チオプロニン(2-メルカプトプロピオニルグリシン)は、分子内にSH基(チオール基)を有する化合物で、その独特な化学構造により多様な薬理作用を発揮します。
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/medical_interview/IF00008032.pdf
主要な作用機序として、以下の特徴が挙げられます。
参考)https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00048867
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/94422cf0daefefb7659c02fc1479e35b6177dc45
臨床応用では、慢性肝疾患における肝機能改善(1回100mg、1日3回)、初期老人性皮質白内障(1回100-200mg、1日1-2回)、水銀中毒時の排泄促進(1回100-200mg、1日3回)、シスチン尿症(成人1回100mgから開始、最大1日2,000mg)の適応で使用されています。
チオラ錠の詳細な用法・用量情報
D-ペニシラミンは、ペニシリンの分解産物として発見された化合物で、チオプロニンと同様にSH基を有しますが、より強力な免疫調節作用を示します。
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00053039.pdf
主要な薬理作用:
参考)https://kobe-kishida-clinic.com/metabolism/metabolism-medicine/d-penicillamine/
関節リウマチ治療では、通常成人にペニシラミンとして1回100mgを1日1-3回、食間空腹時に経口投与します。投与開始後24時間以内から効果が認められ、長期投与により神経症状や肝機能の改善が期待できます。
ペニシラミンの詳細な添付文書情報
チオプロニンの副作用は比較的軽微とされていますが、長期投与時には注意深い観察が必要です。
主要な副作用:
参考)https://plaza.umin.ac.jp/yby/DInews/DInews_20.pdf
特殊な副作用として注意すべき点:
シスチン尿症治療時の代替療法として使用する際、D-ペニシラミンと比較して副作用発現率は低いものの、血圧低下や乾性咳嗽が報告されています。また、ACE阻害薬様の副作用プロファイルを示すことがあり、特に腎機能低下患者では慎重な投与が求められます。
参考)https://plaza.umin.ac.jp/~jsur/pdf/%EF%BC%9C%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%81%E3%83%B3%E5%B0%BF%E7%97%87%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E3%83%81%E3%82%AA%E3%83%A9%E9%8C%A0%E2%BD%8B%E5%93%81%E3%81%AE%E9%9A%9B%E3%81%AB%E6%83%B3%E5%AE%9A%E3%81%95%E3%82%8C%E3%82%8B%E4%BB%A3%E6%9B%BF%E2%BD%85%E6%B3%95%EF%BC%9E.pdf
投与中止後の離脱症状は報告されていませんが、シスチン尿症患者では治療継続が重要であり、副作用による投与中断時には速やかな代替療法への切り替えが必要です。
参考)https://jsimd.net/newsdetail16.html
ペニシラミンは強力な治療効果を有する一方で、重篤な副作用のリスクも高く、慎重な副作用管理が治療成功の鍵となります。
参考)https://doh-racenter.jp/medical/%E5%86%85%E7%A7%91%E7%9A%84%E8%A8%BA%E7%99%82/%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%9E%E3%83%81%E3%81%AE%E8%96%AC%E7%89%A9%E7%99%82%E6%B3%95%E3%81%A8%E5%89%AF%E4%BD%9C%E7%94%A8/
重篤な副作用:
副作用の早期発見と対策:
検査項目 | 実施頻度 | 異常値の目安 |
---|---|---|
血球数 | 月1回 | 白血球<4000/μL |
尿検査 | 月1回 | タンパク尿2+以上 |
肝機能 | 2週に1回 | AST/ALT 3倍以上 |
投与開始前には腎機能、肝機能、血液検査の評価が必須で、高齢者や腎機能低下患者では用量調節(少量から開始)が重要です。副作用発現時の対応として、軽度の場合は減量、中等度以上では投与中止と適切な治療が必要となります。
リウマチ薬物療法における副作用管理の詳細
両薬剤とも強力な薬理作用を有するため、他剤との併用時には重篤な相互作用のリスクが存在します。特に金製剤との併用は絶対禁忌とされています。
重要な薬物相互作用:
併用注意薬剤:
薬剤分類 | 相互作用機序 | 臨床的影響 |
---|---|---|
ACE阻害薬 | 腎排泄競合 | 腎機能低下 |
NSAIDs | 腎毒性相加 | 急性腎障害 |
利尿薬 | 電解質異常 | 低ナトリウム血症 |
妊娠・授乳期における注意:
ペニシラミンは催奇形性が報告されており、妊娠可能な女性には避妊指導が必要です。妊娠計画時には投与中止後3ヶ月間の避妊が推奨されています。チオプロニンについても妊娠中の安全性は確立されておらず、治療上の有益性が危険性を上回る場合のみ投与を検討します。
授乳期においては、両薬剤とも乳汁移行性が不明であるため、授乳を避けるか薬剤投与を中止するかの選択が必要となります。特にシスチン尿症患者では治療継続の重要性を考慮し、人工栄養への切り替えを検討することが一般的です。
D-ペニシラミンの詳細な相互作用情報