タートラジンによるアレルギー反応は、主に以下の症状として現れます:
参考)https://www.fpa.or.jp/johocenter/yakuji-main/_1635.html?blockId=40297amp;dbMode=article
タートラジン単独でのアレルギーは非常に稀とされていますが、アスピリンなどのNSAIDsに対して過敏性を示す患者において交差過敏反応が起こることが知られています。この交差過敏性は、タートラジンとアスピリンが共通の炎症メディエーターを介してアレルギー反応を誘発するためと考えられています。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/32/10/32_KJ00002577118/_article/-char/ja/
興味深いことに、タートラジンによる不耐反応の発現頻度は、食品によってじんましん及び血管性浮腫を誘発される被験者の1%未満という報告があります。しかし、感受性を有する患者では重篤な症状に発展する可能性があるため、医療従事者としての注意深い観察が必要です。
参考)https://catfood-study.com/catfood/tartrazine.html
医療従事者が最も注意すべき点は、タートラジンアレルギー患者に対する医薬品の選択です。
参考)https://www.torokuhanbaisya.com/%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC%E3%81%8C%E3%81%82%E3%82%8B%E4%BA%BA%E3%81%AB%E3%81%AF%E6%B0%97%E3%82%92%E3%81%A4%E3%81%91%E3%81%9F%E3%81%84%E5%8C%BB%E8%96%AC%E5%93%81%E6%B7%BB%E5%8A%A0/
タートラジンは「食用黄色4号」として以下の製品に含まれています。
医薬品添加物として使用される場合、患者は主成分に注目しがちで、添加物としてのタートラジンに気づかないことが多いのが実情です。特にアスピリン喘息の既往がある患者では、解熱鎮痛剤だけでなく、タートラジンを含む製剤全般に注意が必要です。
処方時には、薬歴確認において「アスピリンで喘息症状が出たことがある」「黄色い食べ物で体調が悪くなったことがある」といった情報の聴取が重要です。また、ジェネリック医薬品への変更時には、添加物の組成変更により新たにタートラジンが含まれる場合があるため、注意深い確認が必要です。
タートラジンアレルギーの診断は、一般的なアレルギー検査とは異なる特徴があります。
参考)https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/855
診断方法。
血液検査による特異的IgE抗体の測定は、タートラジンに対しては感度が低いとされています。そのため、臨床症状と除去・負荷試験による診断が主体となります。
注目すべき点として、タートラジンによる反応は即時型だけでなく、摂取後数時間経過してから症状が現れる遅延型の場合もあることです。この特徴により、原因物質の特定が困難になることがあります。
また、小児においては注意欠陥・多動性障害(ADHD)との関連性が欧州で指摘されており、行動面での変化も観察すべき症状の一つとして認識されています。
参考)https://ps-tsuhan.com/karadakirei/cat115/post-45.html
タートラジンアレルギーの治療は、主に症状に応じた対症療法と厳格な原因物質の除去が基本となります。
参考)https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/15-%E5%85%8D%E7%96%AB%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC%E5%8F%8D%E5%BF%9C%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E3%81%9D%E3%81%AE%E4%BB%96%E3%81%AE%E9%81%8E%E6%95%8F%E6%80%A7%E7%96%BE%E6%82%A3/%E9%A3%9F%E7%89%A9%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC
急性期治療。
長期管理。
タートラジンアレルギー患者の長期管理において、医療従事者が重視すべき点は教育指導です。患者・家族に対して以下の情報提供が不可欠です。
興味深い研究結果として、タートラジンの許容1日摂取量(ADI)は1964年にJECFAによって7.5mg/kg/日と設定されましたが、多くの国では使用制限や禁止措置がとられています。日本では現在も使用が認められていますが、敏感な患者群への配慮が求められています。
また、タートラジンは他のアゾ系色素(食用黄色5号、食用赤色2号・102号など)との交差反応を示すことがあるため、包括的な除去食指導が必要です。
医療従事者として患者指導において最も重要なのは、タートラジン含有製品の正確な識別方法を教育することです。
参考)http://takakis.la.coocan.jp/allergy.htm
食品における識別方法。
タートラジンは以下の表示名で記載されます。
要注意食品カテゴリー。
医薬品における注意点。
処方薬・市販薬問わず、以下の剤形で使用される可能性があります。
医療従事者は、薬剤選択時に添加物一覧を確認し、タートラジン含有の有無を事前にチェックすることが重要です。また、ジェネリック医薬品への変更時には、先発品と添加物組成が異なる場合があるため、特に注意深い確認が必要です。
代替選択肢の提案。
患者教育においては、「黄色い食品・薬品は全て危険」という誤った認識を持たせないよう、正確な情報提供が大切です。天然の黄色(β-カロテン、クルクミンなど)とタートラジンは異なる物質であることを明確に説明する必要があります。
さらに、海外製品や個人輸入品については、日本の表示基準と異なる場合があるため、より慎重な対応が求められます。国際的な食品添加物番号システム(INS番号)でタートラジンは「102」として統一されているため、この知識も患者指導に活用できます。