ダリドレキサント(クービビック錠)は、2024年12月に最新版の添付文書が改訂された、比較的新しいオレキシン受容体拮抗薬です。本剤の添付文書には、医療従事者が安全で効果的な処方を行うために必要な情報が網羅的に記載されています。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpe/28/Supplement/28_28.s164/_article/-char/ja/
特に注目すべき点として、本剤は習慣性医薬品かつ処方箋医薬品に指定されており、慎重な処方判断が求められます。添付文書には薬効分類番号1190、ATCコードN05CJ03が付与され、オレキシン受容体拮抗薬・不眠症治療薬として位置づけられています。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjmi/93/4/93_464/_article/-char/ja/
添付文書に記載されている基本的な処方情報は以下の通りです。
添付文書では、本剤の投与に関して「就寝直前に投与すること」が強調されています。これは薬物動態学的特性と関連しており、Tmaxが約1時間であることから、服用タイミングが治療効果に直接影響するためです。
🔍 意外な情報:添付文書の薬価情報によると、25mg錠は57.3円/錠、50mg錠は90.8円/錠となっており、用量に比例した薬価設定となっています。これは医療経済学的観点から処方選択を検討する際の重要な情報です。
添付文書に詳細に記載されている薬物動態学的データは、臨床現場での適正使用において極めて重要です。
血中濃度推移
食事の影響
添付文書では、摂食時と絶食時の薬物動態の比較データが示されており、摂食時のCmaxは絶食時の0.84倍(幾何平均比)となることが記載されています。このため、食事との関係を考慮した服薬指導が重要となります。
代謝経路
本剤は主にCYP3Aで代謝されるため、添付文書では相互作用の項目で詳細な注意喚起がなされています。特に中程度のCYP3A阻害剤(ジルチアゼム、ベラパミル、エリスロマイシン等)との併用時には血漿中濃度上昇のリスクがあります。
添付文書の相互作用の項目は、安全性確保のため特に重要な情報が含まれています。
主要な相互作用カテゴリー
注目すべき薬物相互作用データ
添付文書には、具体的な相互作用試験結果が記載されています。
🎯 臨床的観点:添付文書のデータから、特に高齢者や多剤併用患者では、薬物相互作用のリスクアセスメントが不可欠であることが読み取れます。
添付文書に記載された副作用情報は、頻度別に詳細に分類されています。
高頻度副作用(3%以上)
中頻度副作用(1-3%未満)
低頻度副作用(1%未満)
特に注意すべき副作用
添付文書では「睡眠時随伴症(夢遊症、ねごと等)」が頻度不明の副作用として記載されており、これはオレキシン受容体拮抗薬特有の副作用として認識されています。
💡 臨床的な洞察:添付文書の副作用プロファイルから、本剤は比較的安全性が高い一方で、睡眠関連の異常行動について継続的なモニタリングが重要であることがわかります。
添付文書の情報を基に、医療現場で実際に注意すべき点を整理します。
処方前の確認事項
服薬指導のポイント
フォローアップの重要性
添付文書には明記されていませんが、本剤の特性上、以下のモニタリングが推奨されます。
保険給付上の注意
添付文書では「保険給付上の注意」の項目が設けられており、適正使用の観点から処方期間や投与量に関する制限がある可能性があります。
🔧 実践的アドバイス:添付文書の承認条件として市販後調査の実施が義務付けられているため、副作用報告や効果に関する情報収集に積極的に協力することが、より安全で効果的な使用法の確立に寄与します。