適応が認められていない製剤を使うと保険請求が差し戻されます。

免疫グロブリン大量療法(IVIG大量療法)は、献血由来の免疫グロブリンを大量投与する治療法です。医療保険上の適応が認められている主な疾患には、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、川崎病、重症感染症、低ガンマグロブリン血症があります。
神経疾患としては、ギラン・バレー症候群(GBS)、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、多巣性運動ニューロパチー(MMN)が適応として認められています。これらの疾患に対しては、特定の製剤のみが適応を持っているケースがあるため注意が必要です。
関連)https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc2197&dataType=1&pageNo=1
その他にも、皮膚筋炎、重症筋無力症、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(チャーグ・ストラウス症候群)、尋常性天疱瘡、抗NMDA受容体脳炎などが適応疾患として報告されています。つまり適応疾患は多岐にわたるということですね。
ただし、多発性硬化症の再発予防目的での使用は推奨されていません。臨床試験において、一部の副次評価項目でIVIg投与群がプラセボ群より悪化したというデータが示されたためです。
関連)https://www.neurology-jp.org/guidelinem/msgl/koukasyo_tuiho_2010_02.pdf
適応疾患の範囲は研究の進展とともに拡大してきており、現在では11疾患を超える傷病に対して使用実態が確認されています。
関連)https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2019/193041/201925007A_upload/201925007A0004.pdf
製剤によって認められている適応症が異なる点は、臨床現場で最も注意すべき事項です。平成27年から28年にかけて、献血ベニロン-I静注用の供給が不安定になった際、厚生労働省は特別な措置を講じました。
関連)https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc1103&dataType=1&pageNo=1
ギラン・バレー症候群とチャーグ・ストラウス症候群に対しては、献血ベニロンのみが適応を持つ唯一の製剤でした。供給が安定するまでの経過措置期間(平成28年12月末まで)は、適応が認められていない他の免疫グロブリン製剤を使用した場合でも、審査上の特段の配慮が行われていました。
関連)https://jsn.or.jp/news/2016.0901_1.pdf
平成29年1月以降は、この経過措置が終了しています。そのため、ギラン・バレー症候群とチャーグ・ストラウス症候群に対しては、適応が認められた製剤の使用が必須となりました。適応が認められていない製剤を使用すると、保険請求が認められないリスクが生じます。
関連)https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc2197&dataType=1&pageNo=1
製剤選択時には、各製剤の電子添文で効能又は効果を必ず確認することが基本です。
関連)https://www.jbpo.or.jp/med/jb_square/ivig/pdf/vng_468.pdf
ITPにおける投与の適応は、血小板減少が著しく頭蓋内出血などの危険性が高い場合です。また、摘脾などの手術を行う前提で、一時的に血小板数の増加を期待したい場合にも適応となります。これが原則です。
関連)http://kajigayakodomo.jp/ivig.htm
川崎病に対しては、免疫グロブリン超大量療法が推奨されるようになってきています。文献的適応疾患の拡大とdose escalation(用量増加)が進んできている現状があります。
関連)http://kajigayakodomo.jp/ivig.htm
投与速度については、脳・心臓血管障害またはその既往歴のある患者では特に注意が必要です。適宜減量し、できるだけゆっくりと投与することが望ましいとされています。大量投与による血液粘度の上昇等により血栓塞栓症を起こすおそれがあるためです。
投与中は、呼吸困難やチアノーゼなどの異常が認められた場合、直ちに投与を中止し適切な処置を行う必要があります。
関連)https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/400256_6343420X2029_2_03
投与量の設定には個々の症例ごとに慎重な対応が求められます。
関連)http://kajigayakodomo.jp/ivig.htm
IVIG大量療法では、種々の重篤な副作用が報告されています。溶血性貧血、無菌性髄膜炎、肝障害などが主な副作用です。
関連)http://kajigayakodomo.jp/ivig.htm
血栓塞栓症(脳梗塞、心筋梗塞等)は、大量投与により発生するリスクが高まります。脳・心臓血管障害の既往歴がある患者では、このリスクがさらに上昇するため、投与の可否を慎重に判断する必要があります。
無菌性髄膜炎は、大量投与により引き起こされる副作用の一つです。項部硬直、発熱、頭痛、悪心などの症状が現れた場合は、速やかに対応することが求められます。
関連)https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/400256_6343420X2029_2_03
川崎病の治療では、ショック、アナフィラキシー、肝臓の障害、黄疸、血小板減少などの副作用も報告されています。厳しいところですね。
関連)https://www.jbpo.or.jp/kd/immunoglobulin03.html
過敏症として、発熱や発疹等が認められることもあります。注射部位の疼痛も頻度不明ながら報告されている副作用です。
関連)https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00070656
副作用のモニタリングには、投与前後の綿密な観察が不可欠となります。
指定難病である天疱瘡または類天疱瘡で「中等症」「重症」と診断された場合、難病医療費助成を受けることができます(2024年8月現在)。軽症であっても、月ごとの医療費総額が33,330円を超える月が年間3回以上ある場合は、軽症高額該当として対象になります。
関連)https://www.jbpo.or.jp/vg/system.html
医療費助成は、重症度分類を満たしていることを診断した日に遡って開始されます。ただし、遡ることができる期間は通常は申請日から1か月のため、できるかぎり早く申請を行うことが重要です。つまり申請が遅れると損するということですね。
関連)https://www.jbpo.or.jp/vg/system.html
免疫グロブリン製剤は高額な薬剤であるため、患者の経済的負担を軽減する制度の活用が欠かせません。診断後は速やかに患者やご家族に制度の情報を提供し、申請をサポートすることが医療従事者の役割となります。
申請手続きには診断書や臨床調査個人票などの書類が必要になるため、早期に準備を進めることが望ましいでしょう。
免疫グロブリン療法を受ける患者さんとご家族へ - 医療費助成制度の詳細
免疫グロブリン製剤には複数の作用機序が存在します。抗イディオタイプ抗体によって自己抗体が中和されるメカニズムが知られています。
IL-1αやIL-6といった炎症性サイトカインに対する中和抗体が含まれている点も重要です。これらのサイトカインを中和することで、炎症反応を抑制する効果が期待されます。
重症筋無力症においては、補体が自己抗体に結合するのを抑え、アセチルコリン受容体のある膜が破壊されるのを阻止する働きがあります。また、自己抗体の働きを抑えたり、自己抗体を作らせないようにする作用も確認されています。
関連)https://www.jbpo.or.jp/mgs/immunity/
30年以上前から重症感染症に使用され、その後、川崎病、血小板が減少する病気、生まれつき免疫グロブリンが少ない患者などに用いられてきました。いいことですね。
関連)https://www.jbpo.or.jp/mgs/immunity/
ITPや川崎病を中心に、IVIG大量療法の普遍的有効性が認められ、投与症例が急速に増加してきた経緯があります。現在では多くの自己免疫疾患の治療に効果があることが確立されています。
作用機序の理解は、適切な疾患選択と効果予測に役立ちます。
ビオスリーHi錠 270錠【指定医薬部外品】 整腸剤 酪酸菌 乳酸菌 糖化菌 おなかの不調 便秘 軟便 腸内フローラ改善 腸活