ビタミンEは脂溶性ビタミンの一種で、化学名を「トコフェロール」といい、強力な抗酸化作用を持つことで知られています。この抗酸化作用により、活性酸素による細胞傷害から体を守り、細胞膜に多く含まれる不飽和脂肪酸が酸化して有害な過酸化脂質に変わるのを防ぎます。
参考)ビタミンEの効能と摂取量
美容面では、ビタミンEの血行促進効果と活性酸素の撃退効果により、美白効果や肌のくすみ改善が期待できます。シミやシワなど肌の老化が原因で起こる肌トラブルの改善にもつながり、肌全体のトーンを明るく保つのに役立ちます。また、皮膚バリア機能をサポートし、肌の保湿効果を高めるため、乾燥や肌荒れ対策にも有効です。
参考)ビタミンEと美容
紫外線によって発生した活性酸素はコラーゲン線維を壊してしまい、肌のハリや弾力が失われる原因となりますが、ビタミンEの強い抗酸化力がこうした肌トラブルを防いでくれます。さらに血行をよくする働きもあるため、細胞の再生を助けて肌の新陳代謝を促進します。
参考)エイジングケアに取り入れたい!ビタミンEの働きと注目の成分「…
皮膚科領域におけるビタミンEの詳細な研究報告はこちら
ビタミンEは下垂体や副腎系に作用してホルモン分泌の調節に関与するとされています。脳下垂体にはたらきかけて生殖機能を維持し、月経前のイライラ、生理痛、生理不順などを改善する働きがあります。
参考)ビタミンE マリヤ・クリニック
更年期においては特に重要な役割を果たします。女性は閉経を迎える時期になると、女性ホルモンの分泌が減少してホルモンバランスが大きく変わり、肩こり・めまい・冷え・のぼせ・息切れ・手足のしびれなど更年期症状が現れますが、ビタミンEは女性ホルモンの一つである黄体ホルモンの材料であるため、この時期にビタミンEを多く摂取することは更年期症状対策として有効です。
参考)https://www.aska-pharma.co.jp/mint/column/column10/
最近の研究では、ビタミンEの異性体であるγ-トコフェロールがPMS(月経前症候群)の症状軽減、特にむくみの軽減に有効であることが示唆されています。月経前はホルモンの影響で体内に栄養や水分をため込みやすくなりますが、γ-トコフェロールとγ-トコトリエノールには利尿作用があり、むくみを軽減する効果が期待できます。
参考)PMSのむくみに「γ-トコ」
ビタミンEは1922年に生殖に必要な物質として最初に発見された歴史を持ち、女性の生殖健康に重要な役割を果たしています。多くの研究により、流産、早産、子癇前症、子宮内発育遅延など、妊娠中のビタミンE不足によって引き起こされる可能性がある問題が示されています。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8955126/
妊活においても、ビタミンEは「子宝ビタミン」や「妊娠ビタミン」とも呼ばれ、重要な栄養素として位置づけられています。抗酸化作用により卵子や精子の老化を防ぎ、血流を改善することで子宮内膜を厚くし、ホルモンバランスを整えて排卵をスムーズにする効果があります。生殖機能の維持にも効果的であり、女性は卵子や子宮内膜の質改善に効果があるといわれています。
参考)妊活におけるビタミンE - 不妊治療クリニックスタッフブログ…
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)を有する不妊女性において、短期的なビタミンE補充が排卵誘導時の酸化ストレスに効果があることも報告されています。女性ホルモン(エストロゲン)の働きを助ける効果もあるため、妊活中には必須の栄養素といえます。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7137506/
女性の婦人科健康とビタミンE補充の詳細な論文はこちら
ビタミンEには血管を拡張し、血行を促進する作用があります。これにより新陳代謝が活発になり、肌のくすみ改善や栄養の供給がスムーズになります。血液循環をよくし、手足の冷えやしびれを改善する効果があるため、女性特有の冷え性の悩みにも有効です。
参考)更年期障害の対策|くすりと健康の情報局
血行不良が原因で起こる肩こりや冷えといった体の不調の改善にも役立ちます。更年期頃の女性は冷えを気にされる方が多くなってきますが、ビタミンEを摂取すると冷えの改善につながります。ビタミンEはナッツ類や油に多く含まれており、女性ホルモンとの関わりが深く、不足すると冷え体質になりやすいことから、特に女性に必要なビタミンといえます。
参考)ビタミンEとは?強い抗酸化作用をもつ、老化を防ぐビタミン
血中のLDLコレステロールの酸化を防ぐ働きにより、動脈硬化や心疾患、脳卒中などの生活習慣病を予防する効果も期待されています。血栓の予防や悪玉コレステロールの抑制といった役割もあり、全身の血管の健康維持に貢献します。
参考)ビタミンEは摂ると着床しやすくなる?妊活中・不妊の疑問を解消…
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、ビタミンEの1日の目安量は、女性で18~29歳が5.0mg、30~49歳が5.5mg、50~64歳が6.0mg、65歳以上が6.5mgと策定されています。妊婦の場合は6.5mg、授乳婦は7.0mgが目安となります。
参考)ビタミンEの働きとは?摂取量の目安や含まれる食品、不足による…
耐容上限量は18~29歳で650mg、30~49歳で700mgであり、通常の食事の範囲では過剰症はほとんど起こりませんが、サプリメント等で大量に摂取する場合は注意が必要です。ビタミンEは脂溶性ビタミンであるため、摂取量の3分の2が便として排出されるとはいえ、体内に蓄積される可能性があります。
参考)更年期障害(こうねんきしょうがい)
過剰摂取により、血液が止まりにくくなることが知られており、頭痛、かゆみやほてり、むくみを引き起こす可能性もあります。近年の研究では、ビタミンEの過剰摂取が骨量を減らし、骨粗鬆症のリスクを高める可能性が示唆されています。妊婦の方がビタミンEを摂りすぎると早期の破水や腹痛などのリスクが高まると指摘されているため、適切な量を守ることが重要です。
参考)ビタミンEの働きと1日の摂取量
ビタミンEを多く含む食品には以下のようなものがあります。
医薬品やサプリメントとして使用される場合は1日150~300mg程度が一般的ですが、医療従事者の指導のもとで適切に使用することが推奨されます。

小林製薬の栄養補助食品 [ 公式 ] ビタミンE サプリ【美容と健康の維持を目指す方に】 vitamin E 美容サプリ サプリメント [ 栄養補助食品 / 60粒 / 約60日分 ]