慢性腹膜炎のセルフチェックと早期発見のポイント

慢性腹膜炎は軽度な症状から始まり気づきにくい疾患です。腹部膨満感や微熱、持続的な腹痛などの初期症状を見逃さず、適切なセルフチェックで早期発見することが重要となりますが、どのような症状に注意すべきでしょうか?

慢性腹膜炎のセルフチェック

慢性腹膜炎の主要症状チェック項目
🌡️
微熱の持続

2~3ヶ月間続く37度台の微熱や体温の変動

🤲
腹部症状

軽度から中等度の持続的な腹痛と腹部膨満感

😴
全身症状

倦怠感、食欲不振、体重減少などの症状継続

慢性腹膜炎の初期症状とセルフチェック項目

慢性腹膜炎の初期症状は、数ヶ月にわたって持続する微熱や軽度から中等度の腹痛が主な特徴です。この疾患は急性腹膜炎のような激しい腹痛ではなく、より穏やかで持続的な不快感として現れることが多いため、見逃しやすい特徴があります。
参考)「慢性腹膜炎」の初期症状をご存じですか? 早期発見のポイント…

 

セルフチェックの重要なポイントは以下の通りです。

  • 2~3ヶ月間続く37度台の微熱や体温変動
  • 軽度から中程度の持続的な腹痛が出たり治まったりを繰り返す
  • 腹部全体の圧痛や腹部膨満感の継続
  • 全身倦怠感や食欲不振の長期間持続
  • 体重の減少傾向

    参考)腹膜炎 - みんなの家庭の医学 WEB版

     

初期段階では無症状の場合もあり、症状が緩やかに進行するため気づきにくいことも特徴的です。腹水の貯留も見られることが多く、お腹の張りを感じることがあります。

慢性腹膜炎の症状の進行パターンと警告サイン

慢性腹膜炎の症状は段階的に進行し、見逃しやすい特徴があります。初期には軽度の腹部不快感から始まり、徐々に持続的な症状へと変化していきます。
参考)目黒区の腹膜炎治療事情♪知っておきたい基礎知識

 

症状の進行パターン。

特に注意すべき警告サインとしては、歩行時にお腹に響く痛みや、腹部を押したときの圧痛があります。これらの症状は腹膜刺激症状として知られ、腹膜炎の特徴的な徴候です。また、腹水が発病の初期段階から認められることも多く、継続的な腹部膨満感は重要な指標となります。
参考)腹膜炎のセルフチェックはできますか?

 

慢性腹膜炎の原因と発症メカニズム

慢性腹膜炎の原因はそのほとんどが結核への感染によるもので、血液経由や腸間膜リンパ節経由で腹膜全域に発生します。結核性慢性腹膜炎は、肺結核や結核性胸膜炎などから血流やリンパを介して発症するケースがほとんどを占めています。
参考)慢性腹膜炎の症状・原因・対処法 Doctors Me(ドクタ…

 

主な原因として以下が挙げられます。

  • 結核性腹膜炎:最も頻度が高い原因疾患
  • 悪性腫瘍の腹膜転移:肝臓、胃、卵巣、子宮、腸などの内臓がんが腹膜に転移
  • 開腹手術後の癒着:手術により生じた腸の癒着が炎症の原因となる場合
  • 腹膜透析関連感染:腹膜透析患者におけるカテーテルを介した細菌感染

    参考)腹膜炎

     

発症メカニズムとしては、腹膜に慢性的な炎症が持続することで、腹水の貯留や腸管の癒着が進行します。免疫力の低下により腹腔内の細菌が増殖し、炎症を引き起こす場合もあります。

慢性腹膜炎の診断検査と医療機関での確定診断

慢性腹膜炎の診断には血液検査や腹部CT検査が主要な検査として行われます。診断プロセスでは症状の経過や特徴を把握することが重要で、腹膜刺激症状の有無を詳細に診察します。
参考)腹膜炎 – 消化器の疾患

 

主要な診断検査。

  • 血液検査:白血球数や好中球比率の上昇、CRP値の上昇などの炎症指標を確認
  • 腹部CT検査:腹腔内の異常所見や腹水の有無、臓器穿孔の有無を詳細に評価
  • 腹水検査:腹腔に針を刺して腹水を採取し、炎症の程度や原因を推測

    参考)https://medicalnote.jp/diseases/%E6%85%A2%E6%80%A7%E8%85%B9%E8%86%9C%E7%82%8E

     

  • 細菌培養検査:起炎菌の同定と感受性試験を実施

画像診断では、X線検査で遊離ガス像やイレウス像、超音波検査で腹水や腸管壁肥厚、CTで腹腔内膿瘍や臓器穿孔の詳細な評価が可能です。腹水が認められる場合には腹水穿刺を行い、腹水の性質と状態をチェックします。電解質バランスや肝機能、腎機能の評価も同時に行い、全身状態を把握します。

慢性腹膜炎の予防と日常生活での注意点

慢性腹膜炎の予防は原因疾患の早期発見と適切な治療が最も重要です。結核性腹膜炎が最多であることから、結核の予防と早期治療が効果的な対策となります。
参考)癌性腹膜炎

 

日常生活での予防策。

腹膜透析を行っている患者では、透析液交換時の清潔を保つことが極めて重要です。カテーテル出口部からの感染、カテーテルの破損や接続部の緩みなどが腹膜炎の原因となるため、適切な手技の維持が必要です。
参考)合併症について

 

また、体液過剰状態を避けるため、水分・塩分の摂取管理も重要な予防策となります。歩行や軽度の運動により腸の動きを良好に保つことで、ガス抜きの効果も期待できます。
参考)腹膜透析で注意が必要な合併症。考えられる原因と対策について