コンパニオン診断薬一覧と承認薬の最新情報

コンパニオン診断薬の一覧や対応する承認薬を正確に把握していますか?医療従事者が知っておくべき最新の適応・保険適用・注意点を徹底解説します。

コンパニオン診断薬の一覧と承認薬の基礎から最新情報まで

コンパニオン診断薬は「がん治療薬と必ずセットで使う」と思われがちですが、実は一部の診断薬は複数の治療薬に対応しており、単一の薬との1対1対応ではありません。


この記事のポイント
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コンパニオン診断薬の基本定義

特定の治療薬の適応を判断するために使用する体外診断用医薬品。治療薬と同時または先行して承認される仕組みを解説します。

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承認済みコンパニオン診断薬の一覧と対応薬

EGFR・ALK・HER2・BRCA・PD-L1など主要バイオマーカーごとに、現在承認されている診断薬と対応する治療薬を網羅的にまとめています。

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保険適用・使用上の注意点

コンパニオン診断薬の保険請求ルールや、検査実施時に見落としやすい注意事項を具体的に説明します。


コンパニオン診断薬とは何か:定義と承認制度の仕組み


コンパニオン診断薬(Companion Diagnostics:CDx)とは、特定の治療薬の投与対象患者を識別するために使用する体外診断用医薬品のことです。簡単に言えば、「この薬が効く患者かどうかを事前に見極めるための検査薬」です。


日本では、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)に基づき、医薬品医療機器総合機構(PMDA)が審査・承認を行います。治療薬とコンパニオン診断薬は、原則として同時申請・同時承認が求められています。これが原則です。


ただし実務上は「先行承認」のケースも存在します。治療薬が先に海外承認されている場合や、既存の診断技術を活用できる場合には、承認のタイミングがずれることがあります。意外ですね。


コンパニオン診断薬が登場した背景には、がん治療における「プレシジョン・メディシン(精密医療)」の潮流があります。腫瘍の遺伝子変異や特定のタンパク質発現を事前に調べることで、効果が見込める患者だけに治療薬を投与し、不要な副作用と医療費を抑えることが目的です。つまり患者選択が核心です。


2025年8月時点のPMDA公表情報によれば、日本国内で承認されているコンパニオン診断薬は50品目を超えており、対象となる主なバイオマーカーはEGFR変異、ALK融合遺伝子、HER2過剰発現/遺伝子増幅、BRCA1/2変異、PD-L1発現、ROS1融合遺伝子、KRAS変異などに及びます。数は増加中です。


医療従事者が特に注意すべき点として、コンパニオン診断薬の「承認された検査方法」以外での検査結果は、保険請求の根拠として認められないケースがあることが挙げられます。検査方法の選択ミスが、後の保険審査で問題となる事例が現場で報告されています。


PMDA:コンパニオン診断薬(体外診断用医薬品)の審査について


コンパニオン診断薬一覧:EGFR・ALK・ROS1対応薬と主な製品

非小細胞肺がん(NSCLC)領域は、コンパニオン診断薬の種類が最も多いがん種のひとつです。まずEGFR変異から見ていきましょう。


EGFR変異関連では、コバス®EGFR変異検出キット v2(Roche Diagnostics)が代表的な製品です。この診断薬はゲフィチニブイレッサ®)、エルロチニブ(タルセバ®)、アファチニブ(ジオトリフ®)、オシメルチニブタグリッソ®)など複数の分子標的薬に対応しています。1つの診断薬が複数薬剤に対応しているということですね。


ALK融合遺伝子関連では、ヴェンタナ ALK(D5F3)CDx アッセイ(Roche Diagnostics)が承認されており、クリゾチニブ(ザーコリ®)、アレクチニブ(アレセンサ®)、ブリガチニブ(アルンブリグ®)、ローラチニブ(ローブレナ®)の適応判断に使用されます。ALKは蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)法と免疫組織化学(IHC)法の2種類のアプローチがあり、どちらを選ぶかは施設の検査体制によります。


ROS1融合遺伝子関連では、VENTANA ROS1(SP384)RxDxアッセイが承認されており、クリゾチニブのROS1適応に対応しています。ROS1の検出においては、IHC法はスクリーニングに有用ですが、確認検査としてFISH法またはRT-PCR法の実施が推奨されるガイドラインもあり、施設間で対応が異なる点に注意が必要です。


表にまとめると以下の通りです。


バイオマーカー 主な診断薬製品名 対応治療薬(例) がん種
EGFR変異 コバス®EGFR変異検出キット v2 オシメルチニブ、ゲフィチニブ等 非小細胞肺がん
ALK融合遺伝子 ヴェンタナ ALK(D5F3)CDxアッセイ アレクチニブ、ローラチニブ等 非小細胞肺がん
ROS1融合遺伝子 VENTANA ROS1(SP384)RxDxアッセイ クリゾチニブ 非小細胞肺がん
BRAF V600変異 コバス®BRAF V600変異検出キット ダブラフェニブ+トラメチニブ 非小細胞肺がん・メラノーマ等
MET exon14スキッピング FoundationOne®CDx テポチニブ、カプマチニブ 非小細胞肺がん


これは使えそうです。


BRAF V600変異に関しては、肺がんだけでなく悪性黒色腫(メラノーマ)、甲状腺がん、結腸・直腸がんでも承認があり、がん種をまたいで同じ診断薬が使われる点が特徴的です。つまりがん種横断での使用が可能です。


国立がん研究センター:がん情報サービス(医療従事者向け)


コンパニオン診断薬一覧:HER2・BRCA・PD-L1・MSI対応薬の全容

乳がん・卵巣がん大腸がん領域を中心に、近年急速に適応が拡大しているバイオマーカーについて詳しく見ていきます。


HER2関連では、パスウェイ HER2(4B5)ウサギモノクローナル一次抗体(Roche)やHercepTest™(Agilent)などのIHC法キット、そしてHER2 FISHファーマDxTMシステム(Abbott)などが承認されています。対応する治療薬はトラスツズマブ(ハーセプチン®)、ペルツズマブ(パージェタ®)、トラスツズマブ エムタンシン(カドサイラ®)、トラスツズマブ デルクステカン(エンハーツ®)など多岐にわたります。HER2陽性の定義(IHC 3+、またはIHC 2+かつFISH陽性)を正確に理解することが、診断の精度に直結します。


BRCA1/2変異関連では、BRACAnalysis CDx®(Myriad Genetics)が代表的です。オラパリブ(リムパーザ®)のHER2陰性乳がん・卵巣がん・前立腺がん膵臓がんへの適応判断に使用されます。血液(germline変異検索)と腫瘍組織(体細胞変異検索)の両方を検体とするため、検体の取り扱いと管理が重要です。これが条件です。


PD-L1発現関連では、22C3 pharmDx(Agilent)や28-8 pharmDx(Agilent)、SP142アッセイなどが承認されています。22C3はペムブロリズマブ(キイトルーダ®)のNSCLC・胃がん・食道がん・子宮頸がんなど幅広いがん種の適応判断に使われます。同じPD-L1検査でも抗体クローンや判定スコアリングシステム(TPS、CPS、ICスコアなど)が異なるため、「どの診断薬で何を判定しているか」を混同しないよう注意が必要です。


MSI(マイクロサテライト不安定性)関連では、MSITECT 101®(Guardant Health)やpMLH1/pMMR IHC法が使われます。MSI-Highはペムブロリズマブのがん横断的(TMB腫瘍変異量と合わせた)適応に関係しており、固形がん全般が対象になる点が他のバイオマーカーと異なります。つまりがん種を選ばない点が特殊です。


バイオマーカー 主な診断薬製品名 対応治療薬(例) 主ながん種
HER2過剰発現/増幅 HercepTest™、パスウェイ HER2 トラスツズマブ、エンハーツ®等 乳がん、胃がん等
BRCA1/2変異 BRACAnalysis CDx® オラパリブ(リムパーザ®)等 卵巣がん、乳がん、前立腺がん等
PD-L1発現 22C3 pharmDx、28-8 pharmDx ペムブロリズマブ(キイトルーダ®)等 NSCLC、胃がん、子宮頸がん等
MSI-High/dMMR MSITECT 101®、IHC法 ペムブロリズマブ 固形がん全般(がん横断)
TMB(腫瘍変異量) FoundationOne®CDx ペムブロリズマブ 固形がん全般


厚生労働省:体外診断用医薬品・コンパニオン診断薬の承認情報


コンパニオン診断薬一覧:FoundationOne CDxなどのNGSパネル検査の役割

従来のコンパニオン診断薬が「1バイオマーカー対1診断薬」の関係であったのに対し、次世代シークエンシング(NGS)を使ったマルチコンパニオン診断薬(包括的ゲノムプロファイリング検査)が登場し、状況が大きく変わっています。これは革新的な変化です。


FoundationOne®CDx(エフワン)は、2018年に米国FDA、2019年に日本で承認された包括的ゲノムプロファイリング(CGP)検査です。固形がん324遺伝子の変異を1回の検査で解析でき、EGFR・ALK・BRCA・KRAS・MSI・TMBなど複数のバイオマーカーを同時に調べられます。これまで個別に検査が必要だったものが、1回の組織検体で完結します。つまり検査の集約が可能です。


OncoGuide™NCCオンコパネル(国立がん研究センター)も、2019年に承認された日本発のCGP検査です。114遺伝子の変異を解析対象とし、血液検体(ctDNA)と腫瘍組織の両方を用いる「コンパニオン検査」として機能します。


CGP検査の保険適用条件は厳格で、「標準治療がない固形がん患者」または「局所進行もしくは転移が認められる固形がん患者であり、関連学会のガイドラインで推奨されるすべての標準治療が終了した、または終了が見込まれる患者」に限定されています。この条件は重要です。


注意すべき点として、CGP検査は「治療方針を決める診断薬」であるため、結果が出るまで約3~4週間かかります。その間に患者の全身状態が変化するリスクがあり、特に全身状態(PS)が低下している患者への実施タイミングには慎重な判断が必要です。


CGP検査の結果は、エキスパートパネル(EP)と呼ばれる多職種カンファレンスで審議されます。遺伝子変異が見つかっても、対応する承認薬や臨床試験が常に存在するわけではなく、「変異あり・治療薬なし」という結果になるケースも相当数あります。実は約50〜60%の患者で「推奨される治療薬あり」という結果が出るとされますが、実際に治療につながるのはさらに少ない割合です。厳しいところですね。


国立がん研究センター中央病院:がんゲノム医療について


コンパニオン診断薬の保険適用と医療従事者が見落としやすい請求ルール

コンパニオン診断薬は治療薬と密接に連動しているため、保険請求においても特有のルールが存在します。知らないと損します。


まず基本として、コンパニオン診断薬による検査は、対応する治療薬を使用する予定がある場合、または使用中に再検査が必要な場合にのみ保険適用が認められます。「念のため調べておく」という目的での請求は認められません。これが原則です。


同一の検査を繰り返し実施する場合には、特に注意が必要です。例えばEGFR変異検査を初回治療前と再発時に再実施する場合、再実施の理由が診療録に明確に記載されていることが求められます。T790M変異(オシメルチニブの2次治療適応に関わる変異)の確認のための再検査などは認められますが、算定ルールを正確に把握しておく必要があります。


液体生検(ctDNA検査)の保険適用も近年整備されました。コバス®EGFR変異検出キット v2は、組織検体だけでなく血漿検体(液体生検)にも対応しており、再生検が困難な患者において有用です。ただし液体生検と組織生検を同時に算定できるケースは限られており、算定の優先順位が定められています。算定の順番が条件です。


2024年度診療報酬改定では、NGS検査(CGP検査)に関連するコードの整理が行われ、一部の検査の算定点数が変更になっています。改定内容を把握せずに古いコードで請求を続けると、査定や返還の対象になりかねません。


検査の種類 算定区分(例) 注意点
EGFR変異検査(組織) D006-10 EGFRタンパク(リン酸化型) 使用予定薬剤の記載が必要
EGFR変異検査(血漿) D006-10 血漿による場合 組織での検査が困難な場合のみ
ALK融合遺伝子検査 D006-14 FLT3遺伝子検査等に準じる IHC法とFISH法で算定コード異なる
CGP検査(FoundationOne CDx等) D006-19 がんゲノムプロファイリング検査 実施施設・条件の制限あり
BRCA1/2変異検査 D006-18 BRCA1/2遺伝子検査 遺伝カウンセリング加算の要否を確認


遺伝子関連検査では、BRCA1/2変異検査のように遺伝カウンセリング加算の算定が必要なケースがあります。遺伝カウンセリングの実施体制が整っていない施設での検査依頼時には、連携施設でのカウンセリング手配も含めた対応が求められます。これは多くの施設で見落とされやすい点のひとつです。


厚生労働省:令和6年度診療報酬改定について(各種通知・告示)




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