トリテルペンは6つのイソプレン単位(C5H8)から構成される天然化合物で、分子式C30H48を持つテルペンの一種です 。イソプレンの3単位が二重に結合した構造を持つため「ダブルユニット構造」と呼ばれ、動物、植物、菌類すべてで生産されています 。
参考)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%86%E3%83%AB%E3%83%9A%E3%83%B3
トリテルペンの構造的特徴として、存在する環の数によって0環から6環までの多様な骨格を持つことが挙げられます 。代表的な構造には以下があります:
一般的には五環構造が優勢で、200種類近い骨格が確認されており、その多様性は医薬品開発の重要な候補化合物群となっています 。
ステロイドは、シクロペンタノペルヒドロフェナントレン(ステラン)を基本骨格とする天然のトリテルペノイドの一種です 。4つの縮合環(3つのイス型六員環と1つの五員環)からなる特徴的な構造を持ちます。
参考)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%89
側鎖などによって以下の5つのグループに分類されます :
構造上の特徴として、C-10とC-13にメチル基を、多くの場合C-17にアルキル基を有し、ステロイド骨格そのものは脂溶性(疎水性)ですが、ヒドロキシル基やカルボニル基の付加により水溶性を獲得します 。
トリテルペンとステロイドは、共通の前駆体であるスクアレンから生合成されますが、その後の経路に重要な違いがあります 。
参考)https://www.pharm.or.jp/words/post-30.html
共通の生合成開始段階 :
参考)https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/press/z0111_00049.html
環化反応での分岐 :
オキシドスクアレンが環化反応の前駆体となり、この環化の方法によってステロイドとトリテルペンに分かれます。
ステロイド経路:
トリテルペン経路:
トリテルペン系化合物の中でも特に重要なのが、糖が結合したサポニン化合物群です。これらは植物の自己防衛機構の一部として産生され、多彩な薬理活性を示します 。
参考)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%83%8E%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%89
代表的なトリテルペンサポニン:
薬理作用の特徴 :
興味深いことに、ジンセノサイドにはプロトパナキサジオール類(中枢抑制作用)とプロトパナキサトリオール類(中枢興奮作用)の相反する作用を持つ化合物が存在し、これが「万能薬」としての効果を生み出していると考えられています 。
参考)https://www.medicalherb.or.jp/archives/263840
ステロイドホルモンは、コレステロールを骨格とする脂溶性ホルモンで、細胞膜を通過して核内受容体に作用する独特な機序を持ちます 。
参考)https://www.kango-roo.com/learning/2350/
主要なステロイドホルモン分類:
作用機構の特徴 :
特に胆汁酸では、ステロイド骨格の疎水性とヒドロキシ基・カルボキシル基の親水性を組み合わせた両親媒性により、脂質の乳化と消化吸収を促進する特殊な機能を持っています 。
医療従事者として理解しておくべき点は、ステロイドホルモンの生合成がプレグネノロンへの変換を律速段階とすることで、多くのステロイドホルモン刺激ホルモンがこの過程を調節している事実です 。