抗コリン作用はムスカリン受容体を介したアセチルコリン伝達を阻害し、消化管運動抑制や唾液分泌減少などを引き起こします[3][4]。特に高齢者では認知機能低下や排尿障害を誘発するリスクが指摘され、2025年に日本老年薬学会が「抗コリン薬リスクスケール」を公開しました[2]。
各薬剤に1-3点のリスクスコアを設定し、総合スコアで患者の状態を評価する新しい手法です。例えば鎮痙薬のブチルスコポラミンは2点、抗ヒスタミン薬のジフェンヒドラミンは3点と評価され、ポリファーマシー対策に有効です[2]。スコア算出用のツールが学会公式サイトで公開されています。
認知機能障害(30%増加)や便秘(25%発生)、尿閉(15%リスク上昇)が頻発します[2][4]。特に緑内障患者では眼圧上昇の危険性があり、プロパンテリン使用時は眼圧モニタリングが必須です。代替療法として選択的M1受容体拮抗薬のピレンゼピンが推奨されます[4]。
市販の総合感冒薬(25%が抗コリン成分含有)や漢方薬(芍薬甘草湯など)との併用で作用が増強します[3]。抗精神病薬オランザピン(リスクスコア2点)と抗パーキンソン病薬トリヘキシフェニジルの併用例では、便秘発生率が単独使用比で2.3倍に上昇します[2]。
2025年診療報酬改定で抗コリン薬適正使用評価が新指標に追加されました。在宅医療では薬剤師主導の「抗コリン負荷チェックシート」導入が進んでいます[2]。今後はAIを活用したリアルタイムリスク評価システムの開発が期待されます。