性ホルモンは主に性腺(卵巣・精巣)から分泌されるステロイドホルモンの一種で、コレステロールを原料として合成されます 。性ホルモンは男性ホルモン(アンドロゲン)と女性ホルモンに大別され、女性ホルモンはさらにエストロゲンとゲスターゲン(黄体ホルモン)に分けられます 。
参考)性ホルモン - Wikipedia
興味深いことに、男性の体内でも女性ホルモンが少量分泌され、女性の体内でも男性ホルモンが少量分泌されています 。これは性ホルモンの生合成経路において、男性ホルモンが先につくられ、その後アロマターゼという酵素によって女性ホルモンのエストロゲンが合成されるためです 。
参考)健康や生殖、心にも作用する「性ホルモン」
性ホルモンの分泌は視床下部から分泌される性腺刺激ホルモン放出ホルモン(LH-RH)が脳下垂体での性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)の産生・分泌を促し、これらが性腺での性ホルモン産生を調節するという精緻な制御システムによって管理されています 。
性ホルモンは主に生殖器から分泌されますが、副腎や脳、脂肪組織、妊娠中の胎盤でも合成されています 。
男性のテストステロンの約95%が睾丸(精巣)で作られますが、その一部がエストロゲンに変換されます 。女性では卵巣のほかに脂肪組織などから女性ホルモンが作られ、テストステロンは卵巣、脂肪組織、副腎で作られますが、男性よりも分泌量は大幅に少なくなります 。
全てのステロイドホルモンはコレステロールから合成されます 。炭素数27のコレステロールは、コレステロール側鎖切断酵素(P450 scc)の作用により、側鎖(炭素数6)が切断されてプレグネノロン(炭素数21)となります 。この過程はすべてのステロイドホルモン分泌器官で共通したプロセスです 。
参考)ステロイド - 脳科学辞典
性ホルモンの生合成においては、コレステロールから段階的に様々なホルモンが合成されていきます 。副腎では炭素数21の糖質コルチコイドと鉱質コルチコイドが、精巣では炭素数が2個減少したアンドロゲン(炭素数19)が、卵巣では炭素数が1個減少したエストロゲン(炭素数18)が生成されます 。
参考)精巣ホルモン
男性ホルモン(アンドロゲン)には主に以下の種類があります :
参考)男性ホルモンの種類と役割の基礎知識
DHEAは体内でテストステロンや女性ホルモンに変換されるため、「マザーホルモン」とも呼ばれ、免疫機能の維持やストレス緩和、意欲向上など様々な働きを持つことが分かっています 。テストステロンの10~100分の1程度の弱い男性ホルモン作用を有し、その作用は変換されたテストステロンやエストロゲンによる作用と考えられる一方、DHEA固有の作用もあると考えられています 。
参考)満岡内科・循環器クリニック
女性ホルモンはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)に大別されます 。
参考)男性ホルモンと女性ホルモンはどう違うの?
エストロゲンには以下の3つの主要な種類があります :
参考)ナチュラルホルモン補充療法(BHRT)
エストラジオール(E2)は卵胞が成熟すると分泌されるホルモンで、エストロゲンの中で最も活性が強く尿中エストロゲンの主成分となります 。エストロンは閉経後はこの成分が主要なエストロゲンになりますが、体脂肪率の上昇などでエストロンが増えすぎると乳腺や子宮の組織を刺激し、乳がんや子宮がんのリスクが高くなるといわれています 。
参考)エストロン(E1)エストラジオール(E2)エストリオール(E…
プロゲステロン(黄体ホルモン)は卵巣の黄体で形成され、受精卵が着床しやすくする変化を子宮に起こします 。排卵後、黄体の発達とともに分泌量が増加し、子宮内膜機能層のらせん動脈をより増生させ、子宮内膜を肥厚させ、脱落膜様変化を起こします 。
参考)プロゲステロン
性ホルモンの分泌は加齢とともに大きく変化します。女性の場合、卵巣機能は30歳代の後半から徐々に低下していき、「卵巣の老化」が始まります 。女性ホルモン(エストロゲン、プロゲスチン)の分泌は30歳代から低下していくことが分かっています 。
参考)女性の身体について〜更年期〜<村口きよ女性クリニック>
一方で、卵巣を働かせるために脳下垂体から分泌される性腺刺激ホルモン(FSH・LH)は逆に40歳代に増加していきます 。これは「卵巣の老化」にお構いなく脳下垂体がどんどんホルモンを出して卵巣を働かせようとするためです 。
男性ホルモンのテストステロンは、中年期以降、加齢とともに穏やかに減少していきます 。女性のホルモンが閉経期に急激に変化するのとは対照的に、男性の場合は40代以降いつ始まってもおかしくなく、特定の時期が決まっていません 。さらに、女性は閉経から5年ほどでホルモンの変動が落ち着きますが、男性の場合は終わりがなく、ゆっくりと減り続けるため、不調が長く続いてしまう可能性があります 。
参考)男性ホルモンと加齢の知られざる関係とは