ストックリン(一般名:エファビレンツ)は、MSD株式会社が製造販売していたHIV感染症治療薬です。2023年12月末をもって200mg錠および600mg錠の両規格が販売中止となりました。
参考)https://www.msdconnect.jp/products/isentress/history/
販売中止の背景には、以下の要因が考えられます。
参考)https://www.data-index.co.jp/news/134201/
ストックリンは1999年9月に「ストックリンカプセル200」として国内発売され、2008年6月には「ストックリン錠600mg」が追加承認されました。約24年間にわたってHIV感染症治療に貢献してきた薬剤でしたが、治療ガイドラインの変更や新薬の登場により、その役割を終えることとなりました。
参考)https://www.carenet.com/news/general/carenet/4561
ストックリン販売中止に伴い、医療従事者は患者に適切な代替薬を提案する必要があります。主な代替薬は以下の通りです。
第一選択薬
参考)https://osaka-hiv.jp/information/index.htm
配合剤による選択肢
代替薬選択時の注意点。
⚠️ 薬剤耐性パターンの確認が必要
⚠️ 併用薬との相互作用を慎重に評価
⚠️ 患者の腎機能・肝機能を考慮した薬剤選択
エファビレンツから他剤への切り替えは、副作用プロファイルの違いを理解して行う必要があります。
エファビレンツ特有の副作用
切り替え後に注意すべき副作用
📊 インテグラーゼ阻害薬への切り替え
📊 プロテアーゼ阻害薬への切り替え
副作用管理のポイント
販売中止により既存患者の治療継続に支障をきたさないよう、計画的な切り替え戦略が重要です。
切り替えタイミングの判断基準
✅ ウイルス学的抑制状態:HIV-RNA < 50 copies/mL維持中
✅ 免疫学的状態:CD4陽性T細胞数が安定
✅ 薬剤耐性検査結果:代替薬に対する感受性確認
✅ 患者の同意:十分な説明後の治療変更同意
治療継続における注意点
🔍 薬剤耐性の出現監視
🔍 アドヒアランスの維持
長期予後への配慮
医療従事者が直面する実務的な課題と対応策について解説します。
処方箋システムでの対応
🖥️ 電子カルテシステム
🖥️ 薬剤部との連携
保険適応と薬価の考慮事項
💰 薬剤費の変動
薬剤名 | 月額薬剤費概算 | 特徴 |
---|---|---|
ストックリン600mg | 約35,000円 | 販売中止 |
ビクタルビ配合錠 | 約120,000円 | STR、高額 |
テビケイ50mg | 約45,000円 | 単剤、比較的安価 |
患者負担への配慮
医療連携の重要性
🤝 地域の HIV専門医療機関との連携強化
🤝 薬剤師との情報共有体制構築
🤝 患者会や支援団体との協力関係維持
この販売中止は、HIV医療における治療選択肢の変化を象徴する出来事でもあります。医療従事者は最新の治療ガイドラインに基づき、個々の患者に最適な治療選択を提供する責任があります。適切な代替薬選択と丁寧な患者フォローアップにより、治療継続性を確保することが重要です。