腸内フローラ検査キットとカルビーの取り組み

腸内フローラ検査キットの中でも注目を集めるカルビーのBody Granolaサービス。医療従事者が知っておくべき検査の特徴や臨床応用の可能性について解説します。腸内環境の可視化は今後の予防医学にどう活かせるのでしょうか?

腸内フローラ検査キットとカルビーのサービス

この記事のポイント
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カルビーの検査システム

全57タイプに分類される腸内フローラ検査で個別化医療の基盤となる情報を提供

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短鎖脂肪酸産生の評価

主要6菌の保有割合を解析し、プレバイオティクス選択の根拠を提示

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医療機関での活用展開

疾病予防や栄養指導における腸内細菌叢データの臨床応用

腸内フローラ検査キットの市場における位置づけ

 

腸内フローラ検査は、個人の腸内細菌の種類や割合を分析し、健康状態を評価する検査方法として近年急速に普及しています。カルビー株式会社が2023年4月に開始した「Body Granola」は、腸内フローラ検査とパーソナライズされたグラノーラのサブスクリプションを組み合わせた独自のサービスです。2025年1月時点で2万人以上が検査を受けており、食品メーカーが提供する予防医学サービスとして注目されています。
参考)ニュースリリース 『Body Granola』 | カルビー…

この検査キットは、株式会社メタジェンと株式会社サイキンソーとの共同研究により開発され、国内トップクラスの検査精度を実現しています。採便して郵送するだけで、約1か月後に詳細な腸内環境の分析結果が得られるシステムは、医療機関を受診することなく自宅で完結できる利便性が特徴です。検査価格は9,800円(税抜)で、他の腸内フローラ検査キット(マイキンソー1.9万円~3万円、フローラチェック1万円~1.5万円)と比較しても競争力のある価格設定となっています。
参考)腸内検査キットおすすめは?自宅でできる人気商品を徹底比較

カルビーの腸内フローラ検査の技術的特徴

Body Granolaの腸内フローラ検査では、腸内細菌の種類と割合から全57タイプに分類された腸内フローラのタイプを判定します。この分類システムは、1万人以上の日本人の腸内フローラデータを分析した結果に基づいており、日本人特有の腸内環境の特徴を反映しています。検査では特に、短鎖脂肪酸を産生する主要6菌(バクテロイデス、フィーカリバクテリウム、ブラウティアなど)の保有割合を重点的に評価します。
参考)【口コミ】カルビー腸内フローラ検査「ボディグラノーラ」で腸内…

短鎖脂肪酸は、腸内細菌が食物繊維を分解する際に産生する代謝物で、酢酸、酪酸プロピオン酸などが含まれます。これらは腸粘膜の健康維持、有害菌の増殖抑制、免疫機能の調整、脂肪蓄積の抑制など、全身の健康に寄与する重要な物質です。カルビーの検査システムは、この短鎖脂肪酸産生能力を基準に、個人に適したプレバイオティクス(腸内細菌のエサとなる成分)を提案する点が科学的根拠に基づいた特徴といえます。
参考)理想的な腸内フローラとは?”多様性”と”短鎖脂肪酸”から読み…

検査結果では、腸内細菌の多様性、口腔常在菌、エクオール産生菌、いわゆる「やせ菌」についても評価が可能です。腸内細菌の多様性は、腸内環境の安定性を示す重要な指標であり、多様性が高いほど健康状態が良好であるとされています。
参考)なぜ腸内フローラ検査を行う必要があるのか?

腸内フローラ検査の医療機関における活用事例

腸内フローラ検査は、医療機関においても疾病予防や栄養指導のツールとして導入が進んでいます。株式会社サイキンソーが提供する医療機関向け検査サービス「マイキンソー プロ」は、2022年11月時点で全国1,000件以上の医療機関で採用されており、病院やクリニックでの臨床応用に加え、健診センターでの疾病予防や行動変容を促す目的で活用されています。
参考)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000043.000015042.html

医療機関向けの高度な検査サービスとして、「SYMGRAM」は30以上の疾病リスクをスクリーニングできる腸内細菌叢検査を提供しています。このサービスでは、消化器系、循環器系、代謝系、アレルギー系、精神系などの疾病を網羅的に分析し、罹患中の疾病と腸内細菌叢との関連性や罹患リスクのある疾病の把握が可能です。従来の投薬治療で効果が得られない難治例に対して、腸内細菌叢の改善という新たな治療アプローチを示すことができる点が、臨床現場での価値として評価されています。
参考)腸内細菌叢の検査で30以上の疾病リスク分析|SYMGRAM(…

マイキンソー プロ公式サイト
医療機関向け腸内フローラ検査の詳細情報と導入施設の情報を確認できます。

 

腸内フローラのディスバイオシス(腸内環境の乱れ)は、炎症性腸疾患、肥満、メタボリックシンドローム、さらには大腸がんなどとの関連性が研究で示されています。特に大腸がんにおいては、腸内でがん関連菌が増加したり多様性が失われたりすることで、慢性的な炎症や免疫異常が引き起こされることが分かっています。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10654633/

腸内フローラ検査キットのプレバイオティクス活用

Body Granolaでは、検査結果に基づいて6種類のプレバイオティクストッピングから3つを選択できます。これらのトッピングは、「イヌリン」「レジスタントスターチ」「スーパー大麦」「ガラクトオリゴ糖」「フラクトオリゴ糖」「ハイカカオ」で構成され、日本人が多く保有する主要な6種類の腸内細菌に対応しています。
参考)カルビーのパーソナルフードプログラム「Body Granol…

プレバイオティクスは、消化されずに大腸に到達し、有用な腸内細菌の増殖や活性化を促進する成分です。水溶性食物繊維やオリゴ糖などが代表的で、もち麦、大麦、納豆、海藻類、ごぼう、里芋、果物などの食品に豊富に含まれています。これらの成分を腸内細菌が発酵させることで、短鎖脂肪酸が産生され、腸内環境の改善や全身の健康維持に寄与します。
参考)「短鎖脂肪酸」が免疫システムをパワーアップ!|腸活ナビ|大正…

プロバイオティクス(ビフィズス菌や乳酸菌などの有益な生きた微生物)とプレバイオティクスを併用することで、腸内細菌のバランスが改善され、短鎖脂肪酸の産生量が増加することが知られています。カルビーのサービスは、個人の腸内細菌の特性に合わせたプレバイオティクスを提供することで、効率的な腸内環境改善を目指しています。​

腸内フローラ検査の今後の展開と医療応用

腸内フローラ研究は、パーソナライズド栄養学の分野でも重要な位置を占めています。個人の腸内細菌叢の構成は、食事、運動、精神状態などの生活習慣によって影響を受け、これらの要因を調整することで腸内環境を改善し、疾病の予防や改善につなげることが可能です。腸内細菌の多様性が低下したディスバイオシス状態は、さまざまな疾患と関連しており、特にFirmicutes(ファーミキューテス)とBacteroidetes(バクテロイデーテス)の比率の変化が健康状態の指標として注目されています。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10585655/

医療機関での腸内フローラ検査の活用は、今後さらに拡大すると予想されます。患者の腸内環境を可視化することで、個別化された栄養指導や生活習慣の改善提案が可能になり、予防医学の観点から医療費削減にも貢献する可能性があります。また、腸内フローラ検査は大腸カメラ検査と組み合わせることで、大腸がんの早期発見やリスク評価の精度向上にも役立つと期待されています。
参考)大腸がんと腸内細菌叢(腸内フローラ)の深い関係——おなかに優…

SYMGRAM公式サイト
30以上の疾病リスクを分析できる医療機関向け腸内細菌叢検査サービスの詳細を確認できます。

 

カルビーのBody Granolaは、食品メーカーの技術力と腸内フローラ研究の知見を融合させた先進的なサービスであり、一般消費者が日常生活の中で腸内環境を意識するきっかけとなっています。今後、このような検査キットの普及により、予防医学の考え方が社会全体に浸透し、健康寿命の延伸に寄与することが期待されます。
参考)カルビーのパーソナルフードプログラム「Body Granol…

医療従事者にとって、腸内フローラ検査は患者の健康管理における新たなツールとして、栄養指導、生活習慣改善、疾病予防の分野で活用価値が高まっています。科学的根拠に基づいた腸内環境の評価と改善提案は、従来の治療法に加えて、患者のQOL向上に貢献する可能性を秘めています。
参考)腸内細菌検査を通じた疾病リスクスクリーニングサービス

 

 


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