2017年12月より発売されたアミノレバンEN配合散のフレーバー配合製品は、従来の無味製品から大幅に改良された製品です。フルーツ味とコーヒー味の2種類が用意されており、患者様の嗜好に応じた選択が可能となっています。
参考)https://www.otsuka.co.jp/company/newsreleases/2017/20171129_2.html
従来のアミノレバンEN配合散は苦味が強く、患者様の服薬継続において大きな課題となっていました。この問題を解決するため、大塚製薬では製品の組成を変更し、フレーバーを最初から添加した配合製品として新たに承認を取得しました。
主要な特徴として以下が挙げられます。
参考)https://www.otsuka.co.jp/company/newsreleases/assets/pdf/20171129_2_01.pdf
なお、フレーバーを配合していない従来組成製品の販売およびアミノレバンEN配合散専用フレーバー4種類(ヨーグルト味ミックス、パイナップル味ミックス、コーヒー味ミックス、フルーツ味ミックス)の提供は終了しています。
アミノレバンEN配合散フレーバー配合製品の効果・効能は「肝性脳症を伴う慢性肝不全患者の栄養状態の改善」となっています。この効果は、製品に含まれるBCAA(分岐鎖アミノ酸)による作用機序に基づいています。
参考)https://www.kusurinomadoguchi.com/column/articles/aminoleban-effect
肝硬変や肝不全では、バリン・ロイシン・イソロイシンという分岐鎖アミノ酸(BCAA)とチロシン、フェニルアラニン、トリプトファンを総称する芳香族アミノ酸(AAA)のバランスが崩れます。このバランスの崩れにより、脳内に芳香族アミノ酸が多く移行し、肝性脳症を引き起こすと考えられています。
アミノレバンEN配合散に含まれるBCAAには以下の効果があります。
臨床試験では、血清蛋白濃度の有意な改善が認められ、栄養状態の改善効果が確認されています。96例中16例(16.7%)の副作用発現頻度が報告されており、主な副作用は食思不振、悪心、腹部膨満感、下痢などがあります。
参考)https://www.carenet.com/drugs/category/nutrients-tonics/3259108B1039
アミノレバンEN配合散フレーバー配合製品の適切な調製方法は、効果的な栄養補給において極めて重要です。基本的な調製方法は以下のとおりです。
標準的な調製方法
アミノレバンEN配合散1包(50g)を約1kcal/mLに調製する場合。
参考)https://vet.cygni.co.jp/include_html/drug_pdf/sonota/JY-13183.pdf
飲みやすくするための工夫
従来品では粒子径を大きくすることで苦味を抑えており、しっかり溶かすことが重要です。水と混ぜて均一になれば、小さなつぶが残っていても問題ありません。
参考)https://www.otsuka-elibrary.jp/product/di/amb/index.html
ゼリー化による摂取改善
医療従事者28名とアミノレバン服用中の患者2名を対象とした研究では、ゼリー化により以下の改善効果が確認されています:
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspen/23/Supplement/23_Supplement_s327/_pdf
フレーバー別の評価では、パイナップル味(1.93点)、アップル味(1.73点)、フルーツミックス味(2.23点)が特に良好な評価を得ており、コーヒー以外ではゼリー化による摂取改善効果が認められています。
アミノレバンEN配合散フレーバー配合製品の使用にあたっては、適切な副作用管理と使用上の注意が必要です。
重大な副作用
最も注意すべき副作用として**低血糖(1%未満)**があります。症状として冷汗、気分不良、ふるえ、動悸などが現れることがあり、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止する必要があります。
その他の主な副作用
臨床試験における副作用発現頻度は以下のとおりです:
消化器系副作用(1〜5%未満)
神経系副作用(1%未満)
代謝異常(1%未満)
使用上の重要な注意点
アミノレバンEN配合散フレーバー配合製品の効果を最大化するためには、従来の服薬指導を超えた包括的な栄養管理アプローチが重要です。
温度管理による嗜好性向上
医療従事者を対象とした調査では、「摂取しやすい温度」として、アミノレバンEN原液では27名、アミノレバンゼリーでは29名が冷たい温度を好むという結果が得られています。これは一般的な栄養剤とは異なる特徴であり、冷蔵保存による提供が患者満足度の向上につながります。
フレーバー選択の個別化戦略
フレーバー別の評価データに基づくと、以下のような個別化アプローチが効果的です。
調剤量の最適化
面接調査では「味覚的にはゼリーは満足できたが、量が多すぎる」という意見が多数報告されています。これを受けて、以下のような量的調整が推奨されます:
栄養効果のモニタリング指標
フレーバー配合製品の効果判定には、従来の血清蛋白濃度に加えて、以下の指標を用いることで、より包括的な評価が可能となります。
多職種連携による継続支援
アミノレバンEN配合散の継続的な効果を確保するためには、医師、薬剤師、看護師、栄養士による多職種チームでの支援体制構築が不可欠です。特に、フレーバー配合製品の導入により、患者の長期的な栄養状態改善と生活の質(QOL)向上への寄与が期待されています。