テノホビル使用時の副作用は発現頻度と重篤度により分類されます。臨床試験における副作用発現頻度は約13.7-20%と報告されており、医療従事者は発現パターンを理解した適切な患者管理が求められます。
参考)https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00062717
副作用の分類は以下のように整理されます。
重大な副作用(頻度不明)
その他の副作用(1%以上)
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00066590.pdf
特筆すべき点として、テノホビル アラフェナミド(TAF)とテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(TDF)では副作用プロファイルが若干異なります。TAF製剤では関節痛(1.1%)や不眠症(1.1%)の報告も見られます。
副作用の早期発見のため、投与開始前および投与中の定期的なモニタリングが重要です。特に腎機能(クレアチニンクリアランス)、肝機能(ALT、AST)、膵機能(アミラーゼ、リパーゼ)の検査は必須とされています。
テノホビル投与時の最も重要な副作用は腎機能障害です。発症機序は主に近位腎尿細管への毒性作用によるものと考えられています。
発症機序 🔬
テノホビルは有機アニオントランスポーター(OAT1、OAT3)を介して尿細管上皮細胞に取り込まれ、細胞内でミトコンドリア機能障害を引き起こします。これにより近位尿細管機能障害、ファンコニー症候群、急性腎尿細管壊死などが発症します。
臨床症状
参考)https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=38900
監視体制 📊
投与前の必須検査。
投与中のモニタリング。
リスク因子 ⚠️
高リスク患者の同定が重要です。
腎機能低下が確認された場合は、投与継続の可否を慎重に判断し、必要に応じて投与中止や代替薬への変更を検討します。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/orltokyo/60/2/60_107/_pdf/-char/ja
乳酸アシドーシスはテノホビル使用時の重大な副作用の一つです。ミトコンドリア毒性により発症し、致命的な経過をたどることがあります。
病態生理 🧬
テノホビルは核酸系逆転写酵素阻害薬として、細胞内でミトコンドリアDNAポリメラーゼγを阻害します。これにより酸化的リン酸化が阻害され、嫌気性代謝が亢進し乳酸産生が増加します。
臨床症状の段階的進行
初期症状。
進行期症状。
診断基準 📋
検査スケジュール
月1回:静脈血ガス分析、乳酸値
症状出現時:緊急検査(動脈血ガス、電解質、乳酸)
治療対応 🏥
軽度(pH 7.2-7.35)。
重度(pH <7.2)。
予防策として、肝機能異常患者、高齢者、女性、肥満患者では特に注意深い観察が必要です。早期発見により重篤化を防ぐことができます。
テノホビルは多くの薬剤との相互作用により副作用が増強されることが知られています。医療従事者は併用薬の適切な選択と用量調整が重要です。
参考)https://clinicalsup.jp/jpoc/drugdetails.aspx?code=62717
腎排泄競合による相互作用 💊
テノホビルは主に腎の尿細管分泌により排泄されるため、同様の排泄経路を有する薬剤との併用で血中濃度が上昇します。
高リスク併用薬。
HIV治療薬との相互作用 🦠
ロピナビル・リトナビル併用時:
アタザナビル併用時:
C型肝炎治療薬との相互作用
レジパスビル・ソホスブビル併用。
腎毒性薬剤との併用リスク ⚠️
以下の薬剤群との併用は特に慎重な判断が必要。
併用が必要な場合の対策。
薬剤師と連携した薬物相互作用チェックシステムの構築により、安全な薬物治療の実現が可能となります。
長期投与時の骨密度減少は、テノホビル使用において注目すべき副作用です。この問題は従来あまり注目されていませんでしたが、近年の長期追跡調査により重要性が明らかになってきました。
発症機序 🦴
テノホビルによる骨代謝異常は、近位尿細管機能障害に伴うリン酸塩の尿中漏出が主要因です。さらに、ビタミンD活性化障害、副甲状腺ホルモン分泌異常も関与します。
病態の進行過程。
臨床症状 📊
早期。
進行期。
スクリーニングと監視
必須検査項目。
リスク因子の評価 ⚠️
高リスク患者。
予防と治療戦略 💊
予防策。
治療的介入。
テノホビル アラフェナミド(TAF)への変更も骨毒性軽減に有効とされています。長期投与患者では定期的な評価により、QOL低下を防ぐことが重要です。