医療者でも、下痢があればO157だけ見ていると透析導入を見逃します。

溶血性尿毒症症候群(HUS)は、微小血管症性溶血性貧血、血小板減少、急性腎障害を三徴とする症候群です。
関連)https://nysora.com/ja/%E9%BA%BB%E9%85%94/%E6%BA%B6%E8%A1%80%E6%80%A7%E5%B0%BF%E6%AF%92%E7%97%87%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4/
原因として最も知られているのは志賀毒素産生大腸菌(STEC)関連ですが、HUS全体の約90%は下痢を伴う病型で、約10%は病原性大腸菌感染によらない病型です。
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つまり、O157だけではありません。
病型の整理としては、STEC-HUS、補体介在性TMAとしてのaHUS、薬剤・移植・妊娠・自己免疫疾患などに伴う二次性TMA、さらに現時点で原因不明のその他のTMAに分けて考えると実務で迷いにくくなります。
関連)https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/13-%E8%A1%80%E6%B6%B2%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E8%A1%80%E5%B0%8F%E6%9D%BF%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E6%BA%B6%E8%A1%80%E6%80%A7%E5%B0%BF%E6%AF%92%E7%97%87%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4-hus
ここを曖昧にすると、便検査だけで安心してしまい、ADAMTS13活性や補体関連検査の着手が遅れます。
とくに医療従事者向けの記事として強調したいのは、HUSという病名よりTMAの一群として見る姿勢です。
関連)https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/13-%E8%A1%80%E6%B6%B2%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E8%A1%80%E5%B0%8F%E6%9D%BF%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E6%BA%B6%E8%A1%80%E6%80%A7%E5%B0%BF%E6%AF%92%E7%97%87%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4-hus
Hb低下、LDH上昇、ハプトグロビン低下、破砕赤血球、血小板減少、腎障害が並んだら、消化器内科・腎臓内科・救急・小児科のどこであっても同じフレームで拾えます。
上位検索でも中心になるのはSTEC-HUSです。実際、小児TMAでは頻度が高く、日本のガイドでもまず鑑別すべき病型として扱われています。
関連)https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/13-%E8%A1%80%E6%B6%B2%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E8%A1%80%E5%B0%8F%E6%9D%BF%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E6%BA%B6%E8%A1%80%E6%80%A7%E5%B0%BF%E6%AF%92%E7%97%87%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4-hus
原因菌としてはO157が有名ですが、O111、O26などもあり、日本ではHUS発症例でO157の割合は約70%程度まで低下傾向とされ、non-O157も無視できません。
関連)http://www.yamauchi-iin.com/kaisetu/1119.htm
O157だけ覚えるのは危険です。
関連)http://www.yamauchi-iin.com/kaisetu/1119.htm
STEC感染の証明には、便培養、便中志賀毒素の直接検出、志賀毒素遺伝子PCR、血清O157 LPS-IgM抗体などが有用です。
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しかも排菌は下痢発症後の数日に限られることがあり、十分量の採便を発症早期に行えないと、あとで原因菌が拾えず診断がぶれます。
症状面では、STEC腸炎は約85%で明らかな鮮血便を伴い、強い腹痛や腹部膨満を示しやすいとされています。
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腹部画像では右側結腸を中心とした壁肥厚が参考になりますが、胃腸炎症状の改善とともに所見が薄れることもあるため、画像だけで後追い確定するのは難しい場面があります。
この段階での対策は、腸炎の診療中にTMA化を見逃さないことです。血便や腹痛の場面で「HUS化の拾い上げ」を狙うなら、CBC、Cr、LDH、ハプトグロビン、末梢血塗抹をセットで確認する運用が候補になります。
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1回のオーダーで済む形にしておくと、夜間救急でも判断がぶれにくくなります。
検査の束ね方が大事です。
STEC-HUSの参考になる日本語資料として、診断法と検体採取の注意点は下記が実用的です。
医療者にとって本当に厄介なのは、下痢がない、あるいは下痢があってもSTECだけでは説明しにくいaHUSです。
関連)https://nysora.com/ja/%E9%BA%BB%E9%85%94/%E6%BA%B6%E8%A1%80%E6%80%A7%E5%B0%BF%E6%AF%92%E7%97%87%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4/
aHUSは補体第二経路の過剰な活性化を原因とする補体介在性TMAで、感染、分娩、手術、新型コロナウイルス感染症、ワクチン接種など補体が強く動く事象を契機に急性発症します。
本邦レジストリでは、aHUS症例の75%で何らかの発症契機が確認されています。
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そのため、発熱や消化器症状があるから感染症由来の二次性TMAだと単純化すると、補体介在性TMAを見落とす余地が出ます。
原因遺伝子としてはCFH、CFI、CD46、C3、CFB、THBD、DGKEなどが知られ、2020年からこのうち7遺伝子の遺伝学的検査が保険収載されています。
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ただし、既知遺伝子に原因バリアントが見つからない症例が40〜60%程度あるため、遺伝子検査が陰性でもaHUSを否定できません。
ここは読者にとって大きな実務メリットがあります。aHUSを疑う場面で「遺伝子結果待ち=治療待ち」にしないことです。臨床診断はあくまでSTEC-HUS、TTP、二次性TMAを除外しながら進め、血漿療法や抗C5抗体薬の要否を専門施設と早期相談する流れが安全です。
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その連携先を院内マニュアルや救急カンファで先にメモしておくと、実際の当直で時間を失いにくくなります。
連絡先の可視化が条件です。
aHUSの定義や原因遺伝子、診断アルゴリズムを深く確認するなら、下記の日本語ガイドが最も有用です。
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aHUSの病態、診断アルゴリズム、遺伝学的検査、鑑別を網羅した診療ガイド 2023
検索上位の記事では感染症中心の説明が多い一方、現場では二次性TMAの見逃しが痛手になりやすいです。
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ガイドでは、自己免疫疾患、感染症、薬剤、妊娠、高血圧緊急症、悪性腫瘍、移植、コバラミンC代謝異常などが二次性TMAの原因として整理されています。
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ここは幅広く見るべきです。
薬剤性では、ゲムシタビン、VEGF阻害薬、シクロスポリン、タクロリムス、シロリムス、抗血小板薬、抗ウイルス薬などが挙げられます。
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妊娠関連では妊娠高血圧腎症やHELLP症候群との鑑別が問題になり、分娩後72時間以内に軽快しないTMAや、分娩後に進行する急性腎障害はaHUSの可能性を上げます。
移植では、造血幹細胞移植後TMAや腎移植後TMAがあり、もともとのaHUS再発なのか、新規aHUSなのか、二次性TMAなのかで意味が変わります。
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また、高血圧緊急症はaHUSの約半数で発症時に重篤な高血圧を伴う一方、高血圧緊急症全体からみてaHUS由来は3%未満とされ、降圧しても72時間以内にTMAが改善しないなら再評価が必要です。
この知識が役立つのは、原因検索を「感染症→陰性なら終わり」にしないことです。薬歴、妊娠経過、移植歴、自己抗体、血圧経過を同じシートで確認する運用にすると、あなたのチームが原因候補を漏れなく拾いやすくなります。
問診票の定型化が有効です。
厚労省の難病資料は、aHUSの病因分類を短時間で俯瞰したいときに使いやすいです。
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aHUSの病因分類、診断基準、重症度分類を一覧で確認できる厚労省資料
独自視点として大事なのは、「原因を当てる」より「除外を並行で走らせる」設計です。
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aHUS診療ガイドでは、急性期のaHUS診断は確定診断ではなく、TMAを呈する他疾患の除外による臨床的診断として位置づけられています。
具体的には、TMA三徴を認めたら、STECの検体確保、ADAMTS13活性提出、二次性TMAの原因検索、必要時の補体関連相談を同日に走らせるのが理想です。
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ADAMTS13活性は外注で3〜5日程度かかる施設が多いので、提出の遅れはそのまま診断遅延になります。
また、aHUSが疑われる症例は専門施設との連携が望ましく、名古屋大学腎臓内科の事務局では症例相談や抗H因子抗体検査、ヒツジ赤血球溶血試験の相談先になっています。
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こうした外部支援先を知らないまま抱え込むと、時間と腎予後の両方を失いやすいので、院内の救急マニュアルや当直ハンドブックに記載しておく価値があります。
最後に、医療従事者向けに一つだけ覚えるなら、HUSの原因は「感染症」ではなく「TMAの原因群」です。
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この視点に変わるだけで、便検査、血液検査、薬歴、妊娠歴、移植歴、補体、ADAMTS13を一枚の地図で扱えるようになります。
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溶血性尿毒症症候群 原因だけ覚えておけばOKです。
| 頭文字 | 英語 | 症状の内容 |
|---|---|---|
| F | Flu-like symptoms | インフルエンザ様症状(倦怠感・筋肉痛) |
| I | Insomnia | 不眠・悪夢 |
| N | Nausea | 嘔気・嘔吐 |
| I | Imbalance | ふらつき・運動失調 |
| S | Sensory disturbance | 電気が走るような感覚異常(シャック症状) |
| H | Hyperarousal | 過覚醒・不安・焦燥感・イライラ |
| 状況 | 疑うべき感染像 | 特徴的な所見 |
|---|---|---|
| ICU長期管理中 | 人工呼吸器関連肺炎(VAP) | 青緑色の気道分泌物 |
| 好中球減少症患者 | 菌血症・壊疽性膿瘡 | 体幹部の特徴的な紫黒色皮疹 |
| 糖尿病+外耳炎 | 悪性外耳道炎 | 難治性耳痛・顔面神経麻痺 |
| 熱傷患者 | 創部感染・敗血症 | 創部緑色膿・全身炎症反応 |
| 長期カテーテル留置 | 尿路感染・血流感染 | 膿尿・菌血症への移行 |