5ASA製剤の添付文書において、最も重要な副作用として挙げられるのは過敏症状・アレルギー反応です。これは服用開始から1〜2週間以内に発現することが多く、下痢や血便の悪化、発熱、腹痛として現れます。
国内臨床試験において、安全性解析対象となった症例では23.9〜48.5%に副作用が認められており、主なものとして以下が報告されています。
添付文書では、これらの副作用について頻度別に詳細に分類され、医療従事者が適切に判断できるよう情報が整理されています。
添付文書では「重大な副作用」として、以下の項目が頻度不明で記載されています。
血液系副作用 💉
腎・泌尿器系副作用 🔬
心血管系副作用 ❤️
5ASA製剤による心筋炎・心膜炎は稀ですが、生命に関わる重篤な副作用として海外では詳細に報告されています。添付文書では明記されていない場合も多いものの、胸痛、呼吸困難、心電図異常などの症状に注意を要します。
その他の重篤な副作用
添付文書では副作用の発現時期について、特にアレルギー反応が治療開始1〜2週間後に多いことが強調されています。この時期の症状悪化は、原疾患の増悪と区別が困難な場合があるため、医療従事者には慎重な判断が求められます。
早期発現副作用(1-2週間以内)
遅発性副作用(数週間〜数ヶ月後)
添付文書では、これらの副作用が疑われる場合の対処として、速やかな投与中止と適切な処置が明記されており、特に5ASAアレルギーが疑われる場合は再投与禁忌とされています。
添付文書では、5ASA製剤の安全使用のため、以下のモニタリングが推奨されています。
定期検査項目 📊
検査頻度の目安
国内の使用成績調査において、尿中NAG増加が高頻度(5.2〜13.0%)で認められることから、腎機能モニタリングの重要性が添付文書で強調されています。
添付文書には記載が限定的ですが、海外文献や臨床報告では以下の副作用も注目されています。
心血管系合併症の詳細 ❤️
海外研究によると、5ASA製剤による心筋炎・心膜炎は0.1%未満の頻度ながら、致命的になりうる副作用として報告されています。症状は胸痛、呼吸困難、心電図異常として現れ、早期診断が予後を左右します。
製剤間の副作用プロファイルの差異
長期使用時の懸念
これらの情報は添付文書だけでは十分に把握できないため、医療従事者は最新の文献情報と併せて総合的な安全管理を行う必要があります。
<参考リンク>
日本炎症性腸疾患協会による潰瘍性大腸炎治療薬の副作用解説
http://www.ibdjapan.org/patient/pdf/01.pdf
PMDA医薬品医療機器情報提供ホームページでの最新添付文書確認
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/