については以下の3剤を確認してください。



  • 🔴 β遮断薬(プロプラノロール、アテノロール、ピンドロールなど):血糖上昇後のリバウンド低血糖症状があらわれやすくなります。低血糖に対する交感神経症状(振戦・動悸)がマスクされ、低血糖が遷延する可能性があります。特に成長ホルモン分泌機能検査でのプロプラノロール併用時に注意。5例中2例(40.0%)に低血糖症状が出た報告があります。

  • 🟡 インスリン:グルカゴンの血糖上昇作用により、インスリンの血糖降下作用が減弱することがあります。

  • 🟡 ワルファリンカリウム:グルカゴンとの併用によりワルファリンの抗凝血作用が増強することがあります。機序は不明ですが、凝固能の変動に注意し、必要に応じてワルファリンを減量するなどの処置が求められます。


ワルファリン服用患者への投与は見落とされがちです。これは使えそうな情報ですね。心疾患管理でワルファリンを服用している高齢患者の検査時に使用する場面では、PT-INRの確認と事後の凝固能フォローを考慮してください。


グルカゴンgノボ添付文書では書かれていない臨床現場での落とし穴

添付文書を読んでも、実臨床での適用判断には「行間」があります。ここでは医療従事者が特に混乱しやすいポイントを整理します。


アルコール性低血糖への投与は無効です。添付文書の5.1項には「アルコール性低血糖の場合には、血糖上昇効果はみられない」と明記されています。グルカゴンの血糖上昇作用は肝グリコーゲンの分解によるものです。アルコール代謝の過程で肝グリコーゲンが消費されるため、グルカゴンを投与しても上昇させるグリコーゲンが残っていません。飲酒後の低血糖患者では迷わずブドウ糖静脈内投与を優先してください。


同様に、飢餓状態・副腎機能低下症・一部糖原病の患者でも血糖上昇効果はほとんど期待できません。「グルカゴンを打てば必ず上がる」という思い込みが、対処の遅延を招くことがあります。


成長ホルモン分泌機能検査における偽陰性も重要な落とし穴です。添付文書8.5項に記載がありますが、最終的に成長ホルモン分泌不全性低身長症と診断された19例中6例(31.6%)で、グルカゴン投与後にhGHが10ng/mL以上に上昇した事例があります。つまり「検査が正常でも成長ホルモン分泌不全を否定できない」ということです。グルカゴン負荷とインスリン負荷との診断一致率は70.6%、アルギニン負荷との一致率は75.8%に過ぎず、単独での確定診断には限界があります。


調製後の使用期限も見落とされがちです。添付文書14.1.2項には「溶解後は速やかに使用すること。溶解後凍結した場合は使用しないこと」と明記されています。速やかに使用することが条件です。溶解済みのものを次の検査に回すことは避けてください。また、完全に溶けなかった場合や浮遊物がみられた場合も使用禁止です。


消化管検査での追加投与についても整理しておきます。胃の内視鏡的治療の前処置では、消化管運動が再開した場合または再開の可能性がある場合に1mgの追加投与が認められています。ただし、2mg(追加投与含む)を投与した場合は糖尿病患者における血糖コントロールへの影響に特別な注意が必要です。添付文書9.1.2項にも「追加投与(計2mg)を行った場合には特に注意すること」と記載があります。


PMDA掲載のインタビューフォームには、臨床試験での有効率や薬物動態の詳細データが掲載されており、添付文書を補完する情報源として活用できます。


グルカゴンGノボ注射用1mg インタビューフォーム(JAPIC・2026年1月改訂第11版)






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