コラーゲンの効果が嘘だと言われる最大の理由は、従来の栄養学的な常識に基づいています 。摂取したコラーゲンは他のタンパク質と同じように消化管でアミノ酸まで分解され、体内で必要な部位に材料として利用されるという理解から、「コラーゲンを食べてもコラーゲンのまま体内に吸収されない」という考えが広まりました。
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この理論に基づけば、どのタンパク質を摂取しても同じ効果であり、コラーゲンのみを特別視する必要はないという結論に至ります 。さらに、多くの消費者が「コラーゲンを摂取した翌日に肌がプルプルになる」といった即効性を期待することで、効果を実感できずに「嘘だった」と感じるケースも多いのです 。
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また、科学的な根拠が不十分な商品や過度な宣伝文句が市場に溢れていることも、消費者の懐疑的な視点を生み出している要因の一つです 。
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近年の研究により、従来の「完全分解説」に疑問符が投げかけられています 。横浜市立大学とファンケルの共同研究では、摂取したコラーゲンの一部がアミノ酸まで完全に分解されるのではなく、「コラーゲンペプチド」という形で血中に吸収され、皮膚にまで到達することが確認されました。
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特に注目すべきは、グリシン-プロリン-ヒドロキシプロリン(Gly-Pro-Hyp)というコラーゲン特有のトリペプチドが、血液中から皮膚まで高濃度で運ばれることが明らかになった点です 。このトリペプチドは、皮膚の線維芽細胞に直接作用し、新たなコラーゲンの合成を促進する「シグナル分子」として機能する可能性が示唆されています。
参考)コラーゲンペプチドが皮膚に届くことを確認
京都大学の佐藤健司名誉教授らの研究により、コラーゲンペプチドが体内で新しいコラーゲンを作り出す力を高める存在となり得ることが証明され、コラーゲン摂取に対する考え方を大きく転換させる発見となりました 。
複数の臨床試験により、コラーゲンペプチドの有効性が科学的に検証されています 。ランダム化プラセボ対照二重盲検試験(RCT)では、1日5g以上のコラーゲンペプチドを8週間以上継続摂取することで、肌の水分量と弾力性の改善が確認されました。
参考)https://www.liebertpub.com/doi/pdf/10.1089/jmf.2019.0197
東洋新薬の研究では、コラーゲンペプチド2g/日を12週間摂取した群において、膝や腰の不快感軽減作用も報告されています 。また、ファンケルの研究データでは、コラーゲンペプチド1000mgの継続摂取により、6週間で肌のうるおい、12週間で肌の弾力に有意な変化が観察されました 。
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しかし、すべての研究結果が一致しているわけではありません 。一部のメタアナリシスでは、コラーゲン業界から独立した大規模な事前登録試験の必要性も指摘されており、「強いエビデンスはない」という慎重な見解も示されています。
参考)コラーゲンのエビデンス(今村文昭)
コラーゲンの効果を実感するためには、適切な摂取方法が重要です 。まず、分子量の小さい「コラーゲンペプチド」を選ぶことが基本となります。一般的なコラーゲンと比較して、低分子化されたコラーゲンペプチドは吸収効率が格段に向上しています。
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摂取量については、多くの臨床研究で1日5g以上のコラーゲンペプチド摂取で効果が確認されており、この基準を満たすことが推奨されます 。また、ビタミンCとの同時摂取は、体内でのコラーゲン合成を促進する酵素の働きを安定化させるため、効果的な組み合わせとされています。
即効性を期待せず、最低8週間以上の継続摂取が必要であり 、糖化と紫外線を防ぐ生活習慣の見直しも同時に行うことで、より高い効果が期待できます 。
参考)https://www.albase.skin/blogs/devblog/golden-rule-collagen
現在の医学界では、コラーゲン摂取の効果について慎重な評価が続いています 。2017年の医学書院の記事では「厳密に言えば、コラーゲン摂取の効果には『強いエビデンスはない』と考えるのが良い」としながらも、「複数の臨床試験が実施され良好な効果が報告されている」と両面的な見解を示しています。
参考)https://allabout.co.jp/gm/gc/492550/
皮膚科専門医の中には、コラーゲンサプリメントを推奨しない立場の医師も存在します 。その理由として、効果の個人差の大きさ、プラセボ効果の可能性、そして他の栄養素や生活習慣の影響を考慮すべき点を挙げています。
一方で、2024年の最新研究では、リポ化した加水分解コラーゲンが真皮層まで到達し、線維芽細胞の活性化を促すことが確認されており 、今後のさらなる研究結果に注目が集まっています。摂取時は過剰摂取を避け、バランスの取れた食事と併用することが重要です。