アデカット錠の効果と副作用を徹底解説 高血圧治療と注意点

アデカット錠（一般名：デラプリル塩酸塩）は、アンジオテンシン変換酵素（ACE）阻害薬に分類される降圧剤です。本態性高血圧症、腎性高血圧症、腎血管性高血圧症に適応があり、血管収縮を促進するアンジオテンシンIIの生成を抑制することで血圧を下げます。腎臓や心臓の保護作用もあり、臓器血流量の維持や糸球体ろ過量の増加といった特徴が認められています[1][2][3][4]。
主な適応症：

• 本態性高血圧症
• 腎性高血圧症
• 腎血管性高血圧症

特徴：

• 臓器保護作用（心臓・腎臓）
• 血圧低下時も臓器血流量を維持

アデカット錠の重大な副作用には、血管浮腫（顔面・舌・声門・喉頭の腫脹、呼吸困難）、急性腎障害、高カリウム血症（体のしびれ、筋力低下、吐き気、下痢など）が挙げられます。血管浮腫は頻度不明ながら命に関わるため、症状が現れた場合は直ちに投与中止と適切な処置が必要です[5][2][6][4]。
その他の副作用：

• めまい・ふらつき・立ちくらみ
• 頭痛・頭重・不眠・眠気
• 発疹・そう痒・乾癬
• 悪心・嘔吐・食欲不振・下痢・便秘
• 咳・咽頭痛・倦怠感・発汗
• 肝機能障害（AST、ALT、Al-P、LDH、γ-GTPの上昇、黄疸）
• 血液障害（白血球減少、貧血、好酸球増多、血小板減少）
• 腎機能障害（BUN、クレアチニン上昇、蛋白尿）

注意点：

• 副作用の頻度は0.1～5%未満が多いが、重篤なものは頻度不明でも注意が必要

アデカット錠は他の降圧薬や腎機能に影響を及ぼす薬剤と併用する際に注意が必要です。特に以下の薬剤との併用は重篤な副作用リスクを高めます[1][6][4]。

• アリスキレンフマル酸塩（糖尿病患者）：腎障害、高カリウム血症、低血圧のリスク増加
• サクビトリルバルサルタン（エンレスト）：血管浮腫リスク増加
• カリウム保持性利尿剤・カリウム補給剤：高カリウム血症リスク
• NSAIDs（インドメタシン等）：降圧作用減弱、腎機能悪化
• リチウム：リチウム中毒リスク
• 利尿降圧剤：降圧作用増強による過度な血圧低下リスク
• mTOR阻害剤、ビルダグリプチン：血管浮腫リスク増加

併用禁忌：

• 過去に血管浮腫歴のある患者
• 特定のアフェレーシスや透析施行中の患者
• 妊婦・妊娠の可能性がある患者

アデカット錠は通常、成人に対して1日30～60mgを2回に分けて経口投与します。治療開始時は1日15mg（2回）から始め、最大投与量は1日120mg（2回）です[7]。患者指導上のポイントとして、自己判断による中止や用量変更は病状悪化のリスクがあるため厳禁です。
患者指導のポイント：

• 服薬中は定期的な血圧・腎機能・電解質（特にカリウム）モニタリングが必要
• 副作用（特に血管浮腫や急性腎障害、高カリウム血症）の初期症状に注意し、異常時は速やかに受診を指導
• めまい・ふらつきが出ることがあるため、高所作業や自動車運転は注意
• 手術予定がある場合は24時間前から休薬が望ましい
• 妊婦・授乳婦・小児への投与は原則避ける

アデカット錠はACE阻害薬として、アンジオテンシンIからアンジオテンシンIIへの変換を阻害し、血管収縮を抑制します。これにより血圧を低下させるだけでなく、心臓や腎臓のリモデリング抑制作用も報告されています[1][3][4]。また、他のACE阻害薬と比較してCYP阻害作用はほとんどなく、薬物相互作用が比較的少ない点も特徴です[8]。
意外な情報：

• アデカット錠は、糸球体ろ過量の増加や腎血流量の維持作用が強調されており、腎保護を重視する高血圧患者に適しているとされる[3]。
• ACE阻害薬特有の「空咳」は、服薬継続率低下の要因となるため、患者のQOLや服薬アドヒアランスにも配慮が必要。
• 国内では後発品（ジェネリック）がなく、先発品のみ流通している[7]。