アスペノンカプセルの効果と副作用
アスペノンカプセルの効果と副作用
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アスペノンカプセルの効果・適応症
アスペノンカプセル(一般名:アプリンジン塩酸塩)は頻脈性不整脈に対する抗不整脈薬で、他の抗不整脈薬が使用できない場合や無効な場合に適応されます[1][2][3]。
- 心室性期外収縮、頻拍、上室性期外収縮、発作性心房細動・粗動など幅広い不整脈に対して有効性が示されています[1][4][3]。
- 臨床試験では有効率が約60~75%と報告されており、特に心室性頻拍や発作性頻拍で高い有効率が確認されています[1][4]。
作用機序は、心筋細胞のNaイオンチャネルを抑制することで活動電位の立ち上がり速度を低下させ、心筋の異常興奮伝導を抑制します[3]。
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アスペノンカプセルの主な副作用と重大な副作用
主な副作用は以下の通りです[5][6][1][7][3]。
- 手指の振戦(ふるえ)、めまい・ふらつき、吐き気、嘔吐、食欲不振、口渇、発疹、発熱
- 眠気、足のもつれ、しびれ感、不眠、抑うつ症状、頭がボーとする、沈みこむ感じ
- 視力異常、複視、緑視
- 消化不良、下痢、便秘、腹痛
- 発疹、そう痒感、排尿障害、発汗、倦怠感、頭痛
重大な副作用としては、
- 催不整脈(心室頻拍、Torsades de pointes等)
- 無顆粒球症(初期症状:発熱、咽頭痛、全身倦怠感)
- 間質性肺炎(初期症状:咳嗽、息切れ、呼吸困難、発熱)
- 肝機能障害・黄疸(AST、ALT、γ-GTPの上昇等)
これらの副作用は頻度不明ですが、観察を十分に行い異常が認められた場合は投与中止が必要です[1][3]。
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アスペノンカプセルの用法・用量と投与時の注意点
用法・用量は通常、成人に1日40mgから開始し、効果不十分な場合は60mgまで増量します。1日2~3回に分けて経口投与し、年齢や症状に応じて適宜増減されます[2][4][3]。
投与時の注意点として、以下の患者には禁忌です[2][3]。
- 重篤な刺激伝導障害(完全房室ブロック等)
- 重篤なうっ血性心不全
- 妊婦または妊娠の可能性がある女性
また、薬物動態は非線形であり、投与量と血中濃度が比例しないため、用量調整時は慎重な観察が必要です[3]。
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アスペノンカプセルの薬剤相互作用と併用注意
併用注意薬として、ジソピラミド、キニジン、メキシレチン、ジルチアゼム、アミオダロン、ベラパミル、局所麻酔剤(メピバカイン)などが挙げられます[1]。
- これらの薬剤と併用すると、刺激伝導障害や中枢神経系・心臓への副作用が増強される可能性があります。
- ベラパミルやジルチアゼムはアプリンジンの血中濃度を上昇させるため、減量や慎重な投与が必要です。
併用薬の有無や患者の既往歴を十分に確認し、必要に応じて投与量調整やモニタリングを行います。
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アスペノンカプセルの臨床試験データと用量依存性副作用(独自視点)
臨床試験では、1日50~75mgの投与で有効性と副作用発現率のバランスが最適とされます[4]。
- 1日30mgでは効果が低く、70mg以上では副作用発現率が増加(50mg群9.8%、75mg群21.2%、100mg群53.3%)
- 主な副作用は中枢神経系の振戦、ふらつき、食欲不振、嘔気・嘔吐で、用量依存性が明確に認められています[4]。
長期投与例や高齢者では副作用リスクが高まるため、定期的なモニタリングと用量調整が重要です。
また、アスペノンはNaチャネルだけでなくKチャネルにも抑制的作用があり、心筋の活動電位全体に影響を与えることが示唆されています[4]。
【参考リンク】
・添付文書の詳細な副作用・禁忌情報:アスペノンカプセル添付文書(バイエル薬品)
→副作用、薬物動態、臨床試験成績などを網羅的に確認できます。