常在菌一覧と健康への影響

常在菌一覧

常在菌の人体部位別分布特性

人体には約100兆個を超える膨大な数の常在菌が存在し、各部位で特徴的な菌叢を形成しています 。皮膚、上気道、口腔、咽頭、胃、腸管、膣、尿道などには、それぞれ部位によって特徴的な常在細菌がすみつき、常在菌叢を構成しています 。
参考）常在菌叢 - 16. 感染症 - MSDマニュアル家庭版

 

これらの常在菌は一人ひとりで固有の特徴を持ち、同じ親子でも菌の種類や割合が異なります 。特に腸内には体全体のマイクロバイオームの9割が生息し、皮膚には約200種類、口腔内には約700種類の菌が存在します 。
参考）https://www.mrso.jp/colorda/lab/3053/

 

常在菌は外部からの病原体をブロックし、免疫機能として働き、体内では合成できない栄養素の生成や消化できない成分の分解を行う重要な役割を担っています 。
参考）マイクロバイオームとは？健康や美容に与える影響とバランスを保…

 

常在菌の皮膚分布マップ

皮膚常在菌は部位によって大きく異なる分布を示します 。Staphylococcus（ブドウ球菌）属、Propionibacterium属、Corynebacterium属が皮膚に存在する主要な常在細菌です 。
参考）https://www.jstage.jst.go.jp/article/koshohin/46/2/46_460202/_pdf

 

脂漏部位（顔面・背部・前胸部）の特徴：

• Cutibacterium属（アクネ菌含む）が優勢
• Corynebacterium属が多数存在
• 皮脂分泌が多い環境に適応した菌叢を形成

  参考）常在菌は悪い菌？皮膚トラブルの原因や肌の健康を保つ方法

   

湿潤部位（肘関節屈側・膝関節屈側）の特徴：

• Staphylococcus属が大勢を占める
• 表皮ブドウ球菌が優勢菌として機能
• 湿潤環境に適応した菌種が定着

皮膚1平方cmには10万個以上の菌が存在し、健康な肌では205種類の皮膚常在菌が同定されています 。
参考）常在菌について

 

常在菌の腸内細菌叢構成

腸内細菌は約1000種類、100兆個に及び、重量は約1-2キログラムに達します 。腸内細菌叢は「善玉菌2・悪玉菌1・日和見菌7」という理想的なバランスで構成されています 。
参考）常在菌・腸内細菌

 

善玉菌の代表例：

• ビフィズス菌：ビタミン合成、感染防御、免疫刺激

  参考）代表的な腸内細菌

   

• 乳酸菌（Lactobacillus）：乳酸産生、腸内酸性化
• 腸球菌：消化吸収補助

  参考）腸内細菌、腸内フローラの話

   

悪玉菌の代表例：

• ウェルシュ菌：腸内腐敗、毒素産生
• ブドウ球菌：ガス発生、発ガン物質産生
• 大腸菌（有毒株）：病原性を持つ株

日和見菌の代表例：

• バクテロイデス：善悪どちらにも転じる性質

  参考）日和見菌とは？善玉菌、悪玉菌だけじゃない！腸内細菌のバランス…

   

• 大腸菌（無毒株）：通常は無害だが条件により病原性発現
• 連鎖球菌：環境により作用が変化

常在菌の口腔内分布パターン

口腔内には約700種類、1000億個以上の常在菌が存在し、複雑な微生物生態系を形成しています 。口腔常在菌は「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」の3種類に分類されます 。
参考）口の中の常在菌とは､､､href="https://narita-shika.jp/content/662/" target="_blank">https://narita-shika.jp/content/662/amp;#x1f9b7;href="https://narita-shika.jp/content/662/" target="_blank">https://narita-shika.jp/content/662/amp;#x1f4ab;…

 

主要な口腔常在菌：

• ミュータンス菌：糖質から不溶性グルカンを産生し歯面付着

  参考）口腔内細菌とは？細菌の種類や予防法について解説します

   

• ラクトバチルス菌：虫歯進行に関与
• ソブリヌス菌：ミュータンス菌と類似の性質
• ポルフィロモナス・ジンジバリス菌：歯周病原菌として知られる
• ストレプトコッカス・サリバリウス：善玉菌として抗菌作用発揮

小腸上部では胆汁やすい液により菌数は少なく、乳酸桿菌（Lactobacillus）、レンサ球菌（Streptococcus）、ベイロネラ菌（Veillonella）などが少数見られる程度です 。
参考）https://www.sasappa.co.jp/online/abstract/jsasem/1/049/html/1110490301.html

 

鼻腔・咽頭では黄色ブドウ球菌（Staphylococcus aureus）、表皮ブドウ球菌（S. epidermidis）、緑膿菌（Pseudomonas aeruginosa）、肺炎桿菌（Klebsiella pneumoniae）などが数のバランスを保ちながら生息しています 。

常在菌の機能的マイクロバイオーム特性

マイクロバイオームとは人体に共存する微生物の集団およびそれらからなる生態系のことで、全身の健康維持に重要な役割を果たしています 。消化管の腸内微生物叢だけでも約50万もの遺伝子が含まれ、ヒトの遺伝子数の25倍に相当します 。
参考）マイクロバイオームとは│生物学の用語解説

 

皮膚マイクロバイオームの特殊機能：
皮膚常在細菌は皮膚免疫応答を調節し、皮膚の恒常性維持に貢献しています 。表皮ブドウ球菌は汗や皮脂からグリセリンや脂肪酸を産生し、肌を弱酸性に保つことで黄色ブドウ球菌の増殖を防いでいます 。
腸皮膚相関（gut-skin axis）の重要性：
腸と皮膚は相互に影響を与える関係にあり、腸内細菌叢の異常はアトピー性皮膚炎やざ瘡（ニキビ）、乾癬などの皮膚疾患発症に関与しています 。乾癬患者では酪酸産生菌のFaecalibacterium prausnitziiが減少し、大腸菌が増加する特徴的な変化が観察されます 。
参考）「腸皮膚相関（gut-skin axis）」肌質や炎症、全身…

 

常在菌は物理的バリアと化学的バリアの両方を提供し、腸内では糖タンパク質の層、皮膚ではケラチンが物理的保護を担い、上皮細胞が産生する抗菌物質が化学的防御を提供しています 。

 

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