アナフィラキシー・ショックの症状は複数の臓器に同時に現れるのが特徴です。症状は通常アレルゲン曝露後15分以内に発症し、重篤な場合は1~2分で急速に悪化します。
参考)https://www.kango-roo.com/learning/4943/
皮膚症状(最も頻度が高い)
呼吸器症状
循環器症状
消化器症状
アナフィラキシーの**重症度分類(グレード1-3)**では、最も高い重症度を示す器官で判定します。グレード3では呼吸停止や心停止のリスクが高く、迅速な対応が生命を左右します。
日本アレルギー学会公式のアナフィラキシー症状詳細
アナフィラキシー・ショックの原因は年齢により異なる傾向があります。
参考)https://mymc.jp/clinicblog/204274/
食物アレルゲン(頻度最多)
特定原材料7品目(卵・乳・小麦・そば・落花生・えび・かに)は表示義務があり、これらが小児期の主要アレルゲンです。
参考)https://smartdock.jp/contents/symptoms/sy078/
薬物性アレルゲン
薬物性アナフィラキシーは投与後5分以内の発症が多く、最も危険とされています。
昆虫毒
ハチ刺傷による死亡例は年間20名程度報告されており、2回目以降の刺傷で重篤化リスクが高まります。夏から秋(8月ピーク)が好発時期です。
参考)https://allergy72.jp/cause/factor.html
特殊な病型
アナフィラキシー・ショックの治療は**「一にも二にもアドレナリン」**が基本原則です。
第一選択薬:アドレナリン筋注
初期対応(ABCDE approach)
補助的治療
体位管理
林寛之先生の「ABCD基準」は有名で、全身じんましんに加えて以下のいずれかがあればアドレナリン投与を推奨しています:
二相性反応は一度症状が改善した後、アレルゲンへの追加曝露なしに再度症状が出現する現象です。この反応は医療従事者が特に注意すべき重要な合併症です。
参考)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/f07694a888da7d1f2a19e4c76a5228878456ad9a
二相性反応の特徴
日本の実態調査結果
横浜労災病院と日本大学附属板橋病院の共同研究(2016-2019年)では、救急部門でのアナフィラキシー患者における二相性反応の実態が明らかになりました。
経過観察の原則
観察項目
二相性反応の予防策
退院時指導
アナフィラキシー・ショックの予防には、アレルゲン回避と緊急時対応準備が不可欠です。医療従事者による継続的な患者教育が重要な役割を果たします。
アレルゲン回避戦略
エピペン®(アドレナリン自己注射薬)
患者・家族教育のポイント
医療機関での体制整備
近年では、遅発性赤身肉アレルギーやα-Galアレルギーなど新しいタイプのアナフィラキシーも報告されており、医療従事者は最新の知見を常に更新する必要があります。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8346007/
意外な事実として、アナフィラキシーの約10-20%は原因不明(特発性)であり、完全な予防は困難です。そのため、症状認識と迅速な対応がより重要になります。
また、職業関連アナフィラキシーでは、林業・農業・建設業・養蜂業従事者のハチ刺傷リスクが高く、産業医との連携による予防対策も重要です。
医薬品によるアナフィラキシー対応マニュアル(PMDA)
医療従事者は、アナフィラキシー・ショックが予測不可能で急激に悪化する可能性があることを常に念頭に置き、迅速かつ的確な対応を心がけることが患者の生命予後を決定する重要な要因となります。日々の臨床現場で遭遇する可能性がある緊急事態として、継続的な学習と準備が不可欠です。