ラマトロバンは、プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2受容体拮抗剤として分類される抗アレルギー性鼻炎治療薬です。本薬の作用機序は、鼻粘膜血管や血小板のTXA2受容体および炎症細胞上のPGD2受容体に結合することにより、抗アレルギー性鼻炎作用を示すことにあります。
具体的には、以下のメカニズムで効果を発揮します。
臨床的には、アレルギー性鼻炎の鼻閉症状などの改善に有用性が認められており、テルフェナジンとの二重盲検比較試験では、ラマトロバン群で67.4%の中等度改善以上の改善率を示し、テルフェナジン群の43.0%と比較して有意に高値でした。
本薬は1日2回12時間間隔の投与に適した薬物動態となるよう製剤設計された徐放性製剤であり、50mg製剤と75mg製剤の2規格が用意されています。
ラマトロバンの最も注意すべき重大な副作用は肝機能障害です。具体的には以下の症状に注意が必要です。
重大な副作用(頻度)
これらの副作用は、著しいAST上昇、著しいALT上昇、著しいAl-P上昇、著しいγ-GTP上昇、著しいLDH上昇等を伴う肝機能障害として現れることがあります。
初期症状として注意すべき兆候
医療従事者は患者に対し、これらの症状が現れた場合には直ちに服用を中止し、医師の診療を受けるよう指導する必要があります。特に肝機能検査値の定期的なモニタリングが重要となります。
ラマトロバンの一般的な副作用は、発現頻度により分類されています。
0.1~5%未満の副作用
過敏症
肝臓
出血傾向
循環器
消化器
精神神経系
0.1%未満の副作用
出血傾向
その他
臨床試験では95例中5例(5.3%)に副作用が認められ、主な副作用は眠気3件、動悸、胃のもたれ感、めまい感(ふらつき)及び軟便が各1件でした。
ラマトロバンは血小板凝集能を抑制するため、出血傾向に関連する副作用と薬物相互作用に特に注意が必要です。
出血傾向の副作用
これらの症状が現れた場合は、すぐに処方医に連絡する必要があります。
注意すべき併用薬
抗血小板剤・抗凝血剤
これらの薬剤との併用により出血傾向の増強をきたすおそれがあるため、観察を十分に行い、用量調節などの注意が必要です。
サリチル酸系製剤
テオフィリン
ラマトロバンの薬物動態特性は、適切な投与管理において重要な情報となります。
薬物動態の特徴
代謝と排泄
高齢者での注意点
高齢者では健康成人と比較してクリアランスが79%に低下するため、投与量の調整や副作用の観察により注意深い管理が必要です。
徐放性製剤としての特性
本剤は徐放性製剤であるため、割ったり、砕いたり、すりつぶしたりして服用すると、徐放性が失われ、薬物動態が変わるおそれがあります。患者への服薬指導において、錠剤をそのまま服用するよう指導することが重要です。
妊娠・授乳期での考慮
ラットでの検討では、14C標識ラマトロバン投与により胎児組織中に放射能の移行が認められましたが、母体血中濃度と同程度かそれ以下であり、投与後24時間には最高値の約1/50に低下しました。
医療従事者向けの詳細な薬物動態情報については、各製薬会社の医薬品インタビューフォームを参照することで、より詳細な情報を得ることができます。
患者向け医薬品情報提供サイト「くすりのしおり」
患者への服薬指導時に活用できる、わかりやすい薬剤情報が掲載されています。