活性酸素の種類と特徴および生体への影響

活性酸素にはスーパーオキシド、過酸化水素、ヒドロキシラジカル、一重項酸素など複数の種類が存在し、それぞれ異なる反応性と生体への影響を持っています。これらの活性酸素種はどのような特徴を持ち、生体内でどのような役割を果たしているのでしょうか?

活性酸素の種類と特徴

活性酸素の主な種類
スーパーオキシド

酸素分子が一電子還元されて生成される最初の活性酸素で、他の活性酸素の前駆体となる

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過酸化水素

比較的安定した活性酸素だが、金属イオンや光により分解してヒドロキシラジカルを生成する

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ヒドロキシラジカル

最も反応性が高く、生体損傷の主な原因となる活性酸素種

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一重項酸素

励起状態の酸素分子で、紫外線照射などにより生成される非ラジカル性の活性酸素

活性酸素は、大気中の酸素分子がより反応性の高い化合物に変化したものの総称です。一般的にスーパーオキシドアニオンラジカル、過酸化水素、ヒドロキシラジカル、一重項酸素の4種類が狭義の活性酸素として知られています。これらの活性酸素種は、フリーラジカル(不対電子を持つもの)とフリーラジカルでないものに分類されます。
参考)活性酸素を消去する抗酸化成分

活性酸素種の中には、広義にはペルオキシラジカル、アルコキシラジカル、ヒドロペルオキシド(過酸化脂質)、一酸化窒素、二酸化窒素なども含まれます。これらは生体内のさまざまな酸化還元反応において重要な役割を果たしています。
参考)活性酸素 - Wikipedia

活性酸素スーパーオキシドの生成と性質

 

スーパーオキシドアニオンラジカル(O₂- ⁻)は、酸素分子が一電子還元されることによって生成される最初の還元体であり、他の活性酸素の前駆体として重要な役割を持ちます。スーパーオキシドは不対電子を持つフリーラジカルであり、生体内で様々な反応に関与します。
参考)生体内のレドックス(酸化還元)反応と活性酸素種

生体内の主なスーパーオキシド産生源は、ミトコンドリアの電子伝達系です。ミトコンドリアは生体内の約95%の酸素を消費し、そのうち1〜3%が活性酸素種に変換されると推測されています。電子伝達系の複合体Iからマトリックス側に、複合体IIIからマトリックスと膜間腔側にスーパーオキシドが産生されることが報告されています。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/37/6/37_6_411/_pdf

スーパーオキシドは生体温度では比較的反応性が低く、その主要な反応は自己不均化反応であり、自身と反応して過酸化水素と酸素を生成します。また、スーパーオキシドは生体にとって重要な役割を持つ一酸化窒素と反応してその作用を消滅させることも知られています。
参考)診療案内|Yamazaki Dental Clinic

活性酸素過酸化水素の特徴と反応性

過酸化水素(H₂O₂)は、フリーラジカルではない活性酸素種であり、比較的安定した化合物です。過酸化水素の反応性はそれほど高くなく、生体温度では安定していますが、金属イオンや光により容易に分解してヒドロキシラジカルを生成する性質があります。
参考)活性酸素および抗酸化能測定

過酸化水素は細胞膜を透過しやすく、細胞間でのシグナル伝達物質としても機能します。生体内では、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)酵素によってスーパーオキシドから過酸化水素が生成され、その後カタラーゼやグルタチオンペルオキシダーゼ(GSH-Px)によって水と酸素に分解されます。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10333675/

ミトコンドリア内で生成された過酸化水素や脂質過酸化物は、GSH-Pxにより消去されます。このような防御機構により、過酸化水素の蓄積が抑制され、より反応性の高いヒドロキシラジカルの生成が防がれています。​

活性酸素ヒドロキシラジカルの高い反応性

ヒドロキシラジカル(- OH)は、活性酸素種の中で最も反応性が高いフリーラジカルです。ヒドロキシラジカルは地球上で最も酸化反応が高く、基本的にあらゆる生体分子と反応します。活性酸素による多くの生体損傷は、このヒドロキシラジカルによるものとされています。
参考)https://www.nagasaki-nouge.jp/wp-content/uploads/2019/07/488bbb9e25ff15956ba50e442a16945a.pdf

ヒドロキシラジカルは、タンパク質、脂質、糖質、核酸などの生体成分を酸化する能力を持ちます。細胞内のDNAを損傷させ、平常の生活でもDNA損傷の数は細胞あたり一日数万から数十万個に達しますが、このDNA損傷は通常すぐに修復されます。しかし、修復が追いつかない場合には、遺伝子変異や細胞死につながる可能性があります。
参考)活性酸素とそのがん治療における利用と安全性

過酸化水素が金属イオン(特に鉄イオン)の存在下でフェントン反応により分解されると、ヒドロキシラジカルが生成されます。このため、ヒドロキシラジカルの前駆体である過酸化水素の適切な制御が、生体防御において重要となります。​

活性酸素一重項酸素の独特な性質

一重項酸素(¹O₂)は、フリーラジカルではない活性酸素種であり、励起状態の酸素分子です。一重項酸素は、三重項酸素(通常の酸素分子)と同じ二つの酸素原子から成る二原子分子ですが、そのエネルギー状態が劇的に異なります。三重項酸素はエネルギーの低いいわゆる基底状態にある一方、一重項酸素はエネルギーの高い励起状態にあります。
参考)活性酸素種はどれでしょう? 〜三重項酸素と一重項酸素、そのほ…

一重項酸素は主に紫外線照射や光増感反応によって生成されます。皮膚に紫外線が当たると、一重項酸素が発生し、メラニン色素の分泌を促進することで、シミやそばかすの原因となります。また、光線力学療法(PDT)などのがん治療においても、一重項酸素の生成を利用した治療法が研究されています。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8105601/

一重項酸素は不飽和脂肪酸と反応しやすく、細胞膜の脂質過酸化を引き起こす可能性があります。このため、一重項酸素も生体にとって有害な活性酸素種の一つとして認識されています。
参考)活性酸素の種類と活性酸素消去のための抗酸化物質について|株式…

活性酸素のフリーラジカルと非ラジカル種の区別

活性酸素種は、フリーラジカル(不対電子を持つ化学種)と非ラジカル種に分類されます。フリーラジカルには、スーパーオキシドアニオンラジカル、ヒドロキシラジカル、ペルオキシラジカル、アルコキシラジカルなどが含まれます。これらは不対電子を持つため、非常に反応性が高く、他の分子から電子を奪う性質があります。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5125524/

一方、非ラジカル性の活性酸素種には、過酸化水素、一重項酸素、次亜塩素酸、ペルオキシ亜硝酸などがあります。これらは不対電子を持たないため、フリーラジカルに比べると反応性は低いですが、それでも生体分子と反応して酸化的損傷を引き起こす能力があります。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11117742/

活性酸素種の反応性の違いは、生体内での役割と影響の違いにつながります。フリーラジカルは即座に反応するため局所的な損傷を引き起こしやすい一方、非ラジカル種は比較的安定しているため細胞内を移動し、より広範囲に影響を及ぼす可能性があります。​

活性酸素の生体内発生源とNADPHオキシダーゼ

生体内における活性酸素の産生源は多岐にわたります。主要な産生源としては、ミトコンドリアの電子伝達系、NADPHオキシダーゼなどのオキシダーゼ系酵素、鉄含有タンパク質などがあります。これらの中でも、NADPHオキシダーゼは生体内の主要なスーパーオキシド産生源として知られています。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/147/1/147_12/_pdf

NADPHオキシダーゼは、細胞質のNADPHから受け取った電子により酸素分子を還元してスーパーオキシドを生成する酵素です。この反応でNADPHが酸化されることから、NADPHオキシダーゼと呼ばれています。好中球マクロファージなどの貪食細胞において、NADPHオキシダーゼによりスーパーオキシドが産生され、侵入してきた細菌やウイルスを攻撃する生体防御機構に必要不可欠な役割を担っています。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/142/6/142_285/_pdf

NADPHオキシダーゼファミリーには複数のアイソフォーム(NOX1〜NOX5)が存在し、それぞれ異なる組織や細胞で発現しています。これらの酵素は細胞のシグナル伝達にも関与しており、適切な量の活性酸素は生理的に重要な役割を果たしています。しかし、過剰な活性酸素産生は酸化ストレスを引き起こし、様々な疾患の原因となります。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11885647/

活性酸素と生活習慣病および疾患との関係

活性酸素は、がん、心血管疾患、糖尿病、神経変性疾患などの多くの生活習慣病の発症や進展に関与しています。全疾患の90パーセント以上は活性酸素が関与しているとも言われています。活性酸素の過剰な蓄積による酸化ストレスは、細胞やDNAにダメージを与え、様々な疾患のリスクを高めます。
参考)「抗酸化療法」とは?活性酸素の知識と効果的な老化予防 - …

特に動脈硬化においては、活性酸素が重要な役割を果たします。LDL(低比重リポタンパク)が活性酸素によって酸化されると酸化LDLとなり、血管壁を傷つけて動脈硬化を引き起こします。酸化LDLが血管壁の内膜から中膜に入り込むと、マクロファージがこれを異物と見なして捕食し、その残骸がプラークとなって蓄積します。この結果、血管が狭まり心筋梗塞や脳梗塞などの致命的な疾患のリスクが高まります。
参考)活性酸素とエイジングケア

糖尿病においても、活性酸素は重要な病態生理学的役割を果たします。高血糖状態では活性酸素の産生が増加し、さらに糖化最終産物(AGEs)の形成が促進されることで、糖尿病性腎症神経障害などの合併症の発症につながります。また、がん治療においては、放射線療法や一部の化学療法薬が活性酸素の生成を促進することで、がん細胞を攻撃する作用を持つことが知られています。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10669448/

活性酸素消去における抗酸化酵素SODの役割

生体には活性酸素から身を守る防御機構として、活性酸素消去酵素(スカベンジャー)が存在します。その中でも、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)は最も重要な酵素の一つです。SODはスーパーオキシドを消去する酵素であり、1969年にその発見により活性酸素の生物学的重要性が明らかになりました。
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SODはスーパーオキシドアニオンを過酸化水素と酸素に不均化(ディスミューテーション)する反応を触媒します。この反応により、スーパーオキシドから害の少ない過酸化水素が生成され、さらにカタラーゼやグルタチオンペルオキシダーゼが協同的に働くことで、過酸化水素を水と酸素に分解します。このようにSODとカタラーゼが協同的に働くことにより、生体は活性酸素から防御されています。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/manms/9/3/9_164/_pdf

SODのスーパーオキシドとの反応速度定数を比較すると、SODはビタミンCの8,000〜56,000倍の活性酸素消去能力があります。つまり、生体内で主に活性酸素を消去しているのは酵素としてのSODであり、抗酸化においては自分のSODを増やすことが最も効果的です。ミトコンドリア内には、活性中心にマンガンを持つMn-SODが存在し、生じたスーパーオキシドを過酸化水素に変換しています。
参考)https://www.combi.co.jp/f-foods/products/glisodin/glisodin_11.html

SODを細胞内で作るためには、タンパク質、鉄、銅、亜鉛、マンガンなどのミネラルが必要です。特に毎日の食生活で不足しがちな亜鉛を補い、タンパク質と亜鉛を同時に摂取することで、SODが増加し活性化できます。ただし、活性酸素除去酵素の生成は20歳頃がピークで、40代になるとピークの半分にまで減少してしまうため、年齢とともに抗酸化能力が低下します。​

 

 


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