アセトアミノフェンは解熱鎮痛剤として広く使用されており、中枢神経に作用して痛みや発熱を抑えます。
適応疾患は、急性上気道炎、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症、頭痛、筋肉痛、歯痛、小児の発熱など多岐にわたります。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と異なり、胃腸障害や腎障害のリスクが低く、妊娠中・授乳中や小児にも比較的安全に投与できる点が特徴です[1][2][3][4]。
主な副作用は過敏症(発疹・かゆみ)、消化器症状(吐き気、嘔吐、食欲不振、下痢)、血小板機能低下などです。
まれですが重篤な副作用として、ショック、アナフィラキシー、中毒性表皮壊死融解症(TEN)、皮膚粘膜眼症候群(SJS)、急性汎発性発疹性膿疱症、劇症肝炎、肝機能障害、黄疸、顆粒球減少症、間質性肺炎、急性腎障害などが報告されています[5][1][6][7][4]。
これらの副作用は頻度不明ですが、倦怠感や白目の黄染、発疹、息苦しさなどが現れた場合は速やかに医師へ相談が必要です。
アセトアミノフェンは脳の中枢系でプロスタグランジン合成酵素(COX)を阻害し、体温調節中枢や痛みの伝達に作用します。
NSAIDsと比べて抗炎症作用は弱いですが、胃腸障害や腎障害のリスクが低いのが特徴です[8][3][4]。
服用後の眠気もほとんどありません。
ただし、過量投与や長期投与で肝障害を起こすリスクがあるため、用量遵守が必須です[7][9]。
アセトアミノフェンは多くの市販薬や処方薬に含まれているため、重複投与による過剰摂取に注意が必要です[4]。
アルコール常飲者は肝障害リスクが高まるため慎重な投与が求められます[5][10]。
抗凝血薬(ワルファリン)との併用で抗凝血作用が増強されることがあるため、投与量調整や経過観察が重要です[5][10]。
その他、肝薬物代謝酵素誘導薬や一部の抗生物質との併用にも注意が必要です。
高齢者や肝機能障害患者では薬物動態が変化しやすく、より低用量で効果・副作用が現れる場合があります。
小児ではシロップや粉薬など剤形の選択肢が多く、体重に応じて用量調整が必要です[2][10]。
意外な知見として、抗菌薬との併用で過度の体温低下を起こす頻度が高くなることが報告されていますが、機序は明確ではありません[5][10]。
また、アセトアミノフェンは高血圧を悪化させる可能性があるとの報告もあり、基礎疾患を持つ患者では慎重な観察が求められます[11]。
胃腸障害や肝機能障害のリスクに関する詳細は、副作用と飲み合わせに関する薬剤師解説が参考になります。
抗菌薬との併用リスクや肝障害リスクの具体的な記載は、KEGG MEDICUS添付文書が有用です。