代謝性アシドーシス 原因 症状 診断 治療

代謝性アシドーシスの原因を、アニオンギャップや薬剤、下痢、腎障害まで整理して解説します。見落としやすい例外も含め、現場でどう読み解くべきでしょうか?

代謝性アシドーシスの原因

あなたの補液が高クロール性アシドーシスを深めます。


この記事の要点
🧪
まずはAGで大枠を分ける

高アニオンギャップか、正常アニオンギャップかで原因候補はかなり絞れます。

💊
薬剤性は想像以上に多い

メトホルミン、アセタゾラミド、NSAIDs、輸液など、処方や治療行為そのものが原因になります。

🔍
pH補正より原因特定が先

重炭酸値だけを追うと本質を外します。背景病態の見極めが予後を左右します。


代謝性アシドーシス 原因の基本とアニオンギャップ



代謝性アシドーシスは、血中HCO3-の低下を主体とする病態です。pH 7.35未満の酸血症として現れますが、実際の診療では「HCO3-がなぜ減ったか」を追うほうが重要です。


関連)https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/10-%E5%86%85%E5%88%86%E6%B3%8C%E7%96%BE%E6%82%A3%E3%81%A8%E4%BB%A3%E8%AC%9D%E6%80%A7%E7%96%BE%E6%82%A3/%E9%85%B8%E5%A1%A9%E5%9F%BA%E3%81%AE%E8%AA%BF%E7%AF%80%E3%81%A8%E9%9A%9C%E5%AE%B3/%E4%BB%A3%E8%AC%9D%E6%80%A7%E3%82%A2%E3%82%B7%E3%83%89%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%82%B9?ruleredirectid=465


原因整理の第一歩は、アニオンギャップ(AG)で二分することです。高AGなら乳酸、ケトン体、尿毒症性酸、毒物代謝産物の蓄積を考え、正常AGなら下痢、尿細管性アシドーシス、アセタゾラミド、塩化物負荷を優先します。


関連)https://www.jmedj.co.jp/premium/treatment/2017/d070911/


つまりAG分類です。
ここを外すと、検査が増えるわりに原因へ近づきません。たとえば同じHCO3- 14mEq/Lでも、敗血症性乳酸アシドーシスと下痢による高クロール性アシドーシスでは、緊急度も打ち手もまったく違います。


関連)https://www.jmedj.co.jp/premium/treatment/2017/d070911/


AGが上がる代謝性アシドーシスの代表は、ケトアシドーシス、乳酸アシドーシス、尿毒症、中毒です。逆にAGが正常なら、消化管からのHCO3-喪失、腎からのHCO3-喪失、尿細管での酸排泄障害、あるいはNaCl急速投与のような医原性要因が前面に出ます。


関連)https://www.ncgmkohnodai.org/%E6%B0%B4-%E9%9B%BB%E8%A7%A3%E8%B3%AA/%E4%BB%A3%E8%AC%9D%E6%80%A7%E3%82%A2%E3%82%B7%E3%83%89%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%82%B9/


代謝性アシドーシス 原因で多い乳酸 ケトアシドーシス 腎不全

高AG代謝性アシドーシスで最も遭遇しやすいのは、乳酸アシドーシス、ケトアシドーシス、腎不全です。まず乳酸アシドーシスは、ショック、敗血症、低酸素、痙攣、薬剤や毒素で起こります。


関連)https://www.jmedj.co.jp/premium/treatment/2017/d070911/


ここが基本です。
乳酸が上がると聞くと循環不全だけを連想しがちですが、外因性毒素や薬剤も重要です。MSDではビグアナイド薬プロポフォール、一酸化炭素、シアン化物、イソニアジドなどが例示されています。


関連)https://www.jmedj.co.jp/premium/treatment/2017/d070911/


ケトアシドーシスも糖尿病だけではありません。アルコール多飲や絶食も原因に挙げられており、食事摂取不良の高齢者や、嘔吐が続いた症例でも候補に入ります。


関連)https://www.jmedj.co.jp/premium/treatment/2017/d070911/


意外ですね。
「血糖がそれほど高くないからDKAではない」と早合点すると危険です。背景にSGLT2阻害薬がある症例ではeuglycemic DKAもあり得るため、医療面接では内服薬・注射薬・食事量まで一続きで確認したほうが安全です。薬歴アプリや電子カルテの定型問診を使って確認項目を固定すると、聞き漏らしを減らせます。


腎不全では硫酸やリン酸などの不揮発酸が蓄積し、尿毒症性アシドーシスにつながります。慢性腎臓病の進行でも慢性の代謝性アシドーシスが起こるため、急性増悪だけを見ると見逃します。


関連)https://www.nc-medical.com/deteil/chemiphamation11_01.pdf


代謝性アシドーシス 原因で見落としやすい薬剤 下痢 輸液

正常AG代謝性アシドーシスの見落としで多いのが、下痢、薬剤、輸液です。下痢では消化管からHCO3-が失われ、見た目以上にアシドーシスが進みます。


関連)https://guides.lib.kyushu-u.ac.jp/c.php?g=774919&p=5559691


結論は医原性確認です。
薬剤ではアセタゾラミドが典型です。腎でのHCO3-再吸収障害を起こし、正常AGの代謝性アシドーシスを作ります。


関連)https://www.jmedj.co.jp/premium/treatment/2017/d070911/


さらに見落としやすいのが輸液です。MSDはNaClの急速注入を正常AG代謝性アシドーシスの原因として挙げています。つまり、補正のつもりの大量補液が塩化物負荷を通じて高クロール性アシドーシスを悪化させることがあるわけです。


関連)https://www.jmedj.co.jp/premium/treatment/2017/d070911/


痛いですね。
救急や周術期で生理食塩液が続いた患者で、HCO3-低下を「原疾患のせい」とだけ考えるとズレます。塩化物負荷の場面では、狙いを循環維持と酸塩基悪化の回避に置き、候補としては平衡晶質液を確認する、という1アクションが有効です。


人工肛門、腸瘻、回腸瘻造設術もHCO3-喪失の原因です。術後や在宅管理中の患者では、排液量の増加と血液ガス異常を別々に見ず、ひとつの病態としてつなげる視点が大切です。


関連)https://www.jmedj.co.jp/premium/treatment/2017/d070911/


代謝性アシドーシス 原因の例外 D乳酸 尿細管性アシドーシス

上位記事で軽く触れられがちですが、独自視点として強調したいのはD-乳酸アシドーシスです。短腸症候群では未消化の炭水化物が大腸へ流れ、腸内発酵で増えたD-乳酸が吸収され、代謝性アシドーシスを起こします。


関連)https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.24479/ps.0000000972


どういうことでしょうか?
臨床で厄介なのは、症状が「アシドーシスらしくない」ことです。傾眠、脱力感、運動失調、呂律障害、錯乱などの中枢神経症状が前に出るため、脳神経イベントやせん妄として処理されやすいのです。


関連)https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.24479/ps.0000000971


炭水化物の過剰摂取後に神経症状が悪化する短腸症候群患者では、この病態を知っているだけで診断速度が変わります。つまり、採血データだけでなく食事内容と腸管背景まで聞けるかが差になります。


関連)https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/10-%E5%86%85%E5%88%86%E6%B3%8C%E7%96%BE%E6%82%A3%E3%81%A8%E4%BB%A3%E8%AC%9D%E6%80%A7%E7%96%BE%E6%82%A3/%E9%85%B8%E5%A1%A9%E5%9F%BA%E3%81%AE%E8%AA%BF%E7%AF%80%E3%81%A8%E9%9A%9C%E5%AE%B3/%E4%B9%B3%E9%85%B8%E3%82%A2%E3%82%B7%E3%83%89%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%82%B9


短腸なら要注意です。
予防や再発対策の場面では、狙いを炭水化物負荷の回避に置き、候補としては経口糖質量をメモして確認する、という単純な介入でも役立ちます。シンバイオティクスや難吸収性抗菌薬が用いられることもありますが、再発例は少なくありません。


関連)https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.24479/ps.0000000971


もうひとつの例外が尿細管性アシドーシス(RTA)です。I型、II型、IV型が代表で、IV型はアルドステロン低下または作用不全に関連し、高K血症を伴いやすい点が実地で重要です。


関連)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%BF%E7%B4%B0%E7%AE%A1%E6%80%A7%E3%82%A2%E3%82%B7%E3%83%89%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%82%B9


CKD、糖尿病性腎症、SLE、薬剤ではACE阻害薬やNSAIDsなどが背景になり得ます。高K血症を伴う正常AGアシドーシスでは、下痢より先にIV型RTAを考えると整理しやすいです。


関連)https://www.nc-medical.com/deteil/chemiphamation11_01.pdf


代謝性アシドーシス 原因を現場で絞る診断の順番

原因検索は、血液ガスを見た瞬間に順番を固定しておくと速くなります。おすすめは、①HCO3-低下の確認、②AG計算、③乳酸・ケトン体・Cr確認、④薬剤歴、⑤下痢・瘻孔・術後腸管歴、⑥K値からRTAを疑う、の流れです。


関連)https://www.nc-medical.com/deteil/chemiphamation11_01.pdf


原因特定が原則です。
この順番の利点は、頻度と危険度を両立できることです。たとえば高AGで乳酸高値なら循環不全や敗血症対応が先ですし、正常AGでK高値ならIV型RTAや薬剤性を早めに拾えます。


関連)https://www.nc-medical.com/deteil/chemiphamation11_01.pdf


薬剤歴では、メトホルミン、アセタゾラミド、NSAIDs、ACE阻害薬、造影関連の前後経過を確認したいところです。厚労省資料では、メトホルミンはeGFR 30mL/min/1.73m2未満が禁忌で、30~45では慎重投与、さらに乳酸アシドーシス347例中43例にeGFR 30~60の中等度腎機能障害患者が含まれていました。


関連)https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/multimedia/table/%E4%BB%A3%E8%AC%9D%E6%80%A7%E3%82%A2%E3%82%B7%E3%83%89%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%9B%A0?ruleredirectid=465


数字で見ると、腎機能だけで白黒はつきません。大半は脱水や心血管系疾患など、腎以外のリスク因子も伴っていました。つまり、メトホルミン服用中の患者では「eGFRが保たれているから安心」ではなく、脱水、食欲不振、過度の飲酒、急変時中止の教育まで含めて管理する必要があります。


関連)https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/multimedia/table/%E4%BB%A3%E8%AC%9D%E6%80%A7%E3%82%A2%E3%82%B7%E3%83%89%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%9B%A0?ruleredirectid=465


それで大丈夫でしょうか?
患者教育の場面では、狙いを急変時の自己中断判断に置き、候補としてはシックデイルールを1枚メモで渡す、という形が実務的です。医療従事者側の説明負担も軽く、再診時の確認もしやすくなります。


原因ごとの治療は異なりますが、共通しているのは「重炭酸を入れる前に背景を言語化する」ことです。根本原因の特定こそが治療の鍵であり、pH補正だけでは予後改善につながりません。


関連)https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.002576990630030418


原因分類の全体像を確認したい場合はここが便利です。高AGと正常AGの原因が一覧で整理されています。
MSDマニュアル プロフェッショナル版 代謝性アシドーシスの原因


メトホルミン関連の注意点を押さえるならここが有用です。eGFRごとの扱い、347例中43例という国内副作用報告、脱水や飲酒への注意がまとまっています。
厚生労働省 メトホルミンにおける禁忌「腎機能障害」等の見直しについて

アースノーマット 取り替えボトル 無香料 60日×2 蚊除け 屋内 屋外 蚊 対策 駆除 無香 詰め替え 防除用医薬部外品