PL配合顆粒に含まれるプロメタジンメチレンジサリチル酸塩は、強力な抗コリン作用を有しており、閉塞隅角緑内障患者では眼圧上昇により症状の急激な悪化を引き起こす可能性があります。
抗コリン作用による眼圧上昇のメカニズムは以下の通りです。
特に急性閉塞隅角緑内障の既往がある患者では、わずかな抗コリン作用でも症状の再燃を引き起こす可能性があるため、PL配合顆粒の投与は絶対禁忌とされています。
医療従事者向けのヒヤリハット報告では、緑内障患者へのPL配合顆粒処方が24件報告されており、最も頻度の高い禁忌処方事例となっています。
前立腺肥大症患者にPL配合顆粒を投与した場合、プロメタジンの抗コリン作用により膀胱収縮力が低下し、排尿困難が著明に悪化する可能性があります。
前立腺肥大症における排尿困難悪化の病態生理。
実際の症例報告では、中年男性患者がPL配合顆粒服用後に急性尿閉を発症したケースが報告されており、前立腺肥大症の既往がある患者では特に注意が必要です。
排尿困難の程度を評価する際は、国際前立腺症状スコア(IPSS)を参考にし、中等度以上の症状(IPSS≧8)がある患者では代替薬の検討が推奨されます。
PL配合顆粒に含まれるアセトアミノフェンは、重篤な肝障害患者では肝機能をさらに悪化させるリスクがあるため禁忌とされています。
アセトアミノフェンによる肝毒性のメカニズム。
肝機能障害の程度別リスク評価。
Child-Pugh分類 | アセトアミノフェンリスク | 推奨対応 |
---|---|---|
A(軽度) | 低リスク | 慎重投与可能 |
B(中等度) | 中リスク | 代替薬検討 |
C(重度) | 高リスク | 絶対禁忌 |
特に肝硬変患者では、通常量のアセトアミノフェンでも肝性脳症の誘発や肝不全の進行を引き起こす可能性があるため、PL配合顆粒の使用は避けるべきです。
PL配合顆粒は2歳未満の乳幼児には絶対禁忌とされており、これは乳児突然死症候群(SIDS)や乳児睡眠時無呼吸発作のリスクが報告されているためです。
小児における特殊な禁忌理由。
また、15歳未満の小児では水痘やインフルエンザ等のウイルス性疾患時にサリチルアミドを含む薬剤を使用すると、ライ症候群発症のリスクがあるため注意が必要です。
ライ症候群は以下の特徴を持つ重篤な疾患です。
薬剤師による疑義照会は、PL配合顆粒の禁忌疾患を見逃さないための重要な安全管理システムです。効果的な疑義照会を行うためのチェックポイントを以下に示します。
患者背景の確認項目。
疑義照会が必要な具体的なケース。
疑義照会時の医師への提案例。
薬剤師による適切な疑義照会により、PL配合顆粒に関連する重篤な副作用を未然に防ぐことができ、患者の安全性向上に大きく貢献します。