セファゾリン点滴投与において、重大な副作用の発現頻度は0.1%未満とされていますが、その重篤性から医療従事者は常に警戒する必要があります。最も注意すべき副作用として以下が挙げられます:
参考)https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=40328
これらの副作用は発症すると生命に関わる可能性があるため、投与前の十分な問診と投与中の継続的な観察が不可欠です。
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00063069.pdf
セファゾリン点滴投与時の皮膚症状は、軽微なものから重篤なものまで幅広く存在します。最も頻繁に報告される皮膚副作用は以下の通りです:
参考)https://www.qlife.jp/meds/rx40328.html
軽度~中等度の皮膚症状(0.1~5%未満)
重篤な皮膚障害(0.1%未満)
これらの重篤な皮膚障害の初期症状として、発熱、頭痛、関節痛、皮膚や粘膜の紅斑・水疱、皮膚の緊張感・灼熱感・疼痛等が認められた場合には、直ちに投与を中止し適切な処置を行う必要があります。特に入院患者では、点滴開始後24時間以内の皮膚症状の変化を詳細に観察することが重要です。
参考)http://www.taiyopackage.jp/pdf/_rireki/CEFAZOLIN%20SODIUM%5Bnp%5D_inj_L.pdf
セファゾリン点滴投与時の消化器症状は、比較的頻繁に観察される副作用の一つです。主な症状と頻度は以下のとおりです:
一般的な消化器症状
重篤な消化器副作用
偽膜性大腸炎は、Clostridioides difficile(C.diff)の異常増殖により引き起こされる重篤な合併症です。腹痛や頻回の下痢があらわれた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置が必要となります。この病態は抗菌薬投与により腸内細菌叢のバランスが崩れることで発症するため、セファゾリン投与中は便の性状や頻度の変化を注意深く監視することが重要です。
また、ビタミンK欠乏症状として低プロトロンビン血症や出血傾向が現れることがあり、特に高齢者では注意が必要です。
セファゾリンは主に腎臓から排泄される抗菌薬であるため、腎機能への影響と適切な監視が極めて重要です。
腎機能関連副作用
特別な注意を要する患者群
腎機能低下患者では、セファゾリンの血中濃度が上昇し、神経毒性のリスクが高まります。健康成人では血漿中濃度の半減期は2.46時間ですが、腎機能低下により延長するため、投与量や投与間隔の調整が必要です。
定期的な血清クレアチニン値やBUN値の測定により、腎機能の変化を早期に検出することが重要です。特に高齢者では、加齢に伴う腎機能の生理的低下を考慮した慎重な投与計画が求められます。
セファゾリン点滴投与時には、呼吸器症状や神経症状といった、一般的には頻度の低い副作用にも注意を払う必要があります。これらの症状は重篤化する可能性があるため、早期発見と適切な対処が不可欠です。
呼吸器関連副作用
これらの症状は発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴います。特に間質性肺炎は進行性の経過をたどる可能性があるため、胸部症状の出現時には速やかに胸部X線検査や血液検査を実施し、必要に応じて副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行います。
神経系副作用
痙攣は主に腎不全患者への大量投与時に報告されており、セファゾリンの中枢神経系への直接的な毒性作用によるものと考えられています。これは血液脳関門の機能低下や薬物蓄積により発症するため、腎機能低下患者では特に注意深い観察が必要です。
興味深いことに、セファゾリン投与時の神経症状は、投与速度や濃度とも関連があることが報告されており、急速静注よりも緩徐な点滴投与の方が神経毒性のリスクを軽減できるとされています。