チモプトール点眼液の最も頻繁に報告される副作用は眼局所の刺激症状です。主な症状として、眼灼熱感・かゆみ・異物感等の眼刺激症状が5%以上の患者で認められています。
参考)https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=9144
眼刺激症状の特徴。
これらの症状は薬剤の直接的な刺激作用によるもので、通常は一時的です。しかし、症状が持続する場合は医師への相談が必要です。
参考)https://www.carenet.com/drugs/category/ophthalmic-agents/1319702Q4033
患者向け薬剤情報(くすりのしおり)では、眼刺激症状について詳細な説明があります
チモプトールは点眼薬でありながら全身への吸収により重篤な副作用を引き起こす可能性があります。β受容体遮断作用による全身性の影響が問題となります。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4545277/
重大な副作用として以下が報告されています:
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00051545.pdf
副作用カテゴリ | 具体的症状 | 発現頻度 |
---|---|---|
呼吸器系 | 気管支痙攣、呼吸困難、呼吸不全 | 頻度不明 |
循環器系 | 心ブロック、うっ血性心不全、心停止 | 頻度不明 |
神経系 | 脳虚血、脳血管障害 | 頻度不明 |
免疫系 | 全身性エリテマトーデス | 頻度不明 |
特に気管支喘息患者では、β受容体遮断による気管支平滑筋収縮により生命に関わる喘息発作を誘発する可能性があるため、禁忌とされています。
参考)https://www.shizuyaku.or.jp/soudan/2457/
国際的な症例報告では、チモプトール点眼による3つの重篤な副作用が同一患者で発現したケースが報告されています
チモプトール点眼後の血中濃度測定により、点眼薬でも全身循環に移行することが確認されています。この全身移行が循環器系副作用の原因となります。
参考)http://downloads.hindawi.com/journals/cricc/2015/714919.pdf
循環器系副作用の詳細。
高齢者や既存の心疾患を有する患者では特に注意が必要で、他の心血管系薬剤(カルシウムチャネル遮断薬、ジギタリス製剤等)との併用により相加的に作用が増強される可能性があります。
併用注意薬との相互作用。
チモプトールによる神経精神系副作用は比較的稀ですが、患者のQOLに大きく影響する可能性があります。β遮断薬特有の中枢神経系への影響が関与しています。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6886891/
神経精神系副作用の分類。
これらの症状は薬剤中止により通常は可逆的に改善しますが、症状出現時は代替治療への変更を検討する必要があります。
特に高齢者では以下の点に注意が必要です。
神経精神系副作用に関する系統的レビューでは、トピカル使用でも中枢神経系への影響が報告されています
チモプトールの長期使用により、眼類天疱瘡という重篤な眼表面疾患が発現することがあります。この副作用は頻度不明とされていますが、不可逆的な視機能障害を来す可能性があるため注意が必要です。
眼類天疱瘡の臨床症状。
この病態は自己免疫機序が関与していると考えられており、チモプトール以外のβ遮断薬点眼薬でも類似の報告があります。
予防と早期発見のポイント。
無水晶体眼や眼底疾患を有する患者では、長期連用により眼底黄斑部浮腫・混濁のリスクも増大するため、より慎重な経過観察が必要です。
臨床現場での副作用管理において、眼類天疱瘡は特に注意すべき重篤な副作用として位置づけられています