白癬菌症状と種類、感染部位別の特徴

白癬菌による感染症は部位により足白癬、爪白癬、体部白癬など多様な症状を呈します。本記事では医療従事者向けに各部位の特徴的症状、鑑別診断のポイント、二次感染のリスクまで解説します。適切な診断と治療につなげるための知識を整理できているでしょうか?

白癬菌症状の部位別特徴

白癬菌感染症の主な症状
🦶
足白癬(水虫)

趾間部の白色浸軟、小水疱形成、角質増殖など3つの病型に分類される最も頻度の高い感染症

💅
爪白癬

爪の白濁・黄変、肥厚、変形が特徴で外用薬単独では治療困難な症例も多い

🔴
体部・股部白癬

環状紅斑を呈し辺縁部に鱗屑を伴う特徴的な皮疹が見られる

白癬菌感染症の足白癬における症状パターン

 

足白癬は白癬菌感染症の中で最も頻度が高く、全白癬症例の半数以上を占めます。臨床症状は3つの主要な病型に分類され、それぞれ異なる治療アプローチが必要です。
参考)『白癬』の原因・症状・治療法【症例画像】|田辺三菱製薬|ヒフ…

趾間型は足指間、特に第3-4趾間に好発し、白癬菌感染による最も典型的な症状パターンです。初期には軽度の発赤と小水疱が出現し、進行すると皮膚が白色に浸軟しふやけた外観を呈します。掻痒感を伴うことが多く、高温多湿の季節に症状が増悪する傾向があります。患部がジュクジュクと湿潤する症例では、二次的な細菌感染のリスクが高まるため注意が必要です。
参考)水虫の症状・原因|くすりと健康の情報局

小水疱型は足底部、特に土踏まず周辺に小水疱が多発する病型で、梅雨から秋口にかけて症状が顕著になります。水疱は徐々に拡大し、やがて破裂して落屑します。この病型では掻痒感が強く、患者のQOLを著しく低下させることがあります。秋以降は自然に軽快する傾向がありますが、白癬菌は角質層内に残存しているため、完全な治癒には継続的な治療が必須です。
参考)白癬(はくせん)

角質増殖型は足底全体の角質が肥厚し、乾燥して亀裂を生じる非常に稀な病型です。この型の特徴は掻痒感を欠くことが多く、患者自身が白癬菌感染症と認識していないケースが少なくありません。冬季には角質化部分のひび割れにより疼痛が出現し、歩行障害を来すこともあります。外用薬のみでは治療効果が不十分なため、経口抗真菌薬の併用が推奨されます。​
💡 臨床ポイント:足白癬患者の多くは複数の病型が混在していることを認識し、各病型に応じた治療戦略を立案することが重要です。​

白癬菌症状における爪白癬の診断特徴

爪白癬は爪に生じる白癬菌感染症で、加齢とともに発症率が上昇する特徴があります。爪の遠位端または側縁から白癬菌が侵入し、徐々に近位部へ進行するのが典型的なパターンです。​
初期症状として爪の白濁または黄変が観察され、これは爪甲内のケラチンが白癬菌により分解されることで生じます。病変の進行に伴い、爪は著明に肥厚し爪甲の変形が顕在化します。重症例では爪表面に凹凸が生じ、爪切りで切断すると粉末状に崩壊する所見が認められます。
参考)水虫(白癬) 原因・症状・治療法|肌トラブル情報館|池田模範…

爪白癬の診断では、KOH直接鏡検による白癬菌の同定が不可欠です。爪甲の病変部から検体を採取し、水酸化カリウム溶液で角質を溶解後、顕微鏡下で菌糸の有無を確認します。検査所要時間は約5分程度で、糸状の節を持つ特徴的な菌糸が観察されれば確定診断となります。​
治療上の注意点として、爪白癬では外用薬の浸透率が著しく低いため、外用薬単独での治療効果は限定的です。そのため、経口抗真菌薬の投与が第一選択となることが多く、治療期間は数ヶ月から1年以上に及ぶこともあります。患者には長期的な治療継続の必要性を十分に説明し、アドヒアランスの向上に努めることが求められます。
参考)https://clinicplus.health/dermatology/ckyu9let/

📊 爪白癬は足白癬からの二次感染として発症するケースが大多数を占めるため、足白癬の早期治療が爪白癬の予防に繋がります。​

白癬菌による体部白癬と股部白癬の症状

体部白癬(ぜにたむし)と股部白癬(いんきんたむし)は、足以外の体幹部や股部に発症する白癬菌感染症です。これらの部位における白癬菌症状の特徴は、環状または楕円形の紅斑が輪状に拡大していく点にあります。
参考)疾患から診療科を探す(当院で診療可能な疾患か否かは、事前にお…

病変の辺縁部は隆起し、鱗屑を伴う活動性の高い領域として観察されます。一方、中心部は相対的に症状が軽微で、治癒傾向を示すことから特徴的な環状紅斑の外観を呈します。掻痒感は強度で、特に発汗や摩擦により症状が増悪します。
参考)白癬(Ringworm) href="https://kobe-kishida-clinic.com/infectious/infectious-disease/ringworm/" target="_blank">https://kobe-kishida-clinic.com/infectious/infectious-disease/ringworm/amp;#8211; 感染症 - 神戸き…

股部白癬は内股部に好発し、陰股部の高温多湿な環境が白癬菌の増殖に適していることが要因です。男性に多く見られ、スポーツ選手や長時間座位の職業に従事する方に発症しやすい傾向があります。紅斑は鼠径部から大腿内側へ拡大し、左右対称性を呈することが多いです。​
鑑別診断において、体部白癬は湿疹、乾癬、接触性皮膚炎などとの鑑別が必要となります。環状紅斑を呈する他の皮膚疾患との区別には、KOH直接鏡検による白癬菌の確認が決定的な診断根拠となります。​
近年、柔道や相撲などの格闘技を介して感染するTrichophyton tonsuransによる体部白癬が問題となっています。この菌種は感染力が強く、マット上での密接な身体接触により容易に伝播します。スポーツ施設における感染予防策の徹底が重要な課題です。​

白癬菌感染症の頭部白癬と手白癬の症状

頭部白癬(しらくも)は頭皮および毛髪に白癬菌が感染した状態で、現在の日本では比較的稀な病型となっています。症状としては円形または楕円形の脱毛斑が出現し、病変部には細かい鱗屑が付着します。毛髪は頭皮表面で断裂するため、毛孔が黒点状に観察されることがあります。​
ケルズス禿瘡という炎症性の強い病型では、頭皮の腫脹と膿疱形成を伴い、永久的な脱毛を残すリスクがあります。この病型は緊急性が高く、速やかな全身的抗真菌療法の開始が必要です。診断には病変部の鱗屑または毛髪を採取してKOH直接鏡検を行いますが、培養検査による菌種同定も推奨されます。
参考)https://www.gakkohoken.jp/book/ebook/ebook_H240080/H240080.pdf

手白癬は手掌に発症する白癬菌感染症で、単独で発症することは極めて稀です。大多数の症例は足白癬を掻破することにより、手に白癬菌が接種されて発症します。症状は足白癬の小水疱型や角質増殖型に類似し、手掌に掻痒を伴う小水疱が出現するか、皮膚の肥厚と乾燥を呈します。​
手白癬の診断では、手湿疹や接触性皮膚炎との鑑別が重要です。通常は片手のみに症状が限局することが多く、両手に対称性の皮疹が見られる場合は湿疹性疾患の可能性が高くなります。確定診断にはKOH直接鏡検が必須で、白癬菌の検出により診断が確定します。​
🔬 頭部白癬の治療には外用薬では不十分で、経口抗真菌薬の投与が標準治療となります。​

白癬菌感染症の二次細菌感染と合併症

白癬菌感染により皮膚のバリア機能が低下すると、二次的な細菌感染を併発するリスクが著しく上昇します。この合併症は特に趾間型足白癬において高頻度に観察され、臨床的に重要な問題です。
参考)足白癬(水虫) - ひまわり皮フ科

二次細菌感染が成立すると、趾間部の滲出液が増加しジュクジュクとした湿潤状態が顕著になります。感染が深部組織に波及すると、足背から下腿にかけて発赤と腫脹を伴う蜂窩織炎の像を呈します。患者は患肢の疼痛を訴え、鼠径リンパ節の腫大や発熱、全身倦怠感などの全身症状を伴うこともあります。
参考)水虫の治療 品川のあおよこ皮膚科クリニックにお任せ!

治療戦略として、二次細菌感染を併発した症例では白癬菌に対する治療よりも細菌感染のコントロールを優先します。患肢の安静と挙上を指示し、広域スペクトラムの抗菌薬を点滴または経口で投与します。重症例や糖尿病などの基礎疾患を有する患者では、入院管理下での集学的治療が必要となることがあります。​
白癬疹は白癬菌に対するIV型アレルギー反応により、白癬菌が存在しない部位に発疹が出現する病態です。典型例では足白癬の増悪時に手掌に多数の小水疱が出現しますが、全身性の発疹として現れることもあります。白癬疹の治療は原病巣である足白癬の治療が基本ですが、症状が強い場合には経口または外用のステロイド薬を併用します。​
⚠️ ハイリスク患者への注意:糖尿病、末梢動脈疾患、免疫抑制状態の患者では二次細菌感染が重症化しやすく、壊死性筋膜炎などの致死的合併症に進展する可能性があるため、特に慎重な経過観察が求められます。​

白癬菌の感染経路と24時間ルールに基づく予防戦略

白癬菌の主要な感染経路は、感染者から剥離した角質片(鱗屑)を介した間接接触感染です。この角質片には生存能力を維持した白癬菌が含まれており、バスマット、スリッパ、タオル、床などの共有物を媒介として他者の皮膚に付着します。
参考)水虫・爪白癬を「うつさない」「うつされない」ためには

感染成立には重要な時間的要因があり、健常な皮膚に白癬菌が付着してから角質層内に侵入し感染を確立するまでには約24時間を要します。この「24時間ルール」は予防戦略上、極めて重要な知見です。つまり、白癬菌が皮膚に付着しても24時間以内に適切に洗浄・除去すれば感染を防ぐことが可能です。
参考)どういうふうにうつるの?|水虫4コマ劇場|製薬会社のマルホ

具体的な予防方法として、公衆浴場やスポーツ施設の利用後は石鹸を用いて足趾間まで丁寧に洗浄し、十分に乾燥させることが推奨されます。特に足趾間は白癬菌が定着しやすい部位であり、タオルで水分を完全に拭き取ることが重要です。また、通気性の良い靴下や靴を選択し、同一の靴を連日着用せず2〜3足を交互に使用することで、靴内の湿度管理が可能となります。​
皮膚に傷や亀裂がある場合、白癬菌の侵入時間は約12時間に短縮されるため、足部の保湿ケアによりひび割れを予防することも重要な対策です。家庭内感染を防ぐには、感染者の早期治療が最も効果的で、バスマットやタオルの共有を避け、床の清掃と乾燥を徹底することが推奨されます。
参考)ニノ切やまもとクリニック|豊中市の内科・外科・消化器内科・腫…

📌 医療従事者への提言:患者教育において24時間ルールを強調し、日常生活における具体的な予防行動を指導することで、白癬菌感染症の発生率を大幅に低減できる可能性があります。​
<参考リンク>
水虫の感染経路と予防について詳細な患者向け情報を提供しています。

 

水虫・爪白癬を「うつさない」「うつされない」ためには

 

 


ココデオード 薬用石鹸 気になるカラダのニキビやニオイを防ぐ【抗カビ(真菌)成分 ミコナゾール 硝酸塩配合】 濃厚なモチモチ泡なのに泡切れスッキリ さらさら