予防接種副反応による発熱の症状と対処法

予防接種後の発熱は免疫反応の証拠ですが、症状の見極めや適切な対処法を知っておくことが重要です。いつ医療機関を受診すべきか、その判断基準とは?

予防接種副反応による発熱の症状と対処

予防接種副反応の発熱について
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発熱のメカニズム

ワクチンによる免疫反応の一つとして起こる正常な身体反応

発熱の期間

通常24-48時間以内に始まり、1-2日で自然解熱

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受診の目安

2-3日以上の継続や39℃以上の高熱では医療機関受診が必要

予防接種副反応による発熱が起こる理由と症状

予防接種後の発熱は、ワクチンに含まれる抗原に対して免疫システムが反応することで起こる正常な生理現象です 。ワクチンは細菌やウイルスを弱毒化したり無毒化したりして作られており、接種すると体が実際の感染と類似した環境になることで免疫を獲得します 。
参考)注射のワクチンの副作用について

 

発熱の程度は個人差がありますが、一般的に37.5℃の微熱から39℃を超える高熱まで可能性があります 。肺炎球菌ワクチンでは約3-5割の方に37.5℃以上の発熱が起こり、四種混合ワクチンでも約1-5割の方に発熱が見られると報告されています 。
参考)コロナワクチン接種後の発熱、気になる副反応の症状や対処法は?…

 

生後2か月から接種するワクチンでは、10人に一人以上が微熱や38℃以上の発熱を経験するとされており 、これは免疫が正常に働いている証拠でもあります 。
参考)ワクチンの副反応で子どもが発熱…受診の目安やホームケア方法は…

 

予防接種副反応による発熱の経過と持続期間

予防接種による副反応の発熱は、通常接種当日から翌日にかけて始まり、1-2日以内に自然解熱することが一般的です 。不活化ワクチンの場合、接種後24-48時間以内に症状が現れ、数日で消失します 。
参考)予防接種後に赤ちゃんが発熱!いつまで続く?受診の目安や対処法…

 

生ワクチン(麻しん、水痘、おたふく風邪など)については、接種後5-10日ほど経ってから発熱することもありますが、こちらも通常1-2日で解熱します 。黄熱ワクチンの場合は、発熱が5-10日間続くこともあります 。
参考)http://www.rgmc.izumisano.osaka.jp/wp/wp-content/uploads/2019/01/tvaccine_sidereaction.pdf

 

重要なのは、一度発熱したからといって次のワクチン接種で必ず発熱するわけではないということです 。また、解熱剤を使用しない場合の方が、発熱の持続時間が短くなるという研究報告もあります 。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6658305/

 

予防接種副反応発熱時の解熱剤使用と対処法

予防接種後の発熱に対して解熱剤の使用は一般的に安全とされており、アセトアミノフェン(パラセタモール)がよく使用されます 。厚生労働省は、市販の解熱鎮痛薬として、アセトアミノフェン、イブプロフェンロキソプロフェンなどの使用を推奨しています 。
参考)コロナワクチン接種後の発熱 解熱剤は飲んでいい?

 

ワクチンによる発熱は免疫機能の活性化による反応であり、解熱剤を使用しても免疫反応には影響がないと考えられています 。ただし、事前の解熱剤服用については、ワクチンの効果への影響が不明なため推奨されていません 。
対処法としては、基本的に安静にして自然解熱を待つことが重要です 。水分補給をしっかり行い、室温と衣類の調整をこまめに行います 。食欲がない場合は無理に食べさせる必要はありませんが、脱水を防ぐため水分摂取は重要です 。
参考)ワクチン接種後の赤ちゃんの発熱対応について

 

予防接種副反応発熱で医療機関を受診すべき症状と目安

予防接種後の発熱で医療機関受診が必要な症状として、発熱が2-3日以上続く場合があります 。厚生労働省は、発熱が2日以上続く場合は新型コロナウイルス感染症の可能性もあるとして受診を呼びかけています 。
参考)接種後 発熱2日以上続く人は受診を 新型コロナ症状の可能性も…

 

39℃以上の高熱でぐったりしている場合、呼吸困難や意識低下がある場合は、救急受診が必要です 。その他の緊急受診が必要な症状として、けいれん、意識がもうろうとしている、吐き気がある、苦しがるなど様子がおかしい場合が挙げられます 。
参考)【医師監修】赤ちゃんの症状で緊急度がわかる!予防接種の副反応…

 

生後3か月未満の乳児の場合は、副反応を疑っても受診をしておくことが安心です 。また、発熱以外に鼻水や咳などの風邪様症状がある場合、日に日に熱が高くなっている場合も受診を検討すべきです 。

予防接種副反応としての稀な重篤症状とアナフィラキシー対策

予防接種後に起こりうる重篤な副反応として、アナフィラキシーは最も注意すべき症状の一つです 。アナフィラキシーの症状には、皮膚紅潮、膨疹、かゆみ、結膜充血などの皮膚粘膜症状、咳嗽、喘鳴、呼吸困難感、喉頭絞扼感などの呼吸器症状があります 。
参考)https://www.niigata-er.org/pdf/covidnews/0000000285_8.pdf?now=20210514122636

 

血圧低下、意識障害、腹痛、嘔吐、下痢などの消化器症状も現れることがあり、これらの症状が接種後早期に出現した場合はアナフィラキシーを疑います 。アナフィラキシーの初期対応としては、仰臥位とし、血圧低下または呼吸障害を認めたら躊躇なくアドレナリン0.3-0.5mgを筋注します 。
参考)新型コロナワクチンの副反応(アナフィラキシー)について

 

その他の稀な重篤副反応として、急性脳炎、急性脳症ギラン・バレー症候群、血小板減少などが報告されています 。1976年に米国で行われたH1N1ワクチン接種では、約400人がギラン・バレー症候群を発症し、25人が死亡したという歴史的事例もあります 。
参考)インフルエンザ - Wikipedia